モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

モノシリンがあらゆる「仕組み」を3分でまとめていきます。

作者の連絡先⇒ monoshirin@gmail.com

人の本を批判するなら,読んでから批判してくれないか

トゥギャッターにこんなまとめがある。作成されたのは2017年12月9日。

togetter.com

 

題名が「#アベノミクスによろしくをめぐる議論と応答」なので,私の本を読んだ方が議論しているのかと思い見てみた。

批判的意見は貴重である。新たな気づきのきっかけになるからである。

だが・・・最初の部分でもう違和感が・・・

拙著を読んだ方なら分かるが,私は消費税増税の影響をきちんと書いている。

どうも,この方は拙著を読んだのではなく,拙著を取り上げた東京新聞の記事だけ読んでこのまとめを作ったようである。冒頭にもそんなことが書いてある。

さらに,2018年1月7日にはこんなツイートが。

まとめだけ読んで腑に落ちないのは当たり前だと思う。だってそれ,結論部分だからね。理由付け読まないで結論に納得するなんて不可能じゃないですか。

それにしても,トゥギャッターでまとめ作成してから約1か月経った時点でやっと拙著のまとめ部分だけ読んだのか・・・

 

人の本を批判するなら,読んでから批判してくれないか。

 

先ほどのトゥギャッターのまとめは,単に拙著の名声にタダ乗りしてビューを稼いでいるだけではないか。読まずに批判しているなら「アベノミクスによろしくをめぐる議論と応答」という名前をつけるのはミスリードである。

なぜなら,このまとめを読む人は,拙著を読んだ人が議論していると勘違いしてしまうからである。

これはだめだろう。

今見たら8853ビューになっている。どうして誰も突っ込まないのだろうか。

誰かの本を批判するなら,まずその本を読み,著者の言いたいことを正確に理解しなければならない。こんなことは改めて言うまでも無い。そうしなければ,全く説得力の無い批判に終わってしまうし,デマを拡散することにつながる。

先ほどの「消費税増税の影響に触れていない」という主張が正にそう。拙著に対するただのデマになってしまっている。あたかも拙著が消費税増税に全く触れていないような印象を与えてしまうからである。

 

ただ,彼を強く責める気にもならない。なぜなら,批判ツイートをする際,毎回アマゾンの拙著ページへのリンクを貼ってくれているので,結果的に拙著の宣伝になっているからである。多分,アマゾンの拙著ページの引用ツイート回数は彼がNO1である。

 

批判するなら読んでからにしてほしい。単なるデマ拡散につながりかねないからである。読んでから批判するなら全く構わない。

そしてどんどん引用ツイートをして拙著を宣伝していただきたい。

 

 

週間新潮さ~ん,カサアゲノミクスも取り上げてよ~

週刊新潮2017年10月19日号には,

【偽装大国 中国もビックリ!政府発表「GDP4%成長」実は「マイナス9.9%」のカラクリ】なる記事が載っている。

 

www.shinchosha.co.jp

 

私も読んでみたが,要するに季節調整値で怪しい操作をしているようである。

週刊新潮さんはGDPに疑念をもっておられるようだが,是非カサアゲノミクス問題を取り上げて頂きたい。

この記事が広まったおかげでちょいちょいマスコミの方から取材を受けているので早い者勝ちだよ。

 

最新の国際的GDP算出基準である「2008SNA」対応を隠れ蓑し,全然関係無い「その他」という項目で異常なかさ上げがされていることを指摘した下記の記事は多いにバズッた。とはいえ,所詮5万アクセス程度。

blog.monoshirin.com

 

既存メディアが大きく取り上げてくれない限り,ネットだけの拡散力には限界がある。

 

ここで,リンク先を見るのもめんどくさいと言う方のために駆け足で「カサアゲノミクス」を説明する。

去年の12月にGDPは改定された。表向きは,最新の国際的GDP算出基準である「2008SNA」に対応するため,というのが大きな理由であった。これにより,研究開発費等がGDPに加えられるので,GDPが大きくかさ上げされると事前に報道されていた。

