君は「安倍晋三宅火炎瓶投擲事件」を知っているか
最近、「安倍晋三宅火炎瓶投擲事件」が話題になっている。
ウィキペディアにもページが作られているので、概要を引用する。
安倍晋三宅火炎瓶投擲事件(あべしんぞうたくかえんびんとうてきじけん)は、2000年6月から8月にかけて山口県下関市で、自由民主党衆議院議員安倍晋三の自宅や地元事務所をめがけ5回にわたり火炎瓶が投げ込まれた事件である。
こんなに昔の事件がなぜ話題になっているのか。
この事件は、ある会社社長が安倍氏に恨みを持ち、暴力団組員に火炎瓶の投擲を依頼したことが発端である。
その会社社長が今年の2月に出所した。
そして、ジャーナリスト山岡俊介氏が、その人物から、安倍事務所筆頭秘書と交わした3通の署名・捺印入り念書を入手したとして内容を報じたのである。
下記リンク参照。
なお、山岡俊介氏は、つい最近、スタジオアルタの階段から落ちて重傷を負っている。
この問題は今年7月17日の参議院内閣委員会で山本太郎議員が追及している。
山本議員の発言を一部引用する(議事録のNO92から)。
資料の四の二、火炎瓶事件で逮捕された方々の判決文。「被告人Aは、指定暴力団D組長、同Bは、同Aと親交を結ぶ者、同Cは、上記D組副組長であるが、被告人三名は、E及びFと共謀の上、同Bが恨みを抱いていた衆議院議員Gの後援会事務所あるいはG方に火炎びんを投げ入れてこれらに放火しようと企て、」とあります。つまり、指定暴力団D組長のAさん、この方のお友達Bさんが衆議院議員Gさんに恨みを持った。衆議院議員Gさんって、総理のことなんですね。
この山本氏が引用している判決について、ひょっとして裁判所の裁判例検索システムで検索したら出てくるかな~と思い検索してみたら、出てきたのである。
下記リンク参照
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/547/034547_hanrei.pdf
極めて長大な判決であり49ページもある。
そこで、大事な部分を引用してみる。
被告人Bは,本件各下関事件が発生した当時,有限会社S(以下「S」という )の会長として実質的に同社を経営しており,服役中に知り合った被告人Aとも親交を結んでいた。
Bというのはさっき述べた会社社長のことである。彼がキーマンである。
Aは暴力団の組長。Bは服役中にAと親しくなった。
「下関事件」とは、火炎瓶が投げ込まれた事件を指している(安倍氏の自宅以外にも後援会事務所等が火炎瓶を投げ込まれている。)
次が最も大事かもしれない部分。
自己の経営するSの資金繰りが苦しかった被告人Bは,G議員の地元秘書でかねてから交際していたW(以下「W」という )に対し,平成11年に 行われた下関市長選挙で自派と対立するX候補を当選させないように活動して貢献したと主張して金員の支払いを要求し,300万円の提供を受けた。
その後,被告人Bは,同年8月7日,借金の取り立てに絡む傷害罪で逮捕
されたところ,さらに,被告人B及びSの従業員U(以下「U」という )
は,同月30日,Wに対する恐喝罪で逮捕されたが,同年9月21日に起訴猶予処分となり,Uは同月26日に釈放され,被告人Bは同年10月26日に上記傷害罪につき保釈された。
B氏はX候補の選挙妨害をして貢献したと主張し、秘書Wから300万円もらったが、それをあとから「恐喝だ」と言われて逮捕された、ということのようである。
起訴猶予というのは、ざっくり言うと、起訴して有罪にできるだけの証拠はあるが、諸事情を考慮して起訴しない、というものである。諸事情というのは、例えば被害者との間で示談が成立したような場合である。
このケースでは、もし起訴すると裁判で必ず選挙妨害の件に触れることになり、安倍氏の立場が危うくなるので、検察が「忖度」した可能性もある。
Bとしては、頼まれた仕事をこなして報酬を得ただけなのに逮捕されたので激怒した。そして、暴力団組長Aに相談することになる。
