【賃金21年ぶりの高い伸び率】の真実
1か月ほど前になるが、今年6月の名目賃金の前年同月比が3.6%を記録し、21年ぶりの高い伸び率であると報じられた。
結論から言うと、背後に凄まじいインチキがある。
ポイントは下記の二つ。
①一部が異なるサンプルをそのまま比較している。
②賃金算出の際に使うベンチマーク(基準)が、去年より高く出るものに更新されている。
まず、上記で報じられたのは「速報」であり、「確報」だと前年同月比3.3%である。確報だと0.3%下がる。
下記リンクを参照。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/30/3006r/dl/pdf3006r.pdf
で、大事なのは上記資料の末尾に、ものっそいちっさい字で書いてある「利用上の注意」の部分。以下引用する。
調査事業所のうち30人以上の抽出方法は、従来の2~3年に一度行う総入替え方式から、毎年1月分調査時に行う部分入替え方式に平成30年から変更した。賃金、労働時間指数とその増減率は、総入替え方式のときに行っていた過去に遡った改訂はしない。
今まで、毎月勤労統計調査の際のサンプル事業所は、2~3年に一回全部入れ替えていた。
当然、それだとデータに変な段差ができてしまうので、さかのぼって改訂していた。
しかし、その遡及改定を今回は止めてしまったのである。
で、サンプルを総入れ替えではなく、一部入れ替えにした。
一部が異なるサンプルをそのまま比較していることになる。この時点でもうおかしい。
だが、影響がもっと大きいのは、ベンチマークの更新である。
厚労省の資料をそのまま引用する。これは新旧サンプルの差額について厚労省が要因分解したものである。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/maikin-rotation-sampling.pdf
旧サンプルと新サンプルを比較すると、差が2086円もある。
そのうち、部分入れ替えによるものが295円。
ベンチマークの更新によるものが1791円である。
ベンチマークとは、「基準」という意味である。
毎月勤労統計調査はサンプル調査であり、全事業所に対して実施しているものではない。
他方、経済センサスは全数調査であり、常用労働者数については正確な数がこれで分かる。
そこで、全数調査の結果を基準(ベンチマーク)にして、サンプル調査で得られた数字を修正しているのである。新ベンチマークは平成26年経済センサスを使っている。
(サンプル調査と全数調査だと,事業所規模ごとの労働者の比率が異なる。そして,賃金は事業所の規模が大きいほど高くなる。だから,全数調査で得られた結果を元に,サンプル調査の数字を修正してより正確なものにしているのである。)
で、新旧のベンチマークに基づいて算出された常用労働者数を比較しているのがこちら。これも前期厚労省資料からそのまま引用。
新ベンチマークの方は、5-29人の事業所に勤める労働者の割合が2.8%落ちている。
規模の小さい事業所の方が給料が低い。5-29人の事業所の給料は,30人以上の事業所の給料と比較すると,新旧共に7万円以上も低い。
したがって、規模の小さい事業所に勤務する労働者の割合が減ると、平均賃金は上がる。
つまり、新しいベンチマークの方が、賃金が高く出る。だから,ベンチマークの更新だけで1791円も増えるのである。
で、遡及改定していないので、平成29年までの賃金は旧ベンチマークのまま。
新しいベンチマークを採用している平成30年の数字とは、当然大きな差が出ることになる。
もう一度簡単にまとめると①サンプルが一部異なるし②ベンチマークも違うのである。
さて、これによって平成30年の賃金の伸び率は当然高く出る。それ以前の3年間と比較してみよう。異常事態が起きている。
毎月勤労統計調査 毎月勤労統計調査 全国調査 長期時系列表 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
平成30年1月以降はそれ以前に比べて明らかに伸び率が高くなっている。
それ以前の3年間は、前年同月比伸び率が1%を超えたことがたったの3回しかない。
だが、平成30年1月~6月は、4月を除いて全部1%を超えている。