しかし・・・その「2008SNA」と全く関係無い「その他」という項目により,アベノミクス以降だけ異常なかさ上げがされていたのである。それが下記のグラフ。

 

f:id:monoshirin:20161229001940j:plain

アベノミクス以降(2013年度以降)だけ昇竜拳みたいに伸びている。

1990年代なんてかさ上げどころが全部かさ「下げ」になってるのに。

この「その他」の部分について,内訳が無いのか内閣府に問い合わせたら「無い」と言われたのである。

なお,変な誤解を振りまこうとする輩がいるので言っておくが,この内訳は「数字の」内訳である。内閣府は「その他」について内容を説明してはいるが,肝心の「数字の内訳」を公表していない。完全にブラックボックスである。

 

これが世に言う「カサアゲノミクス」であるが,今回は拙著「アベノミクスによろしく」にも載っていない別角度からの分析を試みる。重版になったらこの分析も追加しようかなと思っている。

なお,拙著「アベノミクスによろしく」ダイジェストはこちら

blog.monoshirin.com

 

この分析の結論を先に言うと,「改定後の名目民間最終消費支出が,名目家計消費支出指数の傾向と一致しない」ということである。

 

名目家計消費支出指数は総務省統計局が公表しているものである。各世帯がどれだけ消費にお金を使ったのかを指数化したもの。

統計局ホームページ/家計調査 家計消費指数 結果表(2015年基準)

 

他方,名目民間最終消費支出はGDP(支出側)の一項目であり,内閣府が公表している。国内の民間消費を全部足したものと考えればよい。

改定前後の名目民間最終消費支出と,名目家計消費支出指数(2015年=100)を重ねてみたのが下記グラフである。

なお,名目家計消費支出指数(2015年=100)は,2002年からの数値しかない。また,暦年(1月~12月)データしかないので,比較対象となる民間最終消費支出も暦年データである。年度(4月~翌年3月)データと混同しないよう注意されたい。

さらに,改定前のデータは2015年までしかないので,検証も2015年までのデータで行う。

f:id:monoshirin:20171016205419j:plain

 

改定前の名目民間最終消費支出(青)は,2015年でカクンと落ちている。

名目家計消費支出指数(緑)も,2015年でカクンと落ちている。

が・・・・改定後の名目民間最終消費支出(赤)は,落ちるどころか,微妙に上がっている(グラフだと分かりにくいかもしれないが,約1750億円ほど伸びている)。名目家計消費支出指数の動きと一致していないのである。

 

また,改定前後の名目民間最終消費支出(赤線と青線)をよく見て頂きたい。2015年だけ,グラフの動きが正反対になっている。

つまり,改定前の名目民間最終消費支出(青)は2015年で「下がって」いるのに,改定後の名目民間最終消費支出は「上がって」いるのである。

このように,改定前後のグラフの動きが正反対になるのは,過去22年で一度しか発生していない現象であり,2015年だけ。

 

ここで,改定前後の2015年名目民間最終消費支出の差額は,なんと7.8兆円もある。それだけかさ上げされたということだ。

拙著「アベノミクスによろしく」には書いたが,「その他」でかさ上げされた金額と,改定前後の名目民間最終消費支出の差額はほぼ一致している。アベノミクス以降の3年度のみ3年度連続でほぼ一致という抜群の不自然さである。

「その他」のかさ上げ額は年度の数字しか公表されておらず,暦年でどうなっているのか不明であるが,暦年データにおいても傾向は同じであろう。

要するに,「その他」で思いっきりかさ上げされた金額は,ほぼそのままアベノミクスで最も成績の悪かった民間消費に充てられた,ということである。

特に,2015年及び2015年度の民間最終消費支出が酷かったのだが,8兆円近くかさ上げしたので大幅に修正されてしまったのである。

だが,そんなにかさ上げしたら他の統計と当然つじつまが合わなくなる。だから総務省統計局の名目家計消費支出指数の傾向と一致しなかったのである。

 