被告人Bは 平成11年10月下旬ころ 被告人Aと再会し ,同人に対し,恐喝事件の件でG議員の秘書にはめられたなどと述べた。その後も,被告人Bは,被告人Aに対し,G議員の秘書にはめられたと述べたのに対し,被告人Aは,お金がないなどと自身の窮状について述べるとともに,知り合いの内装工事会社の社長Y(以下「Y」という )へ仕事を紹介するよう依頼した。
被告人Bは,同年11月初旬ころに,Yに対し知り合いの業者を紹介し,そのころから同月中旬にかけて,Yに対しても,被告人Aに述べたのと同様に,下関市長選でX候補をG議員側から頼まれて当選させないよう活動したのに,G議員の秘書にはめられて警察に逮捕された,決まっていた仕事も流れてしまった,その点の補償もさせる,許せんなどと恨み言を言っていた。
被告人Bは,同年11月15日前後ころ,被告人Aに対し,かなり興奮した様子で,G議員の秘書にはめられた,何かいい方法はないかと言ったところ,被告人Aから 「するに当たっては,先立つもんが要る。そのことをするにしても,自分の下のもんがするから,それに元が要るから 」などと返答された。
そして、火炎瓶投擲の話へ。
被告人Bは,同年4月初めころ,被告人AやYに対し,G議員側は許せな
いとG議員側への怨念を述べて,G議員側を苦しめて金を取る,火炎びんを投げ付ける,けん銃で撃ち込むなどと述べた。その際,被告人Aは,被告人Bの話に同調しながら,Yに対し,G議員の家や事務所の所在地について尋ね 「仲間がいじめられとる,許さん。金にせないけん。1億くらいのことはもらわないといけん 」などと言った (証人Y) 。
被告人Bは,同年4月25日,下関市内の料亭「Z」において,被告人A
やYが同席する場で,いつものようにG議員への怨念を述べ,被告人Aは,「金にせにゃいかん。」などと言い,被告人B及び被告人Aは,火をつける,火炎びんを投げるけん銃を撃ち込むなどの具体的な方法を話し合っていた 。
で、火炎瓶投擲事件が発生するのである。安倍氏の自宅や事務所、後援会事務所等が襲撃された。場所を間違えて全然関係ない結婚式場まで襲撃された。
こえ~。マジでこえ~。
リアルアウトレイジじゃねえか、これ。
しかし、若干滑稽なのが下記のくだりである。
被告人Bは,平成12年8月の盆を過ぎたころ,Uに 「事件が新聞やテレビには出ていないが,ちゃんとやったんかのう。おかしいのう 」などと言っていた。
Yが,同年8月終わりから9月初めにかけて,所用でA組事務所を訪れて被告人Aが事務所にいなかった際,Cは,ぼそっと「盆も行ったもんね 」と言った。
これほどアウトレイジな事件なのに、なぜか当時はほとんど報道されなかったようである。B氏はあまりにも報道されないので不安になっている。
あれかな、圧力ってやつかな。
大きく報道されたら「なんで火炎瓶投げ込まれんの?」ってなって、選挙妨害疑惑が世間に公になるからね。
さて、ここまでの流れを判決文が端的にまとめている個所があるのでそこも引用する。
前記2で認定した事実によれば,被告人Bは,G議員側に金銭を要求したが,G議員側からそれを拒絶され,かえって恐喝未遂の疑いで逮捕されるに至ったことに恨みを持ち,当初は,損害賠償請求や虚偽告訴を理由とした示談を弁護士を通じて行い,多額の金銭を得ようとしていたが,それができないとなると,懇意にしていた被告人AにG議員への報復を依頼し,その被告人Aが,報復の実行をCに指示し,Cが下関第1事件ではEと,下関第2ないし下関第5事件ではE及びFと共に犯行を敢行したものであることが明らかであるから,被告人B及び被告人Aは本件各下関事件を敢行することを共謀し,被告人Aにおいて,配下のCに本件各下関事件の敢行を指示し,これを受けたCは,被告人Aの命を受けたFから,G議員宅や後援会事務所の位置を教えてもらい,Eと共にIをG議員後援会事務所と間違って,下関第1事件を敢行し,下関第2及び下関第3事件は,F及びEと共に赴き,Fに命じて火炎びんを投擲させ,下関第4及び下関第5事件では,F及びEと共に赴き,自ら火炎びんを投擲したことが優に認められる。
これは森友や加計よりもヤバいんじゃないですか。
