モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

モノシリンがあらゆる「仕組み」を3分でまとめていきます。

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【完結編】続・アベノミクスによろしく~アベノミクス失敗の「原因」まで解説~

失業率が下がった?

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f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 安倍総理は「アベノミクスで景気が良くなって,失業率が下がった」って言っているね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain うん。結論から言うと,失業率の低下とアベノミクスに因果関係は無いというべきだろう。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain まず,本当に「景気が良くなった」と言えるのかが疑問だ。前作の振り返りを軽くしよう。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain アベノミクスの3年間で
1.物価が急上昇したのに(赤)
2.給料はそのまんまだったので(オレンジ)
3.物価を考慮した実質賃金が下がり(青)
4.消費が急激に冷え込んだ(緑)

 

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

総務省統計局統計表一覧

統計局ホームページ/家計調査 家計消費指数 結果表(平成22年基準)

 


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それで,GDPの約6割を占める実質民間最終消費支出がアベノミクス前を下回ったんだよね。

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内閣府の統計データを元に作成。


f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。その「実質民間最終消費支出が3年前を下回る」という現象はリーマンショックの翌年(2009年)以来の異常事態だった。だから増税も延期せざるを得なかった。こんな状況だから,国内消費に頼る企業にとっては,むしろ景気が悪くなっている。 物価を無理矢理上げたこと自体が消費を冷やしてしまったんだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain さらに,実質GDPを見てみよう。結局,実質民間最終消費支出の落ち込みが響いて,安倍政権は民主党政権の約3分の1しか実質GDPを伸ばせていない。2014年なんか前年比マイナスになってるしね

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内閣府の統計データを元に作成。


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 全然ダメじゃん。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain だから「アベノミクスで景気が良くなって失業率が下がった」とは言えないだろう。 大して経済成長していないのだから。失業率低下には他の要因があると考えるべきだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain ここで完全失業率の推移を見てみよう。

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統計局ホームページ/労働力調査 長期時系列データ


f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 民主党の3年間で下がった失業率は計0.8ポイント。対して安倍政権が0.9ポイント。その差はたったの0.1ポイントしかない。失業率が下がるペースはほとんど同じだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 経済には波があり,1度落ち込んで底をつくとそこから回復していく。そして,日本は大きな流れで言うと,リーマンショック以来の回復期にある。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain さらに,東日本大震災の復興需要も経済には好材料だ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 元々経済が上昇していく時期が続いているということだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。だから失業率が下がるのは当然と言える。アベノミクスで消費が冷えなければもっと失業率は下がっていたかもしれない。そして,端的に言うと人手不足なのも失業率低下に影響している。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 下記厚生労働省作成資料にあるグラフのとおり,少子高齢化が進んで,日本は生産年齢人口が減少していく傾向にある。

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http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/07.pdf


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 働き手が少なくなっていくということだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。他方で,日本はずっと正規社員が減り,それに代わって非正規社員が増えていく傾向が続いている。これはアベノミクスとは全く関係無い。ずっと前からそうなんだ。下記のグラフを見てごらん。

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統計局ホームページ/労働力調査


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 正規社員が基本的に右肩下がりに減り続ける一方で,非正規社員は右肩上がりに増え続けているんだね。前年より下がったのは過去14年で1回だけか。グラフの向きが正反対だ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。アベノミクスにおいても,非正規社員は3年間で167万人増えた。他方,正規社員は最後の年は26万人増えたけど,3年間を通してみると,結局36万人減っている。 最後の年を除いて,今までと同じ傾向がアベノミクスにおいても続いたと言える。最後の年で何故変わったのかは後で説明しよう。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 下記のグラフを見ると,労働者に占める非正規労働者の割合が増え続けているのが分かるだろう。

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統計局ホームページ/労働力調査
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 正規社員は1人当たりの働く時間が長いが,非正規社員は1人当たりの働く時間が短い。だから,下記のグラフのとおり,労働者1人あたりの労働時間は下がり続けている。

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毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査) 結果の概要|厚生労働省


f:id:monoshirin:20151008215747j:plain さて,ここから何が言えるかな。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 働く時間の長い人(正規社員)を減らす代わりに,働く時間の短い人(非正規社員)をたくさん雇う構造に変化しているということだね。

f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そうやって正規社員が減って非正規雇用が増えていくと,労働者の数は全体として増えていくことになるね。経済成長もあるだろうけど,前から続いている雇用構造の変化も影響して雇用者数が増えていくわけだね。 
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおりだ。下記のグラフを見てもずっと以前から基本的に雇用者数が右肩上がりなのが分かるだろう。その一方で,働き手自体の人口は減っていく運命にある。 