ここで,上記のグラフをみてこんないちゃもんをつけてくる輩がいることが予想できる。「名目家計消費支出と名目民間最終消費支出って,元々傾向が完全に一致しているものでもないだろ」と。

確かに,名目家計消費支出指数は2011年までずっと下落傾向であり,名目民間最終消費支出の動きと完全に一致しているわけではない,。

この原因は,世帯数増加により,支出の平均値が下がったためと思われる。

f:id:monoshirin:20171016212023j:plain

統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103

※1995年と2011年にガクンと落ちているのは,地震阪神大震災東日本大震災)で正確な世帯数が把握できなかったため。

 

主に単身世帯が増えた影響で,総世帯数は増え続けてきた。これにより,世帯別の消費の平均値は当然下がっていく。この世帯数増加傾向は2014年まで続き,その後下降に転じた。

したがって,2014年までは「世帯数増加により支出の平均値が下がる」という要素を考慮に入れなければいけない。

 

そこで,「名目家計消費支出指数」に,「世帯数」をかければ,名目民間最終消費支出とほとんど同じようなグラフになるのではないか,と私は考えた。

それが下記のグラフの緑線である。これに改定前名目民間最終消費支出(青)と,改定後名目民間最終消費支出(赤)を重ねてみた。

f:id:monoshirin:20171016212807j:plain

予想どおり,緑線は名目民間最終消費支出とほぼ同じ傾向(他方が上がればもう一方も上がり,他方が下がればもう一方も下がる)を示している。

傾向が違っているのは過去14年中2回だけ。まずは2006年。緑線は下がっているが,赤線も青線も上がっている。この齟齬ができる原因は分からない。

(なお,緑線が2011年に思いっきり下がっているのは,さっきも言ったとおり東日本大震災の影響で正確な世帯数の統計がとれなかったためである。)

 

そして,2015年。緑線はやっぱりガクンと落ちているが,赤線はさっきも指摘したとおり微妙に上昇しており,傾向が一致しない。思いっきりかさ上げし過ぎてつじつまが合わなくなったため,と解釈すべきであろう。

 

このように,他の統計と一致しないという点も,「カサアゲノミクス」の疑念をさらに深めるものである。

 

ところで,ついでに国民の消費がどれほど悲惨な目にあっているかということを,名目及び実質家計消費支出指数を見ることによって確かめてみよう。

f:id:monoshirin:20171016214622j:plain

 

2013年に増税前の駆け込み需要で伸びた後,支出指数は名目(青)・実質(赤)共に大きく落ち込んでいる。特に実質家計消費支出指数(赤)が悲惨である。

まるでジェットコースターのように見えるので,私はこれを「アベ・コースター」と呼んでいる。2016年までひたすら下降を続けているが,この勢いだと2017年もさらに下がりそうだ。

さっきも言ったが,「総世帯数の増加により,平均値が下がる」という要素を考慮すべきなのは2014年まで。それ以降は逆に世帯数が減っているからである。

つまり,2015年と2016年は純粋に消費支出が減った,と評価すべきである。

 

そして,消費がこれだけ減っているということは,つまり我々1人1人の生活が苦しくなっているということだ。

なぜこんなことになっているのかは是非拙著を読んで確かめていただきたい。カサアゲノミクスについてもさらに別の角度から分析している。

 

それにしても・・・こうやって一度思いっきりかさ上げしてしまうと,それ以降もずっとかさ上げし続けるはめになる。なぜなら,本当の数字をそのまま出すともの凄いマイナス成長になってしまうからである。前年が思いっきりかさ上げされているのだから。

 