その上、過去3年間で一度も無かった2%以上が3回もあって、そのうち1回は3%を超えている。ベンチマークが違うからこんなに差が出るのである。
では、本当の数字はどうなっているのか。
先ほど言ったとおり、サンプル事業所について、全部入れ替えではなく一部入れ替えに変更された。
そのため、入れ替え前後で共通する事業所が出てくる。
厚労省は参考として、その共通事業所の前年同月比のデータも出している。
下記資料の最後から2ページ目。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/30/3006r/dl/pdf3006r.pdf
それによると、共通事業所における平成30年6月の前年同月比は1.3%。
「前年比3.3%」とは2%も違う。
しかも、6月はボーナス月なので、変動が大きい。
そこで、ボーナスを除いた「きまって支給する給与」を見てみると、わずか0.6%。
パートタイム労働者に絞ってみると、マイナス0.2%。
同じサンプルを比較しているのだから、こちらの方が実態に近いと言うべきである。
だいたい、下記のとおり今までの賃金の推移を見れば、いきなり3.3%の高い伸び率を示すわけがないのである。
賃金・・毎月勤労統計調査
これは名目・実質賃金指数と消費者物価指数の推移を示したものである。
アベノミクス前との比較がしやすいよう、2012年=100として計算している。
これを見ると、開始から5年も経過したのに、名目賃金(青)はわずか1.5%しか伸びていない。
他方、物価(赤)は6%も上がった。日銀の試算によれば、消費税増税による物価上昇は2%だから、残る4%はアベノミクスがもたらした円安が最も影響している。
増税+アベノミクスで物価を無理やり上げたが、賃金が1.5%しか伸びなかったので、実質賃金は4.2%も下がっている。アベノミクス前の水準に遠く及ばないままである。
「実質賃金下がりっぱなし」という批判を封じるため、平成30年以降の名目賃金の算出方法を変更した、と考えるのは穿った見方であろうか。
なお、当然のことながら、平成30年の名目賃金前年同月比は、サンプルが一部異なる上にベンチマークも違う平成29年との比較になるため、今後も高い数値を叩き出すであろう。
騙されてはいけない。この記事を拡散してほしい。
なお、政府が統計について怪しい操作をしている点は他にもある。
GDPはこちら。
さらに、家計消費の落ち込みをごまかすためか、総務省が怪しい数字を開発したことにツッコミを入れた記事がこちら。
なぜことごとくこんな怪しいことをするのかと言えばアベノミクスが超絶大失敗しているからである。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
君は「安倍晋三宅火炎瓶投擲事件」を知っているか
最近、「安倍晋三宅火炎瓶投擲事件」が話題になっている。
ウィキペディアにもページが作られているので、概要を引用する。
安倍晋三宅火炎瓶投擲事件(あべしんぞうたくかえんびんとうてきじけん)は、2000年6月から8月にかけて山口県下関市で、自由民主党衆議院議員安倍晋三の自宅や地元事務所をめがけ5回にわたり火炎瓶が投げ込まれた事件である。
こんなに昔の事件がなぜ話題になっているのか。
この事件は、ある会社社長が安倍氏に恨みを持ち、暴力団組員に火炎瓶の投擲を依頼したことが発端である。
その会社社長が今年の2月に出所した。
そして、ジャーナリスト山岡俊介氏が、その人物から、安倍事務所筆頭秘書と交わした3通の署名・捺印入り念書を入手したとして内容を報じたのである。
下記リンク参照。
なお、山岡俊介氏は、つい最近、スタジオアルタの階段から落ちて重傷を負っている。
この問題は今年7月17日の参議院内閣委員会で山本太郎議員が追及している。
山本議員の発言を一部引用する(議事録のNO92から)。
資料の四の二、火炎瓶事件で逮捕された方々の判決文。「被告人Aは、指定暴力団D組長、同Bは、同Aと親交を結ぶ者、同Cは、上記D組副組長であるが、被告人三名は、E及びFと共謀の上、同Bが恨みを抱いていた衆議院議員Gの後援会事務所あるいはG方に火炎びんを投げ入れてこれらに放火しようと企て、」とあります。つまり、指定暴力団D組長のAさん、この方のお友達Bさんが衆議院議員Gさんに恨みを持った。衆議院議員Gさんって、総理のことなんですね。