総理大臣が過去に反社会勢力を使って選挙妨害した疑惑なんて前代未聞でしょう。
さて、なぜ山本議員がこの質問をしたのか。議事録から引用する(NO88)。
カジノへの懸念の一つ、これがマネーロンダリングだったりとか暴力団の資金源になる可能性、こういうことが言われると思います。
資料の一と二、これまでの国会における、カジノへの暴力団排除に万全を尽くすとの総理の御発言を集めました。その監視強化をつかさどるカジノ管理委員会についても言及されています。
これは、総理の御発言では、何ですかね、総理の御発言にもあるとおり、本法案の法文上にも、暴力団員等を排除する部分というのは、カジノ事業を行うIR事業者、主要株主、契約先、従業員、施設の供用事業者、カジノ関連機器の製造、輸入、販売、修理業者、カジノ施設への入場者、滞在者に至るまで、暴力団を排除することが定められているんですけれども、一つ懸念があるんです。
ここは総理に短くお答えいただけると助かるんですが、暴力団そのものではなく、暴力団とつながりがある、そのような人もしっかりとチェックして、もしもまずい場合はしっかりと取り締まっていただけるということでよろしいんでしょうか、総理。
上記のとおり、カジノ法案に関連して質問したのである。
で、次にこんな質問をした(NO90)
暴力団関係者のみじゃなく、そことつながりがあって、その裏に何かあったりとかする場合にもしっかりと対処をしていただけるというような、法文上はそのような取決めになっているとは思うんですが、カジノ管理委員会を任命するのは総理大臣です。その任命者である総理御自身にも、廉潔性、求められると思います。
カジノ管理委員会のメンバーにも廉潔性が求められるように、その任命者である総理大臣にも廉潔性が求められるのではないかと思うんですけれども、総理御自身は、暴力団又はそれら勢力とつながりがある人物とのお付き合い、若しくは関係、仕事を発注などしたことありますか。
これに総理はこう回答した(NO91)。
それは全くございません。
え?
さて、安倍総理が自民党総裁に3選される可能性は今のところ高そうである。
しかし・・・自民党の皆さん、この疑惑は本気で追及された森友や加計よりもまずいんじゃないですかね。反社会勢力を使って選挙妨害なんて・・・まぁまた言い訳の山を築いて逃げると思いますが。
自民党の多数派が安倍総理を支持しているのは選挙で勝てるからなんでしょうけど、他の人を総理にした方がいいんじゃないですか。
まだ時間あるから考え直した方がいいと思いますよ。
岡口基一裁判官に対する懲戒事由について考察する
岡口基一裁判官に対し、東京高裁から最高裁へ懲戒が申し立てられた。毎日新聞の記事を引用する。
犬の所有権を巡る民事訴訟に関し、個人のツイッターに不適切な投稿をしたとして、東京高裁は24日、民事部の岡口基一裁判官(52)について最高裁に懲戒を申し立てた。インターネット上の投稿を巡る懲戒申し立ては初めてとみられる。最高裁は今後、全15裁判官が関与する大法廷で分限裁判を開き、処分の可否などを決める。
この件について、ご本人が懲戒申立書の写真をアップしていたので引用する。
岡口さんの元ツイートは、アカウント自体が削除されてしまったのでもう確認できない。しかし、申立書から引用すると、下記の内容だったようである。
公園に放置されていた犬を保護し育てていたら、3か月くらい経って、もとの飼い主が名乗り出てきて「返してください」
え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら・・・
裁判の結果は・・・・
で、当該裁判に関する記事のリンクが続くと。
どの記事を引用したのかは不明だが、当該事件については、例えば下記リンク先にも内容が書いてあるので興味のある方はどうぞ。
この「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら」という部分が、岡口裁判官自身の意見と勘違いされたらしい。
で、このツイートを見た当事者(元の飼い主)は、岡口裁判官に批判されたと思ってしまったのだろう。