つまり,2016年以降のGDPは全然信用できない値になってしまった。週刊新潮に載っていた季節調整値でごまかすというテクニックもそういう状況から生まれた苦肉の策であろう。

 

もしこの「カサアゲノミクス」問題が国会で追及されれば,モリカケ問題を越える大騒ぎになるだろう。

モリカケは国内問題だし,「政策論争とは関係無い」という言い訳ができる。

しかし,カサアゲノミクスは違う。世界を騙す行為であり,「アベノミクス」という正に安倍政権の根幹を支えてきた政策に対する重大疑惑である。言い逃れができない。

 

ところで,今日取材していただいたとあるマスコミ関係者の方にこんなことを言われた。

「これほどあからさまなことをやりますかね」と。

私も最初はそう思ったが,今は違う。

「その他」で思いっきりかさ上げするという手法は結果を見れば全然あからさまではなかった。なぜなら私だけしか気付かなかったのだから。

そして,私が気付いたと言っても,マスコミが取り上げなければそこでおしまいである。

全マスコミにスルーされれば,カサアゲノミクスは無かったことにされるのだ。

 

また,「日本の官僚がそんなことをするのか」と思われるかもしれない。

しかし,少なくとも経産省の繊維統計については,長年にわたって改ざんされていたことが確定している。

www.nikkei.com

 

東芝神戸製鋼経産省,そして内閣府・・・・「KAIZEN」ならぬ「KAIZAN」が日本人の得意芸になってしまったとしたら,本当に悲しいことである。

 

自民党広報のツイートに物申す~みんなこのインチキに気付いてくれ~

自民党広報がこんなツイートをしている。

 

 

これに対し,経済評論家の池田信夫氏がこんなツッコミを入れている。

 

SNA新基準対応に伴い名目GDPが大きくかさ上げされたのは事実だ。

しかし,それ「だけ」で31兆円かさ上げされた,との認識は誤りである。

 

専門家の池田信夫氏ですら気付いていないおぞましい事実がある。

これはアベノミクスに批判的な他の専門家達も気付いていない。

 

今度の選挙は自民党が大勝しそうな勢いだが,これを全国民が知ったら果たして自民党に投票するだろうか。

結論から言うと,「最新の国際的GDP算出基準への対応」を隠れ蓑にし,GDPが改ざんされている可能性が非常に高い。私はほぼ確信に至っている。

 

2016年12月8日,内閣府は新しい算出基準によるGDPを公表した。これに伴い,1994年度以降のGDPが全て改定された。

改定の概要は非常に単純化すると下記のとおり。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/sankou/pdf/point20161222.pdf

1.実質GDPの基準年を平成17年から平成23年に変更

2.算出基準を1993SNAから2008SNAに変更

3.その他もろもろ変更

4.1994年まで遡って全部改定

 

「その他もろもろ変更」が最も重要なので覚えておいていただきたい。

この部分は,2008SNAとは全く関係無い。

以下,改定前の数値を「平成17年基準」,改定後の数値を「平成23年基準」と呼ぶ。

 

改定によって大きく名目GDPがかさ上げされた。改定前後を比較すると下記のとおり。

f:id:monoshirin:20161228225019j:plain

平成17年基準(青線)では,1997年度の521.3兆円が過去最大値であった。2015年度の500.6兆円と比較すると約20兆円もの差がある。

ところが,平成23年基準(オレンジ)では,1997年度がピークであることに変わりはないが,その額は533.1兆円。

他方,直近の2015年度の数字がなんと532.2兆円になっており,1997年度とほとんど同じ額になっているのである。

20兆円も差があったのに,改定によってその差が埋まってしまったということだ。

なぜそのようになるのか。下記のグラフを見ていただきたい。これは改定によるかさ上げ額を抜粋したものである。

f:id:monoshirin:20161228225423j:plain

アベノミクス開始後の2013年度以降の額が突出しているのが分かるだろう。

2015年度なんて31.6兆円もかさ上げされている。これはアベノミクス開始直前である2012年度の約1.5倍である。

これをかさ上げ率にしてみると下記のとおり。

 

f:id:monoshirin:20161228225516j:plain

アベノミクス開始以降だけ5%を超える高いかさ上げ率を記録しているのが分かる。

問題は,このかさ上げの内訳である。以下,内閣府公表資料から抜粋する。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/sankou/pdf/point20161222.pdf

f:id:monoshirin:20161228230509j:plain

かさ上げ額の内訳を大きく2つに分けると,

1.2008SNA対応によるもの

2.「その他」

である。

 