この山本氏が引用している判決について、ひょっとして裁判所の裁判例検索システムで検索したら出てくるかな~と思い検索してみたら、出てきたのである。
下記リンク参照
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/547/034547_hanrei.pdf
極めて長大な判決であり49ページもある。
そこで、大事な部分を引用してみる。
被告人Bは,本件各下関事件が発生した当時,有限会社S(以下「S」という )の会長として実質的に同社を経営しており,服役中に知り合った被告人Aとも親交を結んでいた。
Bというのはさっき述べた会社社長のことである。彼がキーマンである。
Aは暴力団の組長。Bは服役中にAと親しくなった。
「下関事件」とは、火炎瓶が投げ込まれた事件を指している(安倍氏の自宅以外にも後援会事務所等が火炎瓶を投げ込まれている。)
次が最も大事かもしれない部分。
自己の経営するSの資金繰りが苦しかった被告人Bは,G議員の地元秘書でかねてから交際していたW(以下「W」という )に対し,平成11年に 行われた下関市長選挙で自派と対立するX候補を当選させないように活動して貢献したと主張して金員の支払いを要求し,300万円の提供を受けた。
その後,被告人Bは,同年8月7日,借金の取り立てに絡む傷害罪で逮捕
されたところ,さらに,被告人B及びSの従業員U(以下「U」という )
は,同月30日,Wに対する恐喝罪で逮捕されたが,同年9月21日に起訴猶予処分となり,Uは同月26日に釈放され,被告人Bは同年10月26日に上記傷害罪につき保釈された。
B氏はX候補の選挙妨害をして貢献したと主張し、秘書Wから300万円もらったが、それをあとから「恐喝だ」と言われて逮捕された、ということのようである。
起訴猶予というのは、ざっくり言うと、起訴して有罪にできるだけの証拠はあるが、諸事情を考慮して起訴しない、というものである。諸事情というのは、例えば被害者との間で示談が成立したような場合である。
このケースでは、もし起訴すると裁判で必ず選挙妨害の件に触れることになり、安倍氏の立場が危うくなるので、検察が「忖度」した可能性もある。
Bとしては、頼まれた仕事をこなして報酬を得ただけなのに逮捕されたので激怒した。そして、暴力団組長Aに相談することになる。
被告人Bは 平成11年10月下旬ころ 被告人Aと再会し ,同人に対し,恐喝事件の件でG議員の秘書にはめられたなどと述べた。その後も,被告人Bは,被告人Aに対し,G議員の秘書にはめられたと述べたのに対し,被告人Aは,お金がないなどと自身の窮状について述べるとともに,知り合いの内装工事会社の社長Y(以下「Y」という )へ仕事を紹介するよう依頼した。
被告人Bは,同年11月初旬ころに,Yに対し知り合いの業者を紹介し,そのころから同月中旬にかけて,Yに対しても,被告人Aに述べたのと同様に,下関市長選でX候補をG議員側から頼まれて当選させないよう活動したのに,G議員の秘書にはめられて警察に逮捕された,決まっていた仕事も流れてしまった,その点の補償もさせる,許せんなどと恨み言を言っていた。
被告人Bは,同年11月15日前後ころ,被告人Aに対し,かなり興奮した様子で,G議員の秘書にはめられた,何かいい方法はないかと言ったところ,被告人Aから 「するに当たっては,先立つもんが要る。そのことをするにしても,自分の下のもんがするから,それに元が要るから 」などと返答された。
そして、火炎瓶投擲の話へ。
被告人Bは,同年4月初めころ,被告人AやYに対し,G議員側は許せな
いとG議員側への怨念を述べて,G議員側を苦しめて金を取る,火炎びんを投げ付ける,けん銃で撃ち込むなどと述べた。その際,被告人Aは,被告人Bの話に同調しながら,Yに対し,G議員の家や事務所の所在地について尋ね 「仲間がいじめられとる,許さん。金にせないけん。1億くらいのことはもらわないといけん 」などと言った (証人Y) 。
被告人Bは,同年4月25日,下関市内の料亭「Z」において,被告人A
やYが同席する場で,いつものようにG議員への怨念を述べ,被告人Aは,「金にせにゃいかん。」などと言い,被告人B及び被告人Aは,火をつける,火炎びんを投げるけん銃を撃ち込むなどの具体的な方法を話し合っていた 。
