【分かりやすくまとめると・・・】
・資本家を完全に自由にしてしまうと,過酷な長時間労働や低賃金労働が蔓延して結局経済成長を阻害する。
・上記の弊害があるので,法律で労働時間や最低賃金の規制がある。また,労働者が組織した労働組合を法律で保護し,資本家との交渉を可能にして労働条件が悪くなりすぎないようにしている。
・社会主義,共産主義は資本家から生産手段を取り上げる考え方だが,結局競争が無くなってうまくいかなった。
産業革命によって,資本主義が発達したといことは説明したね。
うん。生産手段を持つ資本家が労働者をたくさん働かせて商品を作り,それを売って利益をどんどんあげていったんだよね。
そうだ。そして,これをそのまま放置すると,いろいろな問題が生じてくる。
例えば,労働時間だ。何も規制をしなければ,資本家は労働者をものすごく長い時間働かせてしまう。
長時間働かせた方が商品をたくさん作れて,利益が上がるからだよね。
そうだ。しかし,人間の働く時間には限界がある。
長時間労働が放置された結果,労働者達の健康が非常に害されてしまった。
例えば,労働者達の平均寿命が短くなったり,平均身長が縮んでしまうという異常事態が生じたんだ。
そういう弊害があるから,今はほとんどの国で労働時間の上限に何らかの形で規制をかけている。
それから,賃金の面でも問題が生じてくる。
労働者達の賃金を凄く低くして,利益を大きくするということかな。
そうだ。賃金の決定を資本家に委ねていると,そういう状態になってしまう。
そして貧富の差が広がっていくということになる。
それは結局のところ,国の経済の停滞を招く。
労働者は商品を買う消費者でもあるものね。
その消費者が少しのお金しか持っていなかったら,商品が売れなくなっちゃうもんね。
そのとおりだ。低すぎる賃金は結局資本家達の首も絞める結果となる。
また,子供を産んで養えるだけのお金も無いことになるから,少子化にもつながってしまう。
国がどんどん衰退していっちゃうね。
そうだ。だからだいたいどこの国でも最低賃金というのが決められていて,給料がそれ以下にならないようにしている。
このような国による規制だけではなく,労働者達自身が資本家と交渉することも重要だ。
ただ,1人では資本家と対等に交渉する力が無いから,皆で団結して労働組合というものを作る。
労働組合を通して,資本家と交渉し,労働条件が悪くなりすぎないようにしているんだ。
このような労働組合については,憲法による保護が与えられているのが一般的だ。
資本家と労働者のバランスを取るのが重要だということだね。
そうだ。ところで,資本主義自体を悪とみなす考え方もある。
それが社会主義と言われるものだ。
社会主義では,資本家の持っている生産手段を国家が取り上げてしまう。
それで,生産した物によって得られた利益をみんなに平等に分配する。
その仕組みだったら,資本家と労働者の不平等は発生しないね。
だけど,みんな平等になったら,競争が無くなっちゃうね。
そう。社会主義はその点が問題だ。
競争が無いから,みんなあまり頑張る気が無くなって,経済が発展しないんだ。
それに,社会主義の場合,政治体制は独裁体制になる。
なんで?
社会主義からさらに進んだ共産主義への移行を実現するためさ。
共産主義では,生産手段から得られた利益を平等に分配するだけではなく,消費財も平等に分配される。
家も車も服も食べ物も全て平等に与えるということかな。何だな想像しづらいね。
そうだね。そういう状態になるまで革命を徹底するために,独裁が必要ということになるんだ。
確かに話し合いでみんなの意見を聞いていたら,そんな状態までいくとは思えないね。
でも独裁だったら自由が無くて窮屈だし,間違いがあっても直せないね。
そうだ。結局社会主義は上手く行かないことが分かった。
社会主義を取っていたソ連が崩壊してしまったことが一番の象徴的出来事さ。
バランスが大事なんだね。適度な競争を保ちつつ,格差が広がり過ぎないようにすることが必要なんだね。
そうだ。では,次に産業革命を支えた石炭の話をしよう。