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統計局ホームページ/労働力調査

f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そうか。だから人手不足になるんだね。ただでさえ生産年齢人口が減っていくところに,労働者がたくさん必要な雇用構造への変化が続いているから,余計に人手が足りなくなるのか。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。そして,人手が足りないのだから失業率が下がるのは当然だ。さらに,求人倍率等の他の雇用関係の数字が改善していくのも同じ理由だ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain ふ~ん。そう言われると確かにアベノミクスと関係なさそうだな。リーマンショック以来の回復期にあることも考えると,特に何もしないでも勝手に失業率は下がりそう。ところで,何で2015年だけ正規社員が26万人も増えているの?
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain ずっと続いていた傾向が急に変わる背景には,法改正による強制力が働いたとみるべきだね。これは正規社員の推移を男女に分けて見てみるとよく分かるよ。

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統計局ホームページ/労働力調査
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain あれ?2015年で増えた正規社員26万人のうち,男性が2万人で,女性が23万人を占めているのか(※残りの1万人は端数)。なんで女性だけこんなに多いの?この年になって急に女性の社会進出が進んだとも思えないし。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain おそらく,労働契約法の改正が影響しているんじゃないかな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 労働契約法の改正により,ざっくりいうと,非正規社員でも5年を越えて雇った場合は,その社員からの申込みがあれば,正規社員として雇うことが義務付けられた。

労働契約法の改正について〜有期労働契約の新しいルールができました〜 |厚生労働省


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 非正規社員を雇って5年を越えたら正規社員にしなければならないということか。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。この法律の影響で非正規社員から正規社員への転換が進んだとすれば,女性の方が人数が多いのも納得できる。下記グラフのとおり,非正規雇用に占める女性の割合は約7割で,圧倒的に男性より多いからね。

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統計局ホームページ/労働力調査
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そうか。この法律改正が公布されたのっていつ?
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 平成24年の8月10日。つまり,民主党政権の時だ。だから,アベノミクスとは関係無い。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain ふ~ん。まだ5年経過には余裕があるけど,いずれ正規社員にしなければならないから,みんな一斉に非正規社員を正規社員に転換し始めたのかな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain うん。そうだとすると,今後も転換は進んでいくだろう。おそらく,勤務時間や業務内容,勤務地に限定のある「限定正社員」に転換させていくケースが多いんじゃないかな。

輸出で潤った?

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f:id:monoshirin:20151008215749j:plain アベノミクスで円安が進んだから,輸出は調子よかったんじゃ無いの。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだね。確かに実質輸出は大きく伸びている。

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内閣府の統計データを元に作成。

 


f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そして,輸出の恩恵を一番受ける製造業の名目賃金は1.5ポイント伸びている。ちなみに他は逆に下がっている。

(※厚労省は「製造業」「卸売・小売」「医療・福祉」の業種別名目賃金指数を公開しているが,これ以外のカテゴリは公開していない。)

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 全体の平均値は0.1しか伸びなかったけど,製造業だけは比較的に伸びていたんだな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain だが,問題はやっぱり物価を考慮した実質賃金だ。ご覧のとおり,製造業だけの実質賃金指数を見ても下がっている。

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毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

 


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain あ~製造業ですらあの物価上昇の壁を越えられなかったんだな・・・ちょっと待って。一番円安の恩恵を受けたであろう製造業すら実質賃金が下がっているということは,労働者にとってアベノミクスで得したことなんてあるの。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 無いと思うよ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain仮に製造業の実質賃金が上がっていたら,それが国内消費にも波及していたかもしれない。でも下がってしまったから波及効果は無かったというべきだろう。現に実質民間最終消費支出は下がってしまっているからね。 そして国内消費への波及効が無いのであれば,国内経済全体が伸び悩んでしまうから,輸出を伸ばした意味が無い。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plainもっと気前よく給料上げればいいんじゃないの? 
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 経営者達は円安による好況が一過性のものだと思っているんじゃないかな。だから賃上げに慎重になるのだろう。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それは経営判断として不合理とも言い難いな~。

第3の矢?