で、火炎瓶投擲事件が発生するのである。安倍氏の自宅や事務所、後援会事務所等が襲撃された。場所を間違えて全然関係ない結婚式場まで襲撃された。
こえ~。マジでこえ~。
リアルアウトレイジじゃねえか、これ。
しかし、若干滑稽なのが下記のくだりである。
被告人Bは,平成12年8月の盆を過ぎたころ,Uに 「事件が新聞やテレビには出ていないが,ちゃんとやったんかのう。おかしいのう 」などと言っていた。
Yが,同年8月終わりから9月初めにかけて,所用でA組事務所を訪れて被告人Aが事務所にいなかった際,Cは,ぼそっと「盆も行ったもんね 」と言った。
これほどアウトレイジな事件なのに、なぜか当時はほとんど報道されなかったようである。B氏はあまりにも報道されないので不安になっている。
あれかな、圧力ってやつかな。
大きく報道されたら「なんで火炎瓶投げ込まれんの?」ってなって、選挙妨害疑惑が世間に公になるからね。
さて、ここまでの流れを判決文が端的にまとめている個所があるのでそこも引用する。
前記2で認定した事実によれば,被告人Bは,G議員側に金銭を要求したが,G議員側からそれを拒絶され,かえって恐喝未遂の疑いで逮捕されるに至ったことに恨みを持ち,当初は,損害賠償請求や虚偽告訴を理由とした示談を弁護士を通じて行い,多額の金銭を得ようとしていたが,それができないとなると,懇意にしていた被告人AにG議員への報復を依頼し,その被告人Aが,報復の実行をCに指示し,Cが下関第1事件ではEと,下関第2ないし下関第5事件ではE及びFと共に犯行を敢行したものであることが明らかであるから,被告人B及び被告人Aは本件各下関事件を敢行することを共謀し,被告人Aにおいて,配下のCに本件各下関事件の敢行を指示し,これを受けたCは,被告人Aの命を受けたFから,G議員宅や後援会事務所の位置を教えてもらい,Eと共にIをG議員後援会事務所と間違って,下関第1事件を敢行し,下関第2及び下関第3事件は,F及びEと共に赴き,Fに命じて火炎びんを投擲させ,下関第4及び下関第5事件では,F及びEと共に赴き,自ら火炎びんを投擲したことが優に認められる。
これは森友や加計よりもヤバいんじゃないですか。
総理大臣が過去に反社会勢力を使って選挙妨害した疑惑なんて前代未聞でしょう。
さて、なぜ山本議員がこの質問をしたのか。議事録から引用する(NO88)。
カジノへの懸念の一つ、これがマネーロンダリングだったりとか暴力団の資金源になる可能性、こういうことが言われると思います。
資料の一と二、これまでの国会における、カジノへの暴力団排除に万全を尽くすとの総理の御発言を集めました。その監視強化をつかさどるカジノ管理委員会についても言及されています。
これは、総理の御発言では、何ですかね、総理の御発言にもあるとおり、本法案の法文上にも、暴力団員等を排除する部分というのは、カジノ事業を行うIR事業者、主要株主、契約先、従業員、施設の供用事業者、カジノ関連機器の製造、輸入、販売、修理業者、カジノ施設への入場者、滞在者に至るまで、暴力団を排除することが定められているんですけれども、一つ懸念があるんです。
ここは総理に短くお答えいただけると助かるんですが、暴力団そのものではなく、暴力団とつながりがある、そのような人もしっかりとチェックして、もしもまずい場合はしっかりと取り締まっていただけるということでよろしいんでしょうか、総理。
上記のとおり、カジノ法案に関連して質問したのである。
で、次にこんな質問をした(NO90)
暴力団関係者のみじゃなく、そことつながりがあって、その裏に何かあったりとかする場合にもしっかりと対処をしていただけるというような、法文上はそのような取決めになっているとは思うんですが、カジノ管理委員会を任命するのは総理大臣です。その任命者である総理御自身にも、廉潔性、求められると思います。
カジノ管理委員会のメンバーにも廉潔性が求められるように、その任命者である総理大臣にも廉潔性が求められるのではないかと思うんですけれども、総理御自身は、暴力団又はそれら勢力とつながりがある人物とのお付き合い、若しくは関係、仕事を発注などしたことありますか。
これに総理はこう回答した(NO91)。
それは全くございません。
え?