冒頭で引用した毎日新聞の記事にはこう書いてある。
岡口裁判官はこの裁判を担当しておらず、「記事を要約したつもりだったが、軽率で申し訳ない」と釈明したという。
岡口さんの認識は、要約である。当事者の主張を短くまとめただけだったのだろう。
多分下記のように赤字の部分を付け足していたら勘違いされなかったと思う。
公園に放置されていた犬を保護し育てていたら、3か月くらい経って、もとの飼い主が名乗り出てきて「返してください」
現在の飼い主「え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら・・・」
裁判の結果は・・・・
しかしこれで処分するのかね。まさに「この程度」って感じがするんだけど。
裁判例を要約して紹介しただけなのに、当事者に誤読されてクレームを入れられたというのが事の真相ではないか。
まあ当事者が誤読してしまうのも分からなくは無い。だから「ごめんなさい」って謝れば済む話だと思うんだけど。懲戒まで必要かね。
国民の皆さん、どう思いますか。
ところで、岡口さんと言えばパンツ一丁である。
この点についてくれぐれも誤解のないよう強調しておくが、岡口さんが裁判所当局からパンツ一丁をとがめられたことは一度もない。
ただ、上半身を縄で縛られた写真を投稿したことを注意されただけだ。
それは以前下記の記事で詳しく書いた。
つまり「パンツ一丁はセーフ、縄で縛るとアウト」という基準が裁判官の世界で確立されたと言える。
この基準を確立したのは現最高裁判事の戸倉三郎氏である。
彼の名にちなみ、この基準は「戸倉基準」と言われている。
戸倉基準によって「パンツ一丁の自由」は保障された。
したがって、以後、他の裁判官がパンツ一丁の写真をSNS等で披露したとしても処分されないのだ。みんなどんどんパンツ一丁になればいいよ。
この「パンツ一丁の自由」は新しい権利としてそのうち憲法の教科書にも掲載されるであろう。
司法試験受験生の諸君、ここは来年の司法試験に出るかもしれないからよく覚えておくように。
今の自民党やりたい放題をもたらしているもの
これは過去8回の衆議院総選挙における小選挙区の得票数(自民党と民主党)と投票率の推移を示したものである。
平成21年総選挙は自民党が民主党に大敗した選挙であったが、その際の自民党得票数は2730万1982。
それ以降の3回はすべて安倍総理が自民党総裁になってから迎えた選挙だが、得票数で見ると、すべて民主党に大敗した平成21年総選挙を下回っている。
「自民一強」と言われると、以前よりもはるかに自民党が強くなったかのように錯覚してしまいそうだが、そうではない。得票数で見れば、自民党の強さはたいして変わっていない。むしろ少し落ちている。
他方、民主党を見てみよう。大勝した平成21年総選挙では3347万5335 票も獲得しているが、平成24年総選挙では崖から落ちたような急降下を見せ、平成26年総選挙ではそこからさらに下がっている。そして、ご存知のとおり平成29年総選挙では分裂して消滅した。自民党が強くなったのではなく、民主党が勝手に弱くなっていったのである。
これを見ると、自民党は「固定客」が多く、強さがあまり変わらないことが分かる。なお、平成17年総選挙の時の自民党の得票数が上がっているが、これは小泉純一郎の郵政選挙の時であり、無党派層の票も呼び込めたのだろう。
他方、民主党は平成21年総選挙までずっと右肩上がりだったが、国民の期待を盛大に裏切ったため、平成24年総選挙では墜落してしまった。投票率の下降と共に民主党の得票数も落ちている。無党派層が離れた影響だろう。民主党は固定客が自民党ほど多くないので無党派層を取り込まないと勝てない。
小選挙区制というのは、二大政党が存在して政権交代を繰り返す状況になることを前提にしている。
当然の前提として、その二大政党は、力が拮抗していなければならない。そうでないと政権交代が起きない。
そして力が拮抗するには、それぞれの政党に同じくらいの「固定客」がいることが前提となると言うべきだろう。
