【分かりやすくまとめると・・・】
・民主主義というのは,国民が一番強い権力をもち,自らの手で国民のための政治を行うという考え方。
・民主主義国家に共通するのは,憲法を定め,権力を立法,行政,司法に分けていること。これは権力の暴走を防ぐため。
・民主主義は専制主義等とくらべると時間と労力をかけずに軌道修正できるため,結果的に国が安定し,経済も繁栄する。
民主主義というのはいろいろな定義があるけど,僕なりに端的に言うと,次のような主義だ。
つまり,国民が一番強い権力をもち,自らの手で国民のための政治を行うという考え方だ。
これと真逆なのが,例えば王様が政治を行う専制主義だ。
端的に言えば,王様が一番偉くて,王様自身の手で王様のために政治をする考え方だ。
王様は何でもできちゃうね。
そうだ。そこが問題だ。誰か1人が権力を握ると,その人は暴走してしまう可能性が非常に高い。
現に歴史はそれを繰り返し,権力の暴走でたくさんの人が犠牲になってきた。
民主主義はそのような権力の暴走が起きないように生まれた考え方であるとも言える。
現在,先進国のほとんどの国が民主主義国家だ。
そして,それらの国にほぼ共通しているのは,国の最高法規として憲法を定めているという点だ。
憲法は,国家権力を縛り,その暴走を食い止めるためにあるものだ。
民主主義を実現するためにあるということかな。
そうだね。憲法が具体的に定めているのは,国民の基本的人権の保障と,権力分立だ。
基本的人権の保障の背景にある考え方は,全ての人は自由であり,平等であるという考え方だ。
この考え方は,国の経済的発展にも大きく貢献する。
全ての人が自由で平等だったら,優れた人がどんどん出世できるものね。
生まれながらに身分が固定されていたら,そんなことはできない。
そのとおり。そして,基本的人権の尊重は,権力の暴走を抑えるのも役立つ。
例えば,表現の自由は最も重要と言って良い。
表現の自由というのは,端的に言うと言いたいことを言う権利ということだ。
言いたいことを言えなければ,権力を批判できないから,結果として権力を暴走させることになっちゃうね。
そのとおり。ところで,他の人権,例えば経済的自由に関する権利なんかは,侵害されたら選挙で正せばよい。
しかし,表現の自由が侵害されると,選挙において投票を判断する前提となる正しい情報がもたらされない。
表現の自由の侵害は選挙で正すことができないということだね。
そのとおり。だから,基本的人権の中でも特に表現の自由は非常に重要なんだ。
次に,権力分立というのは,権力を立法,司法,行政の3つに分ける考え方だ。
立法は法律を作ること,行政というのは法律を執行する役割のことだ。
そして,司法は法律を適用して紛争を解決することだ。
立法は国民に選挙で選ばれた議員からなる議会が行う。
そして,行政の長の選び方は,大きく分けて二つある。
一つは,議員の中から,議員が選ぶ方法がある。日本はこの方法を取っている。
もう一つは,国民が直接選ぶ方法だ。アメリカはこの方法を取っている。
いずれにせよ,国民から選ばれた人が行政を行うんだね。
そして,行政は法律が無いと行えないから,好き勝手はできないということだね。
そのとおりだ。そして,法律に関する解釈は司法を行う裁判所の役割だ。
行政の判断で勝手な法解釈をできないということだね。
そうやって3つの権力の間で相互に牽制して,権力が暴走しないようにしているんだね。
そのとおり。しかも,定期的に選挙を行って権力を入れ替えることで,より権力が暴走しないようにしている。
太郎,王様が専制政治をやっている国で,王様が暴走したらどうする。
う~ん。革命を起こして王様を交代させるかな。
そのためには非常に時間がかかるし,たくさんの人の命が犠牲になるだろう。
そうやって国のなかで争っているところに他の国から攻められたら征服されてしまうかもしれない。
争っている間は,経済も悪くなるだろう。
定期的に選挙を行う民主主義だったら,権力が暴走すれば選挙で落選させればよいだけだ。
時間も労力もかけずに革命を起こすようなものだね。非常に合理的だな。
そうだ。民主主義は国が間違った方向に向かってしまったとしても,それを素早く修正することが可能なんだ。
結局,民主主義という仕組みは,他の仕組みに比べると,国が安定するんだ。
国が安定すれば,国民は安心して自分の仕事に集中できて,経済も安定し,お金もたくさん生まれる。
王様が暴走して税金を勝手に増やしたり,財産を没収したり,他国に戦争を仕掛けたりしていたらそんなことにはならないね。
そうだ。そして,イギリスでは最も早く市民による革命がおき,民主主義が実現された。
それが産業革命に好影響を与えたんだね。
そうだ。では次にイギリスが民主主義を実現するまでを見てみよう。