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f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 金融緩和で物価を上げる政策はアベノミクス第1の矢だよね。他の2つの矢はどうなったの。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 第2の矢は財政政策で,これは公共投資等を指す。これについては特に言及することはない。おおいにやればいい。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 第3の矢は成長戦略。これは,法律を改正して規制緩和するなどして,経済を成長させるというものだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その第3の矢の内容の一部として,残業代ゼロ法案というものがある。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それさあ「時間ではなく成果で評価する制度」って去年政府が宣伝してたやつでしょ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その宣伝は全くのウソだ。なぜなら,肝心の法案に成果主義を義務付ける条文」が存在しないからだ。本当のことを言うと国民の反発が凄いからウソをついている。 残業代が無くなれば長時間労働のブレーキが無くなり,過労死や過労うつがますます増えることになるから大問題なんだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 詳しくは下記のリンク先を見てみるといい。単に残業代を無くしてコストカットしたいだけの法改正だ。

ブラック企業被害対策弁護団


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それが何で経済成長につながるの?
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain コストカットすれば,企業の利益が増えるからだろう。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それさあ,ひとつの企業だけ見ればコストカットで利益上がるだろうけど,それをみんなでやったら賃金が減って消費が減るだけじゃん。そしたら結局経済成長しなくてみんな損するんじゃないの。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その通りだ。太郎が言うように,各人が個別に合理的と思う行動を取った結果,全体としては不合理な結果になってしまうことを「合成の誤謬」という。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 政治家の仕事って,その「合成の誤謬」が生じないようにすることじゃないの。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおり。そのためには高い知性と広い視野が必要だね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そうだよね。それにしても第3の矢とか期待させといてとんでもねえの用意してんじゃん。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain うん。しかもその法案はあえて今年の国会で審議入りさせていない。参院選で不利になるからね。選挙で勝てば確実に通そうとしてくるよ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 年金運用の成績発表時期をずらしたことと言い,本当にやることがせこいな。

「原因」と「結果」の取り違え

 

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f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 結局,アベノミクスはどうしてうまくいかなかったのかな。

f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 前提にしている仮説が誤っているからさ。 

f:id:monoshirin:20151008215747j:plain アベノミクスは,「リフレ派」と言われる経済学者達の「仮説」を前提にしている。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain それは,端的に言うと,「物価が上がれば消費も増えて景気が良くなり,給料も上がっていく」というものだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain だから必死になって物価を上げようとしてるんだな。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain でも現実に起きたのは「物価だけ上がって給料そのまま。だからみんなモノを買わなくなって逆に消費は冷えちゃった」という現象だよね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。思いっきり仮説が間違えていたんだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 景気が良くなれば,物価が上がるのは確かだ。だが,その逆は成り立たないことがこの3年間の社会実験で証明された。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 物価が上がるのは,景気が良くなった「結果」であって「原因」ではなかった,ということだね。結局,原因と結果を取り違えていたと言うことか。

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f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そもそもさ~,なんで「物価が上がれば消費も増える」ってなるの?逆じゃないの?値段が上がればみんな買わなくなるじゃん
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain それが一般人の普通の感覚だよね。そしてその感覚は正しい。この3年間の社会実験でそれは証明されている。リフレ派の理論のおかしいところを3点に要約して説明しよう。

1.反動減を考えていない

f:id:monoshirin:20151008215747j:plain リフレ派はね,「金融緩和をして物価を思いっきり上げていくぞ~」と中央銀行(日銀)が宣言して,実際にそれを行動に移すと,皆が「あ,物価が上がっていく」と予想するという。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain この「物価が上がっていく」という予想を「インフレ予想」という。そして,人々がインフレ予想をすると「物価が上がる前に先に買おう」と考えるから,需要が伸びると考えるんだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それ,増税前の駆け込み需要と全く同じ現象じゃないの。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおり。増税は「完璧なインフレ予想」を引き起こす。なぜなら,物価が何年何月何日に何%上がるのかを,みんな知っているからだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain ここまで完璧なインフレ予想が成立すると,確かに需要は伸びる。しかし,問題はその後だ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 絶対に反動がくるよね。現にそうなってるし。 
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおり。需要が伸びるのは,後で来るはずの需要が先に来ているだけだから,必ず反動が来る。つまり,需要が伸びるのは一時的な現象に過ぎないんだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 需要を先食いしているだけだということだね。反動減の後に待っているのは物価が上がった世界だから,結局消費は冷えるだけだよね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。リフレ派は反動減に考えが及んでいない。長期的に見ればこれで経済成長しつづけるはずがないんだ。

2.金融緩和で「インフレ予想」は起こせるのか?

f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 次に,そもそも金融緩和で「インフレ予想」なるものを起こせるのかどうかが疑問だ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 円とドルの為替レートの推移を見てごらん。アベノミクス前は80円程度だったのが,ピーク時には120円台まで行っている。実に1.5倍だ。

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アメリカ ドル / 日本 円【USDJPY】:外国為替 - Yahoo!ファイナンス


f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これだけ金融緩和をして急激に円安を進めて物価を上げても,結局「みんながインフレ予想をして消費が伸びる」という現象は起きなかった。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain おそらく,「金融緩和でインフレ予想が起き,消費が伸びる」という現象は世界の歴史においても起きたことは無いんじゃないかな。 だから,そもそもそんな現象は発生しないと考えるのが妥当だろう。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そんないい加減なものに賭けてたのかよ・・・
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そして今後も「インフレ予想で消費が伸びる現象」は起きないだろう。今までがそうだった上に,「物価が目標値に達しない」という報道が散々されているからね。

