不破雷蔵さん,それは私に対する名誉棄損ですよ。
私がJBPRESSに寄稿した記事について,池田信夫氏と須賀原洋行氏が適当なことを言っていたのでツッコミを入れた下記の記事はけっこう読まれた。
まあこの程度ならツッコミを入れて終わりだが,ちょっと比較にならない人物が現れた。
不破雷蔵という人である。
たまに私も彼が運営している「ガベージニュース」を読んでいるので前から知ってはいた。ツイッターフォロワーも約1万5000人いて,ヤフーオーサーでもある。
したがって,それなりに影響力がある人物である。
私がJBに寄稿した記事に関連して,信じられないくらい事実無根なことが書いてある。
大した影響力も無い人が言うなら無視するが,彼はそうではないので無視するわけにはいかない。これはあまりにもひどい。以下,引用する。
以前反社というか社会を批判するのを生業としている方の書籍が話題を呼んでおり、その書籍の筆者の炎上商法的な記事が再びネタとして持ち上がっている。内容としては非常に稚拙、かつ数年前に問題だと指摘されたけど何の問題も無いというツッコミが入りまくって収束したもの。要はネタのリサイクル。
あたかも私が反社会勢力に属し,炎上商法的な記事で社会を批判して生計を立てているかのように読める文章である。一体何を根拠にそんなことを言っているのか。
さらに,「数年前に問題だと指摘されたけど何の問題も無いというツッコミが入りまくって収束したもの」と指摘しているが,これも完全なデマである。
私はGDP改定について,アベノミクス以降だけ大幅にかさ上げされており,その最も大きな要因となっているのが,「その他」という項目であることを繰り返し問題にしている。「2008SNA対応」というGDP算定国際基準に合わせることを隠れ蓑にして,それとは全く関係の無い「その他」という項目で大幅な調整がされているのである。
これについては専門家からのツッコミは全然ない。当たり前だ。彼らは気付いてすらいないのだから。したがって収束などしていない。
「その他」については,改訂から1年以上経過してようやく「内訳に近いもの」が出てきた。私はこれについて分析した記事を書いている。
こうやって分析しているのもおそらく私だけである。だから「収束した」というのは完全にデマ。
で,「やっぱり」となったのだが,不破雷蔵氏は私の著作を読まずに批判しているのである。それは下記文章から明らかである。
記事の書き手のプロフィールを見たら、弁護士であることに気が付いてあらためて驚き。肩書がその人の品質やレベル、言及の確からしさを裏付けるものではないということが改めて分かる次第。
私の本には私のプロフィールが当然書いてある。したがって,私の本を読んでいれば,「弁護士であることに気が付いてあらためて驚き」とはならない。私の本を読んでもいないのに単なる想像で私を誹謗中傷している。
ちなみに,私のプロフィールはアマゾンにも書いてある。彼はここすら見ていなかったようである。
私がどのような主張をしているのかを確認もせずに「反社というか社会を批判するのを生業としている方」と彼は断定し,私を大ウソつきであるかのように書いているのである。私は本当に驚いている。
さらにこんなことも言っている。
まぁ、その記事そのものについてはそういうレベルなので、言及すらしない。
しねえのかよ。そこ一番重要なところだろ。
どうも書いていることを見ると,おそらく私がJBに寄稿した記事も読んでいない。読んでいたら「その他」問題が収束している等とは言えないはずである。
ところで,彼は「ひがくぼきみお」なる人のツイートを引用している。このひがくぼ氏のツイートも,肝心なところでやっぱりダメなので曝しておく。
見てのとおり「世界標準の2008SNAの「その他」で勘違い」しているけど」と書いている。
「GDP積算方法は国際基準に合わせただけ」という文章を置いてから,「世界標準の2008SNAの「その他」」と書いているので,あたかも2008SNAの中に「その他」が含まれているかのように読める文章である(例えば,【2008SNAとは関係ない「その他」】と書くなら適切であろう)。分かっていてあえてミスリードを誘うように書いているのなら本当に悪質。
何度も何度も何度も何度も何度何度も言っているとおり,2008SNAと「その他」は関係ない。
で,「その他」に色々入っているのは私も当然理解していて,肝心の内訳が全然不明で事後検証が全く不可能だったから疑惑がある。
