モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

モノシリンがあらゆる「仕組み」を3分でまとめていきます。

作者の連絡先⇒ monoshirin@gmail.com

異次元の金融緩和の異常性が一目で分かるグラフ

f:id:monoshirin:20161221214115j:plain

※データ引用元

・日本名目GDP⇒国民経済計算(GDP統計) - 内閣府

・日本マネタリーベース⇒マネタリーベース :日本銀行 Bank of Japan

・アメリカ名目GDP⇒Report for Selected Countries and Subjects

・アメリカマネタリーベース⇒St. Louis Adjusted Monetary Base | FRED | St. Louis Fed

 

 

このグラフは日米のマネタリーベースの対自国名目GDP比率の推移を示したものである。

マネタリーベースは各年の12月のもの。これを各年の名目GDPで割って比率を算出している。

 

このグラフは全国民必見じゃないかと思う

 

マネタリーベースというのは,現金の通貨と民間の金融機関が中央銀行に預けた金の合計のことである。

マネタリーベース - Wikipedia

 

非常にざっくり言うと,日本なら日銀が供給する通貨を意味する。世の中に流通する全てのお金の基になるお金である。

 

金融緩和というのは,凄く簡単に言えばお金をジャブジャブ供給することなので,当然マネタリーベースは増える。

日本のマネタリーベースの推移をグラフにすると下記のとおり。

f:id:monoshirin:20160924121034j:plain

マネタリーベース :日本銀行 Bank of Japan

 

これだけでも異常に見える。しかし,必ず「アメリカも同じような金融緩和やってるだろ」とツッコミを入れる輩がいる。

そこで,アメリカのマネタリーベースの推移を見ると確かに異常に増えている。

f:id:monoshirin:20160924122047j:plain

St. Louis Adjusted Monetary Base | FRED | St. Louis Fed

 

ほ~らアメリカ様もやってるじゃないか。金融緩和は世界的なスタンダードなんだよ。と一瞬思われるかもしれない。

だが,日本とアメリカでは経済規模が全然違う。アメリカの名目GDPは日本の3倍を優に超える。

そこで,金融緩和の規模を正確に比較するなら,マネタリーベースが自国の名目GDPに占める割合を比較するべき,ということになる。

こういう観点から作成したのが冒頭のグラフである。もう一度掲載するのでじっくり眺めていただきたい。

f:id:monoshirin:20161221214115j:plain

昇竜拳みたいに増えてるね。ハハッ!

アメリカなんぞ比較にならん。

 

ついでに計算表もあげておく。

 日本(単位:10億円)アメリカ(単位:10億ドル)
①マネタリーベース ②名目GDP 比率
(①÷②)
③マネタリーベース ④名目GDP 比率
(③÷④)
2007年 88844.0 512975.2 17.3% 846.237 14477.625 5.8%
2008年 90466.8 501209.3 18.0% 1690.818 14718.575 11.5%
2009年 95212.2 471138.7 20.2% 1994.428 14418.725 13.8%
2010年 102082.5 482676.9 21.1% 1982.748 14964.400 13.2%
2011年 116190.0 471578.7 24.6% 2559.178 15517.925 16.5%
2012年 130604.5 475331.7 27.5% 2633.299 16155.250 16.3%
2013年 192574.5 479083.7 40.2% 3670.162 16691.500 22.0%
2014年 267756.2 486871.2 55.0% 3994.512 17393.100 23.0%
2015年 348342.5 499211.2 69.8% 3822.103 18036.650 21.2%

 

アメリカの金融緩和なんて大したことないじゃないかと思うかもしれないがそれは間違いだ。アメリカだってめちゃくちゃマネタリーベースを増やした。

日本が異常過ぎてアメリカがしょぼく見えてしまうだけである。ちなみに,アメリカはもう金融緩和やってません。

 

そして・・・この程度で驚いてはいけない。暦年名目GDPのデータが2015年までしかないので、上記のグラフは2015年までしかない。

 

が、日本のマネタリーベースは2016年に入ってからも年間80兆円のペースを維持して伸び続けている。

2016年11月現在,その額は約420兆円っっ!!

名目GDPが今年も約500兆円だとすると,比率は約84%っっ!!

このペースだと来年100%行くんじゃないか。まるで幽遊白書に出てくる戸愚呂弟の爆肉鋼体のようだ。

戸愚呂弟は100%を越えた後に体が崩壊して死亡したが日本もそうなるのだろうか。

 

ちなみに,日銀はつい最近,この狂ったマネタリーベースの増加政策を維持すると高らかに宣言しました。

全然効果出ていないのにね。

www3.nhk.or.jp

 

もう止められないんですよ。止めたら株価が大暴落するのは目に見えてますから。

 

緩和を止めたら為替はどうなるんでしょうね。円高になるんでしょうか。

私は逆に超円安になる可能性もあると思いますよ。だって世界中の投資家が「ついに日本が失敗を認めた!もう日本ヤベーぞ!」って判断して円を売りまくる可能性は否定できないじゃあないですか。そうしたら円が暴落しますよ。そして物価は狂ったように上がり,実質賃金は狂ったように下がり,日本経済は沈没していく・・・これ,あり得ないシナリオだって言い切れますかね?

