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モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

モノシリンがあらゆる「仕組み」を3分でまとめていきます。

作者の連絡先⇒ monoshirin@gmail.com

政府がGDPを改ざん?して名目GDP600兆円を達成できそうな数字にしてるぞ

内閣府GDP改ざん疑惑について続報を書く。

結論から言うと,今回の改定のどさくさに紛れた極めて怪しい数字の操作は,「2020年度に名目GDP600兆円達成」というストーリーに沿って作られた可能性があることが分かった。

まず,前回までの記事を要約する。

昨年12月8日,内閣府は新しいGDPの算出基準を採用し,それに伴い,1994年度まで遡ってGDPを改定した。

これによってまず,名目GDPが大幅にかさ上げされた。以下,改訂前を「平成17年基準」,改定後を「平成23年基準」と呼ぶ(※改定前の実質GDP算定基準年が平成17年,改定後の基準年が平成23年。)

f:id:monoshirin:20161228225019j:plain

全体的に大きくかさ上げされたが,特にアベノミクス以降のかさ上げ額が異常に大きい。以下のグラフのとおり。

f:id:monoshirin:20161228225423j:plain

上記を率にしたのが下記のグラフ。

f:id:monoshirin:20161228225516j:plain

アベノミクス開始以降だけ5%を越える高いかさ上げを記録している。

内閣府はこのかさ上げの内訳を公表している。内閣府公表資料から抜粋する。

f:id:monoshirin:20161228230509j:plain

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h27/sankou/pdf/point20161222.pdf

 

かさ上げ額の内訳を大きく2つに分けると,

1.2008SNA対応によるもの

2.「その他」

である。

 

2008SNAというのはGDPの国際的な算出基準である。以前は1993SNAを使用していた。この算出基準の変更によって研究開発費等がGDPに加えられるので,名目GDPが大きくかさ上げされる。

www.nikkei.com

 

まずは2008SNA対応によるかさ上げ額から見てみる。

f:id:monoshirin:20161229001042j:plain

これをかさ上げ率にすると下記のとおり。

f:id:monoshirin:20161229001406j:plain

2015年度が1位,2014年度が2位,2013年度が3位。アベノミクス開始以降の年度が上位をすべて占めている

だが,最も重要なのは「その他」のかさ上げ額だ。以下のグラフを見ていただきたい。

f:id:monoshirin:20161229001940j:plain

アベノミクス開始以降の年度が異常にかさ上げされているのが一目瞭然である。アベノミクスの開始前とは全く比較にならない。

「その他」のかさ上げ額がプラスになること自体,過去22年度でたった6回しかない。そのうちの半分をアベノミクス以降が占めている。

さらに,アベノミクス前だと,「その他」の最高かさ上げ額は2005年度の0.7兆円。他方,アベノミクス開始以後だと下記のとおり。

・2013年度4兆円

・2014年度5.3兆円

・2015年度7.5兆円

 

このように,アベノミクス以降のかさ上げが異常に突出している。特に2015年度のかさ上げ額なんてアベノミクス直前(2012年度)の12.5倍だぞ。誰が見てもおかしい。

 

この「その他」のかさ上げ額と,名目民間最終消費支出のかさ上げ額はほぼ一致している。

 「その他」かさ上げ額名目民間最終消費支出かさ上げ額
2013年度 4 4.3
2014年度 5.3 5.2
2015年度 7.5 7.9

 

要するに,「その他」で異常にかさ上げされた額が,アベノミクスで最も成績の悪かった民間最終消費支出にほぼそのまま充てられたように見える。

これによって民間最終消費支出がどれほどかさ上げされたのか,かさ上げ率を見てみよう。

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やはりアベノミクス以降が突出しているが,2015年度が異常過ぎる。

2.7%もかさ上げされている。

他の年度を大きく引き離してダントツの1位。

 

 

そして,内訳を見ても合計を見ても,名目GDPのかさ上げ額及び率は,2013年度<2014年度<2015年度になっている。

 

上記は前回までの説明だが,今回新たに「成長率のかさ上げ」についても分析したところ,驚くべき事実が判明した。

下記は改定前後の成長率を比較したグラフである。

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直近4年度にフォーカスしてみる。

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成長率までかさ上げされているのが分かる。これは非常に大きなポイントである。