私がギャーギャーさわいだら内訳に近いものをやっと改定から1年以上経過して内閣府が出してきた。それに関する分析を全部書くと量が多すぎるから,JBの記事にはこのブログの私の分析記事へのリンクを貼った。
ちゃんと私の主張を読んでから批判しろよ。不勉強はあなただよ。
ところで,ひがくぼ氏は一応私のJBの記事を読んでいるようだが,下記の異常なグラフを見ても何の疑問も持たない方のようである。そこにも私は驚いている。
90年代が思いっきり下げられ,アベノミクス以降は思いっきり上げられている。1994年度と2015年度はこの「その他」だけで実に15.3兆円も差がついているのだ。これに疑問を持たない方が不思議である。
自民党以外の政権下でこの現象起きたらあなたは同じ反応しますかね。
なお,ひがくぼ氏はこんなツイートもしている。
「野党ですら引用できないレベル」と言っているが,引用されている。
私もつい最近知ったのだが,平成30年5月24日の参議院総務委員会で杉尾議員が取り上げていたのである。議事録から引用する。
○政府参考人(長谷川秀司君) お答え申し上げます。
今回の基準改定でございますが、あくまでも国際基準にのっとりまして、また、より正確に経済状況を把握するために行われたものでございます。
以上でございます。
○杉尾秀哉君 その辺がどう説明を聞いても、私は経済の専門家じゃないからかも分かりませんけれども、分かりません。
その③のところがやっぱりブラックボックスになっていると思うんですが、実はこれ、私が発見したことではなくて、もう読まれた方もいらっしゃると思うんですけど、明石順平さんという、この方も経済の専門家じゃない、弁護士さんでありますけれども、「アベノミクスによろしく」という著書で展開している論理なんですね。この本の中で明石さんは、怪しいかさ上げと、歴史を書き換えたいから二十二年も遡って改定したと。確かに今回の改定の四項目の中に二十年遡るというのがあって、歴史を書き換えたいからなんじゃないかと、こういうふうな指摘をされています。これは明石さんの本の中に書かれていることですからね。
それで、ちょっと資料五を、五ページ目を見ていただきたいんですけれども、これ、自民党さんが去年の総選挙で掲げた政策のホームページの接写というかコピーなんですね。確かに、ここに名目GDP過去最高五十兆円増と、こういうふうに書いてある。
さっき言った③のその他の項目なんですけれども、ちょっと三ページ目、四ページ目、見ていただけますか。GDPのかさ上げ幅が、確かに安倍政権になってからぐんぐん増えているんですね。四ページなんか見てみますと、その他のかさ上げ幅に至っては、それまで、安倍政権まではほぼこれマイナスかゼロ近辺です。ところが、同じ基準で改定したはずなのに、安倍政権になってから③のかさ上げ幅がどんどん上がっちゃっているんですよ。
こういうのを見ると、確かに明石さんが言われているように、ちょっと不自然じゃないかなと思うんですが、実際にその数字がこうやって自民党さんの選挙のマニフェストというか政策集の中に書かれて、過去最高ということを書かれているんですよね。もしこの改定がなかったら過去最高に多分なっていないんですね、五十兆円増というのもありますけれども。
そこで、ちょっとうがった見方かもしれませんけれども、まさか政府・自民党に言われてこういう数字を作ったということはないと思いますが、いかがでしょう。
この調子でガンガン取り上げてほしいものである。政府参考人が「あくまでも国際基準にのっとりまして・・」と強調しているのがミソである。やはり「2008SNA対応」を隠れ蓑としていることがよく分かる。
さて,不破氏の話に戻る。目を疑うような誹謗中傷は他にもある。
で、色々とツッコミを入れたけど。以前【「嘘をつくのは低コスト、嘘を検証するのは高コスト」非対称性の宇宙大原則】でも指摘したように、今件のような著作物出版者の炎上商法の問題点は、どれほどアレな内容でも、出版物の知名度を上げて売上を伸ばせば、最低勝利条件を満たしてしまうということ。無論、そのアレな内容を裏付けの上で否定する側はコストの浪費となる。逮捕されない放火魔のようなもの。
まず,「色々とツッコミを入れたけど」と言って自分のツイートを引用しているが,その内容を見ると全く私の記事を読まないでも書ける内容であり,ツッコミになっていない。さっきも言ったがやっぱり読んでないんだと思う。多分ひがくぼ氏のツイートだけ見て書いたんじゃないか。記事を読んでいてこれを書くなら意図的にミスリードを誘っており,悪質。
そして,私の記事について「著作物出版者の炎上商法」とののしり,挙句,私のことを「逮捕されない放火魔のようなもの」とまで言っているのである。