3.「インフレ予想」が起きなかったらどうすんの?

f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そして最も致命的なのが「インフレ予想」が起きなかったらどうなるのかを全く考えていないことだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 消費が伸びるのはインフレ予想があるのが前提なんだよね。それが無いということは,物価だけ上がって消費はダダ下がり。儲からないから給料もそのまま。 

f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 全然レベル(給料)が上がっていないのに次のステージ(物価が上がった世界)に来ちゃったことになるよね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それ,今の日本じゃねえか。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 結局「インフレ予想で消費が伸びる」という起きるかどうかもよく分からない現象に賭けて見事に失敗したということか。 国民を道連れに勝つあてもない博打をしたということだね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 仮にインフレ予想が起きて需要が伸びてもそれは単なる需要の先食いで反動減があるしね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain まとめよう。リフレ派の理論通りにインフレ予想が起きて消費が一時的に伸びたとしても,結局反動減でその後消費は冷える。インフレ予想が起きなかったら,ただ単に消費が冷える。 どっちにしても,消費は冷える。そして,インフレ予想による消費増は金融緩和では起こせないと考えるのが妥当。インフレ予想による消費増は,増税以外では起きない現象と言うべき。

 

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何でこんな仮説を採用したのか

f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 何でリフレ派の仮説が採用されたの?
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 主としてノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンという人が提唱している仮説だった,ということが大きいだろう。 他にも著名な経済学者達が賛同している。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain ノーベル経済学賞という権威で信じ込んじゃったわけだな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain うん。だが仮説は仮説に過ぎない。起きたことが全てだ。クルーグマンは神じゃない。ところで,そのクルーグマンは今から1年以上前にこんな発言をしている。

president.jp

 

円安のマイナスの影響で物価はすでに上昇しているが、物価だけが上昇するのは当然好ましくない。賃金は年に3、4%上がり、物価は年に2%かそれ以上上がるのがいい

日本では今急速な円安のマイナス面が表面化し、物価が上昇しているが、それに対して賃金上昇が追いついていないために、スタグフレーションに陥りつつある


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain このクルーグマンの発言を前提にしたら,今の日本はスタグフレーションじゃん名目賃金の伸びなんかほぼゼロなんだから。 3年で0.1%しか伸びてないんだから,年平均にすると約0.03%しか伸びていない。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだね。そして,重要なのは,クルーグマンが「名目賃金が年3~4%で伸びるのが望ましい」と言っている点だ。これはあまりにも非現実的な想定なんだよ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 労働者の平均月給は約30万。だから,クルーグマンのいう年3~4%というのは,年に約9000円~1万2000円のペースで平均月給が伸びることを意味する。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain しかし,あのトヨタですら今年のベースアップは1500円だった。去年でも4000円だ。しかもこれは円安の恩恵を最大限に受けた企業の話で,労働者全体の平均月給は年100円程度しか伸びていない。クルーグマンの言っている数字はありえないんだよ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain リフレ派は,具体的な名目賃金の伸びについて全く考えていないということだな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。ちなみに,アベノミクス3年間で,物価が5%上がって,給料がそのままということは,具体的な数字にすると,平均月給が実質的に約1万5000円下がったことを意味する。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これは今年のトヨタのベア10年分だ。 「毎年1500円のペースで平均月給が伸び続けて10年かかる分」が下がってしまったということだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そんなんじゃあ名目賃金の伸びが物価の伸びに追いつくことなんてありえないじゃん。 
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。ただ,物価が下がれば話は別だ。最近実質賃金が上がったけど,あれは円高になって物価が下がったからだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 要するにアベノミクスは関係ないということだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そう。アベノミクスは物価を上げていく政策だからね。

決めるのは,私達の一票

 

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f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 前提としている仮説が誤っているんだから,今後もアベノミクスはうまくいかないだろうね。 物価を上げても実質賃金が下がって消費が冷えるだけ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだね。そして,「アベノミクスを止めてください」と国民が意思表示する最良の機会は,参議院選挙だ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 選挙で勝たせちゃったら,後は何言っても押し切るだろうな。言い出しっぺだから「失敗でした」なんて今更言えないだろうし。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 今回は政権が交代するわけでもないから,野党に入れるのもありだな。政権交代選挙だったらさすがに躊躇するけど。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだね。大いに悩めばいい。君の一票が日本の未来を左右するんだから。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain じっくり考えるよ。絶対に棄権はしない。自分の手で未来を選びたい。

 

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