2008SNAというのはGDPの国際的な算出基準である。以前は1993SNAを使用していた。この算出基準の変更によって研究開発費等がGDPに加えられるので,名目GDPが大きくかさ上げされる。

www.nikkei.com

 

まずは2008SNA対応によるかさ上げ額から見てみる。

f:id:monoshirin:20161229001042j:plain

これをかさ上げ率にすると下記のとおり。

f:id:monoshirin:20161229001406j:plain

2015年度が1位,2014年度が2位,2013年度が3位。アベノミクス開始以降の年度が上位をすべて占めている

だが,最も重要なのは「その他」のかさ上げ額だ。以下のグラフを見ていただきたい。

f:id:monoshirin:20161229001940j:plain

アベノミクス開始以降の年度が異常にかさ上げされているのが一目瞭然である。アベノミクスの開始前とは全く比較にならない。

「その他」のかさ上げ額がプラスになること自体,過去22年度でたった6回しかない。そのうちの半分をアベノミクス以降が占めている。

さらに,アベノミクス前だと,「その他」の最高かさ上げ額は2005年度の0.7兆円。他方,アベノミクス開始以後だと下記のとおり。

・2013年度4兆円

・2014年度5.3兆円

・2015年度7.5兆円

 

桁が違い過ぎる。

そして,特に1990年代を見ていただきたい。かさ上げどころか,かさ「下げ」されている。全部マイナスである。1994年度なんてマイナス7.8兆円。

 

そして,かつて史上最高額を記録していた1997年度に注目である。「その他」で5兆円もマイナスになっている。

 

2015年度の名目GDPは「2008SNA対応」で24.1兆円,「その他」で7.5兆円もかさ上げされ,合計で実に31.6兆円のかさ上げ。

 

他方,改定前に史上最高額だった1997年度は,「2008SNA対応」で16.9兆円,「その他」でマイナス5兆円,合計で11.9兆円のかさ上げ。

 

同じ基準で改定したはずなのに,かさ上げ額に20兆円も差があるのだ。

その原因は,2008SNA対応部分でのかさ上げにも大きく差がある上,「その他」でさらに差を付けられたからである。

「その他」の部分だけ見ると,2015年度と1997年度には実に12.5兆円もの差が付いている。

 

この結果,改定後の2015年度名目GDPは,史上最高額である1997年度にほとんど追いついた。

そして・・・2016年度の名目GDPは1997年度を追い抜き,史上最高の537.5兆円を記録した。

 

もう一度言う。「その他」は2008SNAと全く関係無い。

この全く関係無い部分でかさ上げ額の不自然な調整がされ,2016年度名目GDPが「史上最高」を記録するという現象が起きている。

 

「その他」の内訳について,内閣府に問い合わせてみたが「内訳は無い」との回答であった。

じゃあどうやってこの空前絶後のかさ上げ額を算出したんだよ。

私はこの回答をもって,GDP改ざんを確信した。

 

さて,ここでもう1回さきほどの自民党広報ツイッターを見てみよう。

 

「過去最高」と自慢している。

どう思うよ。俺は怒りで頭がおかしくなりそうだぜ。

国民の知らないところで凄まじいインチキがされている。

 

なぜこのようなことをするのか?