びっくりするよほんと。
さらに引用する。
反社活動ならば太鼓持ちされる傾向。アクセス稼げれば中身の信ぴょう性はかまわない。そんな感じ。
真面目に情報を精査して対価がほとんど無いという側が、馬鹿を見る現状は、本当に良くないのだよね。「正直者が馬鹿を見る」状況は、社会そのものを崩壊させてしまうのだから。放火魔がつかまらずやりたい放題となれば、町は消し炭だけになってしまうというところ。それを望む人などどれほどいるのか。
私がアクセス数を稼ぐために反社会的な活動に加担している,と読める文章である。そして,またもや「放火魔」という言葉を使っている。
確実に彼は私の「アベノミクスによろしく」を読んでいない。さらにJBの記事も読んでいない可能性が高い。
つまり,彼は私のことをほとんど知らない。それなのに,端的に要約すれば私のことを「反社会的な炎上商法活動をして生計を立てている放火魔のような人物」とブログに書いているのである。
これ,物凄い名誉棄損だよね。
がっかりだよ。
ガベージニュース結構興味深く読んでいたのに。
データに基づいて理性的な話ができる人だと思っていたのに。
けっこう参考にさせていただいた部分もあったのに。
本当にがっかりだよ。
私は何度も見直しましたよ。
本当にあの不破雷蔵氏がこんな記事を書いたのかって。
最初は怒りが込み上げてきたが,今はなんだかとても悲しい。
私が書いたこの記事が拡散されれば彼の目にも触れるだろう。
そこで彼がどういった判断をするのか,まずは見てみることにする。
私は批判なら興味深く読むが,私の本や記事を読んでいないのになされる批判は批判ではない。ただのデマ。
そしてデマは徹底的に駆逐されなければならない。
池田信夫氏と須賀原洋行氏にツッコミを入れてみる
つい最近,JBPRESSにこんな記事を投稿した。結構な反響であった。
そしてこの記事について経済評論家の池田信夫氏がこんなツイートをしていた。
またこの人間違えてるよ・・・・
さて,ツッコミを入れる前に前提を整理する。私のこの記事は,平成28年12月のGDP改定によって,アベノミクス以降の数字が異常に大きくかさ上げされたことを問題にしている。
かさ上げ額だけ抜き出したのが下記のグラフ。
アベノミクス以降(2013年度以降)が異常にかさ上げされているのが一目瞭然。
そして,このかさ上げ要因を大きく二つに分けると,①2008SNA対応②その他,の二つである。
2008SNAは国際的なGDP算出基準のこと。日本はこれへの対応が遅れていた。2008SNAだと研究開発費などが加算されるので,GDPがだいたい20兆円前後かさ上げされる。
で,問題は「その他」である。
「その他」によるかさ上げ額は下記グラフのとおり。
アベノミクス以降「だけ」大きくプラス。他はほぼ全部マイナス。特に90年代思いっきりマイナス。
明らかにおかしい。
大事なことだから5回言う。
「その他」は2008SNAと関係ありません。
「その他」は2008SNAと関係ありません。
「その他」は2008SNAと関係ありません。
「その他」は2008SNAと関係ありません。
「その他」は2008SNAと関係ありません。
しつこいよ!と思ったかもしれないが,私がこれほどしつこく言いたくなる理由は読んでいけば分かってもらえる。
さて,このGDP改定について,かつて池田氏がなんと言っていたか。ツイートを引用する。
これはGDPを計算する「SNA」を新基準に変更したために名目ベースで31兆円嵩上げされたんだよ。恥ずかしいから、自民党はこのツイートを削除したほうがいい。 https://t.co/aTttQNMrNq
— 池田信夫 (@ikedanob) 2017年10月10日
このツイートからは,改定要因がすべて2008SNA対応によるものと理解しているように読める。そう,彼は「その他」の存在に気付いてすらいなかったのである。
この池田氏のツイートを引用して書いた下記記事はけっこうヒットした。
で,今回池田氏が何と言っているかというと・・さっきのツイートのとおり「GDP統計の基準を2011年の産業連関表に変えた結果、それ以降が上方修正されたことは政府も断っている。」と述べている。
「その他」のかさ上げ要因が産業連関表の変更「だけ」であると読める文章である。これは後述するとおり誤り。
また,私は前提を知っているので,池田氏が「その他」について言っていると理解できる。しかし,前提を知らない人にとっては,「その他」だけではなく,「2008SNA対応部分」も含めた改訂要因の全てが産業連関表によるものとミスリードしてしまうだろう。その意味でも不適切(ツイートを見た人すべてがリンク先を読むわけではない)。
