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1分で分かるアベノミクスの失敗まとめ~過去10年の推移をグラフにして分析~

アベノミクス3年間で起きたこと

1.名目賃金,わずか0.1の上昇

(24年98.9⇒27年99)

 

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

 

2.消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合),4.9も上昇

(24年99.7⇒27年104.6)

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総務省統計局

 

3.上記1と2により,実質賃金指数,4.6も減少

(24年99.2⇒27年94.6)

※実質賃金指数=名目賃金指数÷消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)×100

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

4.上記3の影響で,家計実質消費支出指数(総世帯),5.8の急降下

(24年98.2⇒27年92.4)

※この驚異的急降下を「アベ・コースター」と名付ける

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統計局ホームページ/家計調査 家計消費指数 結果表(平成22年基準)

 

1~4をまとめた表

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実質賃金指数,家計実質消費支出指数(総世帯)は過去10年で最低。

5.上記4の影響で,2015年の実質民間最終消費支出は,2012年(アベノミクス前)を下回った。

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内閣府の統計データを元に作成。

 

「ある年の実質民間最終消費支出が3年前を下回る」という現象はリーマンショックの翌年(2009年)以来の出来事。過去22年間で2回しか起きていない異常事態。

6.官製相場による株価上昇

金融緩和による円安と公的資金の大量投入(日銀とGPIFでおそらく合計24兆円以上は投入されている)で株価急上昇。

しかし,その後急降下したため,平成27年の第2四半期(7月~9月),GPIFは7兆8899億円もの大損失を出した。下記チャートから推測するに,2万円の時にかなり株を購入していたようである。

 

※ヤフーファイナンスより引用

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金融緩和と公的資金投入を止めると株価が下落するため,後戻りできない状態に。

 

 

今後の予想

1.賃金は伸びない。

【理由】

名目賃金は現に過去3年間で0.1しか伸びていない。

・消費の冷え込みで企業利益が減少すると思われるので,賃上げをする動機が無い。

2.金融緩和を継続するのであれば実質賃金が更に低下し,消費が冷える。

【理由】

上記1のとおり,名目賃金が伸びない以上,物価が上がれば実質賃金が下がり,消費が冷えるだけ。

3.GDPはマイナスになるか,伸びても大幅には伸びない

【理由】

消費支出が下がり過ぎてるため,企業収益が伸びないから。

 

===1分まとめは以上。以下,余談。========

 

このまま金融緩和路線を続けると,実質賃金が低いままになるので,生活が苦しくなり,消費も伸びず,経済成長は期待できない。

だが,逆に金融緩和路線を止めると,海外投資家の失望を招き,株価暴落と円の高騰を招く可能性が高い。そしてその場合,GPIFは大損失を被ることになる。

つまり,行くも地獄,戻るも地獄。

どの道を行こうと,アベノミクス失敗のツケは我々国民に回ってくる。

 

ところで,アベノミクスの成果として失業率の低下がよく挙げられる。

失業率の低下とアベノミクスとの因果関係の有無については争いがあろう。

それはさておき,「失業率の低下」の一事をもって,「実質賃金の圧倒的低下」「消費の圧倒的冷え込み」「GDPマイナス成長」「年金大損失」etcという惨憺たる結果に目をつぶることができようか。

また,「失業率の低下」は果たして有権者へのアピールになるだろうか。なぜなら,有権者の大半は失業者ではなく,この3年間で実質賃金を減らされてしまった既存の労働者達だからである。

 

経済政策の失敗は我々の生活を直撃する。したがって,今度の参院選で最も重要な争点にすべきは「アベノミクスを続けるのか,止めるのか」にすべきと考える。

だが,このアベノミクスの失敗はいまいち国民の間に広がっていない気がする。

その原因の一因は「物価目標が達成できない」という報道が頻繁にされているからではないだろうか。

そういった報道をたくさん見ているので,私はてっきり物価がそれほど上がっていないのだと思っていた。

しかし,統計を見るとそれは大間違いであった。日銀の言っているのはあくまで「前年比」2%の上昇であり,アベノミクス開始時点からの上昇ではないのである。

3年間で見たら消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は4.9も上がっていた。私は自分で調べてみるまでこれほど物価が上がっていることを知らなかった。

こんなに急速に物価が上がってしまえば,賃金の伸びがそれに追いつくなどあり得ない。

アベノミクスは,金融緩和をして物価が上昇すれば「賃金も上がる」という前提に立っている。この前提が致命的に間違っていた。名目賃金はほぼ伸びなかった。なのに物価だけは上がり,その結果実質賃金が暴落した。

未来の予測は難しい。だから経済政策に失敗はつきものだと思う。したがって,大事なのは「失敗しないこと」ではなく「失敗したらすぐに方向転換すること」である。

しかし,その経済政策の言い出しっぺは立場上方向転換できないであろう。交代していただくしかない。

野党の状況を見るに現状政権交代は現実的ではないと思われるが,せめて総理大臣は交代していただく必要がある。

 

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