アベノミクスが大失敗に終わっているからである。うまくいっていればこのようなことをする必要は無い。

アベノミクスがどのような失敗をしたか,そして,どれほどおそろしい副作用が待っているか,それは拙著「アベノミクスによろしく」を読んでいただければ分かる。

GDP改ざん疑惑についてもより詳細に分析している。

 

下記リンクは書籍のダイジェストだが,これだけでもだいたい理解できるはず。

blog.monoshirin.com

 

この本では,「株価が上がった」「雇用が改善した」等,アベノミクスの成果とされているものまで全て客観的データをもって否定している。

 

この本を書かなければ,私の認識は「どれだけ自民党がひどくても,少なくとも経済は民主党時代よりマシ」という状態のままだったであろう。

 

今は違う。

アベノミクスは史上最低最悪の経済政策であり,我が国最大の国難である。

大失敗に終わっただけでなく,超巨大な副作用を孕んでいる。

民主党時代の方が圧倒的にマシであった。比較にすらならない。

 

この記事に対して文句を言いたくなる輩もいるだろうが,まずは拙著を読んでから文句を言っていただきたい。

 

==追記==

本当に内閣府に問い合わせたのか疑問という輩がいたので,内閣府から来た回答メールをここにそのまま載せる。

 

これは拙著の担当編集本川氏の問い合わせに対して,内閣府のI氏から回答されたものである。イニシャル加工と赤字部分は筆者。

---------------

集英社インターナショナル 本川様

平素より大変お世話になっております。
内閣府経済社会総合研究所のIと申します。

昨日お問い合わせのあった件について連絡が遅くなり、申し訳ありません。

当方で確認しましたところ、「その他」は平成23年基準改定のうち、「2008SNA対応」を除いた部分になりますが、
産業連関表の取り込み、定義・概念・分類の変更、その他の推計方法の変更(建設コモ法の見直し)等々が含まれ、
様々な要素があり、どの項目にどれほど影響しているか等の内訳はございません

ですが、以下の資料でそれぞれ、2008SNA対応とそれ以外で詳しく解説がありますので、
ご参考までに送付させていただきます。

プレアナウンス
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/seibi/2008sna/pdf/20160915_2008sna.pdf

↓さらに詳しく
利用上の注意
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/sankou/pdf/tyui27.pdf

↓さらに詳しく
季刊
http://www.esri.go.jp/jp/archive/snaq/snaq161/snaq161_c.pdf

------------

 

もちろんリンク先の資料も私は見ている。

「その他」についての説明はされているが,「具体的に」「どの項目が」「いくら」という内訳は無い。

 

ここでもう一度かさ上げの内訳表を見ていただきたい。

見ての通り,2008SNA対応部分については詳細な内訳がある。

しかし「その他」については,まったく内訳がない。ここで変な操作がされているなんて,よく見なければ気づかない。

f:id:monoshirin:20161228230509j:plain

 

この事実だけは本当に国民に知ってもらいたい。是非拡散を。

 

===追記2===

 

ブコメを見ると「内訳が書いてある資料がある」との指摘がある。

これはデマ。

ちゃんと読めば分かる。

前述のとおり,内閣府の資料には「その他」の説明は書いてある。

しかし,それだけ。

肝心の「具体的な数字」が書いていない。

私はその点を問題にしている。

2008SNA対応部分は,説明がある上に,「数字」で内訳がはっきり書かれている。しかし,「その他」には「数字の内訳」が出てこない。

だからブラックボックスになっているのである。

 

==追記3==

 

アベノミクス以降のかさ上げ額が極端に増えているのは,研究開発費が増えたからだ,との指摘を目にした。

 

ここは重大な点だから強調しておく。

「研究・開発(R&D)の資本化」は,「2008SNA対応部分」だ。

「その他」とは全く関係無い。

だから問題にしてるのだよ私は。

 

なお,この異常なかさ上げ現象を,私は「カサアゲノミクス」と呼んでいる。

 

#カサアゲノミクス