さらに「それ以降が上方修正された」との文章は「2011年以降が上方修正された」と読めてしまう。これもミスリード。「その他」によって大幅な上方修正がされたのはアベノミクスが開始された2013年度以降のみ。なお,それ以前はむしろ「下方」修正ばかりである。
この短い文章の中にこれほどのツッコミ所を作る池田氏・・・恐ろしい人。
ここで,GDPを作成した当の内閣府からの分かりやすい回答メールがあるので引用しよう。これは拙著「アベノミクスによろしく」の担当編集本川氏の問い合わせに対する内閣府の回答である。
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集英社インターナショナル 本川様
平素より大変お世話になっております。
内閣府経済社会総合研究所のIと申します。
昨日お問い合わせのあった件について連絡が遅くなり、申し訳ありません。
当方で確認しましたところ、「その他」は平成23年基準改定のうち、「2008SNA対応」を除いた部分になりますが、
産業連関表の取り込み、定義・概念・分類の変更、その他の推計方法の変更(建設コモ法の見直し)等々が含まれ、
様々な要素があり、どの項目にどれほど影響しているか等の内訳はございません。
ですが、以下の資料でそれぞれ、2008SNA対応とそれ以外で詳しく解説がありますので、
ご参考までに送付させていただきます。
プレアナウンス
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/seibi/2008sna/pdf/20160915_2008sna.pdf
↓さらに詳しく
利用上の注意
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/sankou/pdf/tyui27.pdf
↓さらに詳しく
季刊
http://www.esri.go.jp/jp/archive/snaq/snaq161/snaq161_c.pdf
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以上のとおり,産業連関表の取り込みは様々ある「その他」要因の中の一つに過ぎない。池田氏がろくに調べずに適当なツイートをしているのがこれで分かっただろう。ちゃんと調べろよほんとに。
だいたい「新しい産業連関表の採用でこうなった」という理解ですんなり納得していいのか。アベノミクス以降だけあんなに上がって他はほぼ全部マイナスになっているのに。専門家ならそこに疑問を持つべきであろう。
なお,池田氏はろくに調べもせずに適当なことを言い,伊藤和子弁護士の名誉を棄損した挙句,東京高裁で114万円の損害賠償判決を下されたという経歴をお持ちの方であることを付記しておく。下記記事参照。この失敗から彼は学んでいないようである。今回もろくに調べずに「フェイクだ」と適当なことを言い,私の名誉を結構傷つけたと思う。彼はツイッターフォロワーが20万人以上もいて相当影響力があるが,こういう適当な発言をする人であることに注意しなければならない。
また,彼は「改ざんの根拠は何も書いていない」と言うが・・・だからJBの記事の中に下記リンクを貼っていたのに。改ざんを疑う根拠はここに書いてある。これを全部書くと長くなりすぎるのでJBには書けなかった。その代わりにリンクを貼った。
こうやってリンクを貼ってもめんどくさがって読まない人がほとんどだろうが,少なくとも私に文句を言いたい奴はこれを読んでからにしてほしい。
読むのがめんどくさい人のために概要だけ説明すると,私が大騒ぎした影響で,改定から1年以上経過してやっと「その他」の内訳に「近いもの」が出てきたので,それについて分析している記事である。特に家計最終消費支出がとっても怪しいことになっているのがミソ。
で,家計最終消費支出に関連して,つい最近怪しい数字が開発されたのでそれについて書いたのがこちらの記事。
さて,池田氏についてはこれくらいにしておく。
次は漫画家の須賀原洋行氏について。
彼はこんなツイートをしている。
彼のツイートを要約すると下記のとおり。
①日本のGDPをドル換算したグラフを使ってミスリードを誘う人達がいるが,それは「アベノミクスによろしく」のせい。
②GDPの改定は国際社会の基準に合わせただけであり,何度も論破されている。