 

誰が,いつ,どうやってこの金融緩和を止めるのか。少なくとも黒田総裁は絶対止めないだろう。任期満了まで逃げるに違いない。

崩壊が来るのは確実で,問題はそれがいつになるか,ということではないだろうか。

ああ,恐ろしい。安倍総理と黒田総裁はパンドラの箱を開けてしまった。

 

ところで,異次元の金融緩和が日本経済を停滞させたことは繰り返し書いているが,私の記事を初めて見る人もいると思うので念のため書いておく。

 

アベノミクス3年間で,
1.物価が急上昇したのに(赤)
2.給料はそのまんまだったので(オレンジ)
3.物価を考慮した実質賃金が下がり(青)
4.消費が急激に冷え込んだ(緑)

 

f:id:monoshirin:20160620232154j:plain

毎月勤労統計調査 平成27年分結果確報|厚生労働省

総務省統計局統計表一覧

統計局ホームページ/家計調査 家計消費指数 結果表(平成22年基準)

 

そして家計消費の低下が実質GDPの6割を占める実質民間最終消費支出の低下に直結した。

アベノミクス前よりも下がってしまったのである。

f:id:monoshirin:20160603222450j:plain

内閣府の統計データを元に作成。

増税でただでさえ物価が上がるというのに,黒田バズーカで無理矢理円安にしたのでさらに物価が上がってしまった。

消費者は往復ビンタを食らったような状態になるので,消費が下がるのは当然の結果である。

なお,下記日銀の試算によると,3%の増税による物価上昇は2%である。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1404b.pdf

つまり,3年間で約5%上がった物価のうち,2%は増税だが,残る3%は金融緩和による円安の影響である。アベノミクス(の第一の矢)がもたらした物価上昇の影響の方が大きいということである。

 

下記のグラフは上記のグラフの期間を過去22年間にまで広げたもの。見てのとおり,実質民間最終消費支出は基本的に右肩上がりなので下がること自体が滅多に無い。

下がったのは過去22年間でたったの5回。そのうち2回をアベノミクスが占める。

そして,「3年前より下がる」という現象が起きたのは,あのリーマンショックの翌年2009年以来の超異常現象

f:id:monoshirin:20160528203755j:plain

内閣府の統計データを元に作成。

 

この民間消費の異常な冷え込みが大きく影響し,3年間で比較すると,結局安倍政権は民主党政権の約3分の1しか実質GDPを伸ばすことができなかった。

f:id:monoshirin:20160620232729j:plain

内閣府の統計データを元に作成。

 

なお,これだけ数字を見せても「それでも雇用は改善した」という輩がいるが,それがアベノミクスと無関係であることは下記の記事のとおりである。

blog.monoshirin.com

 

 

未だに日銀は「前年比2%」の物価上昇を目指しているが,統計を見ているのだろうか。

金融緩和は賃金上昇を伴わない「悪性インフレ」しかもたらなさい。

急激に物価を上げても賃金がそれにともなって上がるわけではないからである。

結局,金融緩和は実質賃金の低下をもたらし,消費の異常な冷え込みを招く。

 

仮に「前年比」2%の物価上昇を達成できたとしても,待っているのは消費の冷え込みである。それは統計が証明している。

躍起になって「悪性インフレ」を目指すのは狂っているとしか言いようが無い。

「うまくいかなかったのは全部増税のせい」という輩が大勢いる。しかし,増税も,異次元の金融緩和も「物価が上がる」という効果の面では全く同じである。そして,給料が上がらないのに物価だけ上がったら消費が冷えるのは当たり前。なんでこんな単純なことが分からないのだろうか。

そして,GDPの6割を占める消費が冷えると言うことは企業が儲からないということだから,そもそも賃金を上げる理由が無くなってしまう。賃金を上げる理由があるのは為替差益を得ることができる輸出企業だけ。内需企業は関係無い。

 

まあいくらこんなことピーチクパーチク私が言っても「でも民進党よりはマシ」っていう人が大半なんだろうな。

民進党には,統計的な根拠をもってアベノミクスをきちんと批判した上で,国民が理解しやすくかつ実効性のある経済政策を提示してもらいたいものである。

 

blog.monoshirin.com

blog.monoshirin.com