さて、安倍総理が自民党総裁に3選される可能性は今のところ高そうである。
しかし・・・自民党の皆さん、この疑惑は本気で追及された森友や加計よりもまずいんじゃないですかね。反社会勢力を使って選挙妨害なんて・・・まぁまた言い訳の山を築いて逃げると思いますが。
自民党の多数派が安倍総理を支持しているのは選挙で勝てるからなんでしょうけど、他の人を総理にした方がいいんじゃないですか。
まだ時間あるから考え直した方がいいと思いますよ。
岡口基一裁判官に対する懲戒事由について考察する
岡口基一裁判官に対し、東京高裁から最高裁へ懲戒が申し立てられた。毎日新聞の記事を引用する。
犬の所有権を巡る民事訴訟に関し、個人のツイッターに不適切な投稿をしたとして、東京高裁は24日、民事部の岡口基一裁判官(52)について最高裁に懲戒を申し立てた。インターネット上の投稿を巡る懲戒申し立ては初めてとみられる。最高裁は今後、全15裁判官が関与する大法廷で分限裁判を開き、処分の可否などを決める。
この件について、ご本人が懲戒申立書の写真をアップしていたので引用する。
岡口さんの元ツイートは、アカウント自体が削除されてしまったのでもう確認できない。しかし、申立書から引用すると、下記の内容だったようである。
公園に放置されていた犬を保護し育てていたら、3か月くらい経って、もとの飼い主が名乗り出てきて「返してください」
え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら・・・
裁判の結果は・・・・
で、当該裁判に関する記事のリンクが続くと。
どの記事を引用したのかは不明だが、当該事件については、例えば下記リンク先にも内容が書いてあるので興味のある方はどうぞ。
この「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら」という部分が、岡口裁判官自身の意見と勘違いされたらしい。
で、このツイートを見た当事者(元の飼い主)は、岡口裁判官に批判されたと思ってしまったのだろう。
冒頭で引用した毎日新聞の記事にはこう書いてある。
岡口裁判官はこの裁判を担当しておらず、「記事を要約したつもりだったが、軽率で申し訳ない」と釈明したという。
岡口さんの認識は、要約である。当事者の主張を短くまとめただけだったのだろう。
多分下記のように赤字の部分を付け足していたら勘違いされなかったと思う。
公園に放置されていた犬を保護し育てていたら、3か月くらい経って、もとの飼い主が名乗り出てきて「返してください」
現在の飼い主「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら・・・」
裁判の結果は・・・・
しかしこれで処分するのかね。まさに「この程度」って感じがするんだけど。
裁判例を要約して紹介しただけなのに、当事者に誤読されてクレームを入れられたというのが事の真相ではないか。
まあ当事者が誤読してしまうのも分からなくは無い。だから「ごめんなさい」って謝れば済む話だと思うんだけど。懲戒まで必要かね。
国民の皆さん、どう思いますか。
ところで、岡口さんと言えばパンツ一丁である。
この点についてくれぐれも誤解のないよう強調しておくが、岡口さんが裁判所当局からパンツ一丁をとがめられたことは一度もない。
ただ、上半身を縄で縛られた写真を投稿したことを注意されただけだ。
それは以前下記の記事で詳しく書いた。
つまり「パンツ一丁はセーフ、縄で縛るとアウト」という基準が裁判官の世界で確立されたと言える。
この基準を確立したのは現最高裁判事の戸倉三郎氏である。
彼の名にちなみ、この基準は「戸倉基準」と言われている。
戸倉基準によって「パンツ一丁の自由」は保障された。
したがって、以後、他の裁判官がパンツ一丁の写真をSNS等で披露したとしても処分されないのだ。みんなどんどんパンツ一丁になればいいよ。
この「パンツ一丁の自由」は新しい権利としてそのうち憲法の教科書にも掲載されるであろう。
司法試験受験生の諸君、ここは来年の司法試験に出るかもしれないからよく覚えておくように。