まず①の点について。拙著を読んだ方なら分かるが,私はドル換算したGDPなど一度も使っていない。このブログでも一度も使ったことが無い。
彼が私の本を読まずに適当なことを言っているのは明らかである。
ひとつ言わせていただこう。
読んでから批判しろよ。
こう言うと「わざわざ買って読みたくない」とか反論されそうだ。
だったら批判するな。読んでないくせにする批判は批判ですらない。ただのデマである。読んだフリしてデマを振りまくな。
次に②の点について,さっきなぜ私が「「その他」は2008SNAと関係ありません。」と5回も繰り返したのか,お分かりいただけただろうか。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も同じような内容の記事を書いているし,JBの記事中にももちろん書いているのだが,「その他」は2008SNAと全く関係ないのである。
で,「その他」について気付いたのは私だけなので,「論破」などされるはずが無い。論争にすらなっていない。私の知る限り,専門家と称する人々の中でこの問題を詳細に分析した人はいない。
ちゃんと読んでいればこんな間違いはしないはず。おそらく,彼は記事タイトルだけ見て中身を読んでないのだろう。
もう一度言おう。
読んでから批判しろよ。
ただ,彼の間違いはこの問題の根深さを示すものとして貴重なサンプルである。内閣府の狙い通り,「2008SNA対応」が抜群の隠れ蓑効果を発揮し,「その他」で怪しい数字の操作がされていることは覆い隠されている。
まあ安倍信者の方々(私は彼らを「アベンジャーズ」と呼んでいる)は「その他」について知ったとしても何も変わらない。大事なのはアベンジャーズ以外の方々にこの事実を知ってもらうことである。
拙著のダイジェストはこちら。
自分の本を出してみて気付いたのは,読まずに批判する輩がけっこういるということである。下記記事の中で取り上げてる人とか。
こういう人達がいるからツイッターとかでチンプンカンプンな論争が日々生じるんだろうね。
#高プロは廃案~みんなでこの腐った法案を潰そうぜ~
ついに「働き方改革関連法案」なるものが審議入りしてしまった。
この法案の中には裁量労働制の拡大も含まれる予定だったが,インチキデータを使って国民を騙していたことがばれたので,その部分は削除された。
法案の中には,「高度プロフェッショナル制度」なるものが含まれている。略して「高プロ制」。
要綱に書いてある正式名称は「特定高度専門業務・成果型労働制」という。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-32.pdf
今まで「残業代ゼロ法案」と言われてきたものである。
働き方改革法案には残業時間の上限規制も含まれているが,高プロ制の対象者にはもちろん上限規制は無い。したがって,高プロ制は上限規制を骨抜きにするものである。
厚労省の資料から高プロ制の概要を抜き出してみよう。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-31.pdf
①職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、
②高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、
③年間104日の休日を確実に取得させること等の健康確保措置を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、
④労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
というものである。
④が強烈である。労働時間に関するすべての規制が外れるということである。休憩もなし。
裁量労働制ですら,休日や深夜の割増賃金は発生するので,明らかに裁量労働制より強烈な制度である。「スーパー裁量労働制」と呼ぶ人がいるのもうなづける。
なお,裁量労働制は一応出退勤に裁量があるが,高プロ制はそれすらない。労働者にとってのメリットは全くない。
年間104日の休日と言っているが,正確に言うと「1年間に104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日」である。
具体的に言うと,週休2日ならこの条件を満たす。
また,24日連続勤務させて,4日連続で休ませるということも可能。
盆も正月も祝日も勤務させることが可能。
