【分かりやすくまとめると・・・】
・貨幣は,自然貨幣,商品貨幣,秤量貨幣,鋳造貨幣と進化していった。
・紙幣は,鋳造貨幣を預かったことを証明する預かり証として生まれた。
・貨幣は,みんなが貨幣の価値を「信じる」ことによって成り立っている。
まだ貨幣が存在しなかった時代,人々は物々交換をしていた。
お金と物を交換するのではなくて,物と物を交換するんだね。
例えば君が漁師だったとしよう。君が肉を欲しいと思った場合,その釣った魚と,動物の肉を交換することになる。
不便だね。魚何匹が肉何グラムに相当するのか,だれが決めるんだろうね。
それは物々交換の当事者で決めるんだろうけど,もめるだろうね。
それに,魚が欲しくない人との間では,そもそも交換が成り立たないね。
そうだ。物々交換は,物の価値があいまいだし,交換する物を欲しいと思わない人との間では成立しない。
いちいち交換物をもっていくのもめんどくさいしね。
そこで,貨幣が登場した。最初は貝殻とか石が使われていたようだ。
こういうものを自然貨幣というんだよ。
物々交換と違って,価値が一定だし,何とでも交換できるからはるかに便利だね。
そうだ。でも自然貨幣は,貨幣そのものには価値がないから,やがて使われなくなった。
そうだね。ただの貝とか石なら欲しいと思わないもんね。
次に使われたのは商品貨幣だ。これは,布,穀物,家畜などの商品を貨幣として使うものだ。
自然貨幣と違って,それ自体に価値があるわけだね。
でも,商品貨幣は持ち運びに不便なことや,保管できる期限に限界がある等の問題点があった。
そこで,金属が使われるようになったんだ。
金属だったら,それ自体に価値がある上に,持ち運びにも便利で,腐ったりカビが生えたりしないもんね。
自然貨幣と商品貨幣の欠点を補ったわけだな。
そうだ。最初は金属の重さを基準に貨幣の価値が定められた。
これを秤量貨幣というんだよ。
重さ自体が価値になるということだね。まるで肉の量り売りみたいだな。
でもそれじゃあやっぱり持ち運びに不便になるよね。
そうだ。そこで,金属を溶かして型に流し込み,一定の形に整えたものが使用されるようになった。
それが鋳造貨幣というものだ。鋳造貨幣は,そこに記載された数字の価値を持つとされる。
重さではなく,そこに記載された数字で価値が決まるから,計数貨幣ともいうんだ。
コインとか,小判とかがそうだね。それなら秤量貨幣よりは持ち運びが便利だね。
そうだ。そして,鋳造貨幣では,その貨幣の金属としての価値と,貨幣としての価値に差が出る。
例えば,ここに100グラムの鉄で作ったコインがあり,そのコインの価値は1万円だったとしよう。
そして,鉄100グラムが100円だったとする。
そうすると,コインは単なる金属としては100円に過ぎないのに,それが貨幣になることで1万円の価値を持つことになるんだ。
なんか不思議だね。皆がそのコインに1万円の価値があると信じていなければ使えないね。
そのとおりだ。今君は重要なキーワードを言ったね。
つまり,鋳造貨幣は信用で成り立っているということだ。
鋳造貨幣に価値があるとみんなが信じているから,交換物として使えることになる。
信じていなければ,誰も交換してくれないものね。
例えば僕が勝手にお札を作っても,だれもそれとは交換してくれない。
そうだね。ただ,鋳造貨幣でも,やはり持ち運びには不便だ。量が増えれば単純に重いしね。
それに,持ち運んでいるうちに摩耗するかもしれないし,盗まれる恐れもある。
そこで,鋳造貨幣を商人に預けて,代わりに証書を発行してもらうことが始められた。
みんなその証書で取引をするようになるわけだな。
そうだ。そうすると,その証書自体が信用されて価値を持つようになる。
やがて,商人が発行していた証書は,統一されて銀行が発行するようになった。
それが紙幣の始まりさ。
このように,紙幣は元々預けたものと交換できる権利を証明するものだった。
今はそうじゃないよね。紙幣それ自体に価値があるよね。
そのとおりだが,昔はそうじゃなかった。
ひと昔前は,紙幣も硬貨も,金との交換を保証するものだった。
これは,異なる国の人達が取引しやすいよう,各国の貨幣と金を交換できる制度が作られたからだ。
これは金本位制とよばれる。貨幣を手にした人は,貨幣の価値に見合った金と交換することを保証された。
金との交換を保証することで,貨幣の価値を信用させていたんだね。
そうだ。だが,金本位制だと,金を用意しないといけない。
金は貴重な金属だから,足りなくなっちゃうね。
そうだ。だから,金本位制は廃止された。
今は,その国が発行している貨幣そのものに対する信用で,貨幣は成り立っている。
それを言い換えると,国に対する信用で成り立っているわけだね。
そうだ。だから,国に対する信用が下がると,その国の貨幣の価値が下がることになる。
では,銀行の話が出てきたから,次は銀行について話すことにしよう。
↓読んだついでにポチッと押してください。
にほんブログ村