2013年度は,改訂前と比べると成長率が0.9%かさ上げされている。凄まじい。

ここで,2014年度のかさ上げ額が2013年度と同じなら,改訂前と成長率は変わらない。差額が同じになるからである。

だから,2014年度の成長率をかさ上げするには,2013年度と比べ,さらに大きく名目GDPのかさ上げをしなければならない。

そして,2013年度と2014年度で大きくかさ上げされているので,2015年度はそれよりもさらに大きく名目GDPをかさ上げしなければ,成長率はかさ上げされない。

このように,成長率をかさ上げするには,後の年度になるほど名目GDPのかさ上げ額を増やしていかなければならない

 

だからかさ上げ額が2013年度<2014年度<2015年度となっており,特に2015年度のかさ上げ額が巨額になっている,,,そう考えると非常にしっくりくる。

 

では,なぜ成長率をかさ上げする必要があるのか。

その謎を解くヒントが,安倍総理の掲げる「2020年頃を目途に名目GDP600兆円達成」という目標である※。

(※下記経済財政諮問会議の公表資料に「具体的な目標は戦後最大の名目GDP600 兆円を 2020 年頃に達成すること」と明記されている。)

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/kinkyutaiousaku.pdf

 

改定後の名目GDPによれば,アベノミクス開始以降の3年度の成長率は約7.58%であり,これを単純に3で割って年平均を出すと約2.5%となる。

仮に,この率を維持して5年間成長し続けたとすると,2020年度に名目GDP600兆円を達成できるのである。

計算式:532.2×1.025×1.025×1.025×1.025×1.025≒602.2

アベノミクス以降の名目GDP成長率を維持できれば600兆円達成可能」と言えることになる。

これは果たして偶然だろうか。

なお,2.4%だと約599.2兆円となり,ギリギリで600兆円に達しない。

 

 

ここで,最も怪しい「その他」のかさ上げ額(2012年度0.6兆円,2013年度4兆円,2014年度5.3兆円,2015年度7.5兆円)を,直近4年度から差し引くと,成長率は下記のとおりになる。

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成長率のかさ上げ幅が極めて小さくなっている。成長率を算出してみると,3年間で約6.2%,単純に3で割って年平均を出すと約2.1%。

この数字のまま5年間成長したとすると名目GDPは下記のとおりになる。

524.7×1.021×1.021×1.021×1.021×1.021582.2

このように,600兆円には遠く及ばない。

(※524.7=532.2-7.5)

 

つまり「その他」で異常にかさ上げされた額が最も重要なポイントなのだ。

この怪しい数字のおかげで「今までのアベノミクスのペースを維持すれば2020年度に名目GDP600兆円を達成できる」というストーリーが出来上がる。

これは偶然だろうか?偶然にしては出来すぎていると思わないか?

 

政府は今回の大きなかさ上げについて「2008SNAに対応したから」という点を強調するだろう。

しかし,特に成長率について改訂前と大きな差がついた原因は「その他」の異常なかさ上げである。これは2008SNAとは全く関係無い。

 

「2008SNA対応」を隠れ蓑にしてGDPを改ざんし,2020年度に名目GDP600兆円を達成可能に見えるようにした・・・そう考えることは穿った見方だろうか?

 

野党はこの問題を絶対に追及するべきだろう。

一国の政府がGDPを改ざんしたとなれば世界を揺るがす大問題である。

当然,選挙にも影響するだろう。

このGDP改ざん疑惑が形成逆転のきっかけになるかもしれない。

 

 

データの入手先はこちら

平成17年基準データ(内閣府)

平成23年基準データ(内閣府)

 

 

最初にこの疑惑について書いた詳細版はこちら

blog.monoshirin.com

 

今まで書きためたアベノミクス関連記事はこちら。最初の3つは特に好評で,フェイスブックでのシェア数が全部合わせると3万ぐらいになっている。

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異次元の金融緩和の異常性がイマイチ国民に浸透していないので,下記2つの記事は是非読んでいただきたい。

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正社員の給料について書いたのが下記の記事。

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