で,健康確保措置というのは,下記のいずれかを選べば良いことになっている。さっきの資料から抜粋する。
①インターバル措置
②1月又は3月の在社時間等の上限措置
③2週間連続の休日確保措置
④臨時の健康診断
繰り返すが,「いずれか」で良い。この4つのうち,一番楽なのは明らかに④の健康診断である。
では,具体的にどのような「働かせ方」が可能になるかと言うと・・・こんな感じ。
・健康診断を受けさせつつ,週休2日で毎日24時間休憩なしで働かせる。
・健康診断を受けさせつつ,24日連続毎日24時間休憩なしで働かせて4日連続休ませる。
殺す気か。
もちろん,これだけ無茶苦茶な働かせ方をしても,一円たりとも残業代は発生しない。
成果型労働とうたっているが,法案の中に成果給を義務付ける規定は無いので,嘘。
単に固定給のまま残業代ゼロにする企業がほとんどだろう。
嘘を平気で正式名称の中に埋め込むという狂気。
「ま,高給取りだけが対象でしょ?」と思うかもしれないがそれも間違い。
対象者の年収について,正確に言うとこう決められている。
労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における毎月きまって支給する給与の額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者一人当たりの給与の平均額をいう。)の三倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める額以上であること。
要約すると,最初は平均年収の3倍を相当程度上回る額の人が対象ということである。
毎月勤労統計調査のボーナス等を除く月給から,平均年収を算定すると大体310万円ぐらい。だからその3倍は930万円。
スタートは少なくとも1000万円以上となっているので,「平均年収の3倍を相当程度上回る」と言える。
これが「2倍」に改正されたら,620万円を相当程度上回る年収の人が対象。
さらに「2倍」すら外されて,単に平均年収を相当程度上回る額にされると,310万円を相当程度上回る人が対象。
で,かつて経団連は年収400万円以上の人を残業代ゼロにせよと提言しています。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/042/gaiyo.pdf
絶対年収400万円以上ゼロにしてきますよこれは。
以前塩崎厚労大臣も「小さく生んで大きく育てる」ってはっきり言ってますからね。
とりあえず通しちゃえばいいと。
その発言がこちら。
フリーザ風に言えば,この高プロ制はあと2回変身の余地を残しているのである。
2回改正を重ねて,3倍⇒2倍⇒1倍にすれば,経団連の野望は達成できる。
これほど長時間労働が問題になっているというのに,残業代ゼロにするというのは狂っている。
残業代は長時間労働にブレーキをかけるために存在するのである。
そして,残業代不払いが横行しているので,全然ブレーキが利かず,長時間労働が無くならない。
私自身,残業代が払われない企業に勤務していた経験があるので身に染みて良くわかる。
「残業代なくせば早く帰るようになるでしょ」とのたまう者がいるが,ブラック企業で一度働いてから言えこの馬鹿野郎!
それにしても,ふざけている。
裁量労働制はデータをねつ造して国民を騙したのがばれたので引っ込めた。
しかし政府は裁量労働制よりもっと強烈なやつを通そうとしている。「時間ではなく成果で評価する制度」などとまた嘘をついて。
おかしいだろ,これ。
「殴ってごめんなさい。今度はもっと強い力で殴っていいですか?」と言われてる気分である。
なお,経済政策の観点からも間違っている。
高プロ制は単に残業代をカットして賃金を下げるのが目的の政策である。
賃金下げたら物価なんぞ上がるわけないじゃないか。
それとも賃金は下がってもいいからとにかく物価を上げたいとでもいうのか。
そしたら実質賃金が下がって生活が苦しくなるだけである。経済成長もできない。
やるべきことは逆なのだ。残業代不払いを徹底的に取り締まってきちんと残業代を払わせ,給料を上げていかなければ物価が上がっていくはずがない。
この問題に右派も左派も無いだろう。
国民総がかりで高プロ制は潰していくべきである。
今はSNSが発達しているので,国民一人一人が発信者になることができる。
「#高プロは廃案」というハッシュタグをSNSで大拡散させて,国民の声を国会に届けよう。
1人1人の発信力を結集して高プロを廃案に追い込もう。我々は無力ではない。
#高プロは廃案