モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

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アベノミクスの正体は官製スタグフレーションである

2014年10月頃に,2ちゃんねるにおいて,日本が今後スタグフレーションに陥っていく,というより,もう陥っていると指摘していた人がいたらしい。

 

okanehadaiji.co

彼がどこの誰なのか知らないが,仮に彼を予言者と呼ぶ。

予言者の言うことはほぼ完璧に当たった。

アベノミクス開始から3年以上が経った今,3年分の統計データが揃い,アベノミクスの成否を判断することが可能になった。

それが予言のあった2014年10月との大きな違いである。

結果から見て,アベノミクスの正体は官製スタグフレーションだと私は断言する。

賃金がほぼ上がらなかったのに,物価だけが急上昇してしまった。それが未曾有の消費低下を招き,消費税増税の再延期をせざるを得なくなった。

このブログで何度も引用しているグラフで以下説明する。既に同じ事を何度も書いているが,あえてまた書く。

急激過ぎた物価上昇

下記のグラフは過去10年の消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の推移である。

(※なお,なぜ「持家の帰属家賃を除く総合」を用いるかというと,厚労省の統計データにおいて,これが実質賃金算定の基礎となっているからである。)

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総務省統計局統計表一覧

 

 この3年間で一気に4.9ポイントも上昇した。物価が一気に約5%上昇したことになる。平成26年の消費税増税に加え,黒田バズーカ(異次元の金融緩和)で無理矢理円安を進めたからである。

ほぼ伸びなかった名目賃金

下記のグラフは過去10年間の名目賃金の推移を示したものである。

名目賃金はこの3年間でわずか0.1ポイントしか伸びなかった。

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

 

名目賃金が0.1ポイント,消費者物価指数が4.9ポイント。

伸びた数字だけで比較すれば,物価は名目賃金の49倍のペースで伸びたことになる。

賃金が全く追いついていないことが分かる。

そして,より細かくみると,下記業種別名目賃金の推移のとおり,名目賃金が伸びたのは製造業だけである。他は平成24年より平成27年の方が下回っている。

円安効果で恩恵を受けた企業のみ賃上げしたということであろう。

(※厚労省は「製造業」「卸売・小売」「医療・福祉」別の名目賃金指数も公表している。この他のカテゴリーは公表していない。)

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

だが,全体としてはわずかに0.1しか伸びなかった。

実質賃金の急降下

上記のとおり,名目賃金がほぼ伸びなかったにもかかわらず,物価だけが急激に上昇したため,実質賃金が4.6ポイントも下がってしまった。

(※実質賃金指数=名目賃金÷消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)×100)

正にスタグフレーションである。

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

 

なお,先ほど見たとおり,製造業だけは名目賃金が上昇していた。

しかし,その製造業の実質賃金のみを取り出して見てみても,やはり実質賃金は下がっている。

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

 

アベノミクスによる円安の恩恵を受けたであろう製造業ですら,実質賃金の低下を免れなかったのである。

 

消費の圧倒的冷え込み

このように実質賃金が低下した結果,家計の消費支出は圧倒的に急降下した。

下記のグラフは過去10年の実質家計消費支出指数の推移である。

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統計局ホームページ/家計調査 家計消費指数 結果表(平成22年基準)

 

 3年間で実に5.8ポイントもの急降下である。

リーマンショック以来の異常事態発生

 

下記のグラフは過去4年間の実質民間最終消費支出の推移である。

実質民間最終消費支出とは,GDPの約6割を占めるものであり,正に日本経済の核をなすものである。ここが伸びなければ,経済成長は絶対にあり得ない。

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内閣府の統計データを元に作成。

 

 ご覧のとおり,2015年の実質民間最終消費支出は,アベノミクス開始前の2012年の数字を下回ってしまった。先ほど見た家計消費支出の急降下がこの結果に直結したことは明白である。

 

そして,このように,「3年前の数字を下回る」という現象が起きたのは,リーマンショックの翌年(2009年)以来である。

 

ここで,過去22年間の実質民間最終消費支出の推移を見ていただきたい。

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内閣府の統計データを元に作成。

 ご覧のとおり,実質民間最終消費支出というのは,基本的に右肩上がりなので,下がることが滅多にない。東日本大震災の時(2011年)ですら下がっていない。

 

下がったのは過去22年間でたったの5回。

その5回のうち2回がアベノミクス

「実質民間最終消費支出が3年前を下回る」ということが,どれほどの異常事態なのか,これでお分かりいただけだろうか。

物価の急上昇という現象が発生しなければ,そのまま順調に伸びていたであろう。

 

ここで,「実質民間最終消費支出がアベノミクス前を下回った」ことを持って,私はアベノミクスが失敗したと判断する。

なぜなら,前述のとおり,実質民間最終消費支出はGDPの約6割を占めるものであり,ここが伸びなければ経済成長はあり得ないからである。

このような惨憺たる結果になったので,安倍総理は消費税増税を延期せざるを得なかった。

なぜか誰も指摘しないアベノミクスの根本的誤り

アベノミクスの根本的誤りは,「物価が上がれば景気が良くなる」という思い込みを前提にしていることである。

3年間の社会実験でその思い込みが誤りであることは証明された。

 

・給料がそのままなのにモノの値段が上がったら,みんなモノを買わなくなる。

 ↓

・モノが買われなくなったら,企業が儲からない。

 ↓

・企業が儲からなければ,賃金は上がらない。

 

起きたことは,こんな単純なことなのだ。誰でも理解できる大間違いなのだ。

物価上昇が消費の低下を招いたのだ。

しかし,こんな単純なことなのに,誰もそれを指摘しない。

 

私は本当に歯がゆい。2ちゃんねるの予言者も,このまま行けば絶対にうまくいかないことが分かっていたのにそれが理解されないことで非常に歯がゆい思いをしたのではないか。

 

これを読んだ人は是非拡散していただきたい。

右派も左派も関係無いのだ。アベノミクスは国民の利益にならない。

アベノミクスの正体は,官製スタグフレーションなのだから。

絶対に止めなければならない。

幸いなことに,参院選が近い。ここで止めるしかない。

 

↓拡散用に作った替え歌がこちら。

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