二大政党制であるイギリスもアメリカも、昔から二大政党が政権交代を繰り返し、切磋琢磨してきた。昔から二大政党制なので、それぞれに一定の「固定客」がいる。
しかし、日本は違った。力が拮抗していたのは一時的なものに過ぎなかった。さらに、自民党は歴史が古く、ずっと権力の座にいて利権団体との関係も深いので多くの「固定客」がいるが、民主党はそれが自民党ほど多くは無い。無党派層の支持を得なければ自民党には勝てない。結果として「風頼み」の選挙になる。
そして政権を担当した経験が無いので、いざ政権運営させてみたらグダグダになった。一方に政権を担当した経験が無いという点も、他の二大政党制を取る国との大きな違いだった。
かつて民主党に投票した人は失望し、その多くは次の選挙で投票することすらしなかった。平成24年の総選挙を見ると、投票率は前年の69.3%から実に10%も落ちている。
自民党には対外的な敵がいなくなった。
そして、中選挙区制の時は、一つの選挙区から候補者が複数当選するため、党内抗争が存在し、それが自民党内部での疑似政権交代をもたらしてきた。つまり党内の敵と戦っており、それが政治に緊張感をもたらしていた。
しかし、小選挙区制になり、公認権を持つ党執行部が絶大な力を握るようになると、党内抗争も静かになってしまった。
党執行部にとっては、対内的にも対外的にも敵がいない状況ができた。
こうなると、好き放題やっても選挙で勝てることになる。現に勝っている。
自民党の強固な組織票に対抗し得るのは無党派層だが、無党派層は支持したい政党が無いので、多くは選挙に行かない。
今の自民党やりたい放題をもたらしている最大の要因、それは「実力が拮抗している二大政党がある」という前提が欠けているのに小選挙区制が採用されている、という点だろう。
この前提が無ければ一党独裁状態になってしまうのは当然である。
昔から一定の「固定客」に支えられ、政権担当経験があり、力が拮抗した二大政党が存在するイギリスやアメリカとはその点が大きく違う。
結果から見れば、中選挙区制の方がまだましだっただろう。自民党内での抗争があり、疑似政権交代が起きるので、今のような好き放題はできなかったはずである。
今の状態はパン屋に例えるとわかりやすいかもしれない。
野党パン屋は「自民党パン屋のパンはまずいぞ!」とアピールするが、客からすれば「お前のパンの方がまずかったよ!」ということになる。
そして、多くの人が「どっちのパンもまずいからいらない。」となり、パンを買わないという決定をする。つまり、選挙に行かない。
元々固定客の多い自民党パン屋は余裕でそれでもやっていける。パンがまずくても固定客は買ってくれる。
自民党パン屋ほど固定客が多くない野党パン屋はカツカツになる。
野党パン屋としては「自民党パン屋はまずいぞ!」というだけではなく「野党パン屋のパンはうまいぞ!」とアピールして新しい客を集める必要がある。いくら相手の評判を落としても客が増えるわけではない。客には「パンを食べない」という選択肢があるのだから。
しかし、「あそこのパンはクソまずい」という評判が定着してしまっているため、苦境に立たされている。店名を変えてもその状況はなかなか変わらない。
この状況が変わるとしたら「新しいパン屋がいきなり現れる」場合かもしれない。
小池百合子氏を思い浮かべて欲しい。
颯爽と現れ、ある時期まで明らかに破竹の勢いであった。
「排除します」発言が無ければ、希望の党は野党第1党になっていたかもしれない。
今ではほとんどの人が同意してくれると思うが、小池氏は政治家として全然中身が無いカラッポの人である。私はカラッポおばさんと呼んでいる。
小池百合子の何がすごいって何一つ公約実現してねえとこだよ pic.twitter.com/nFL3e9IHWV
— I.H (@mrnshm) July 25, 2018
数多くの「〇〇ゼロ」公約を掲げたが、実現した公約は「ゼロ」である。
こんなカラッポおばさんでも、イメージ戦略で都民の心をつかんで知事選と都議選で勝利した。あの失言が無ければ国政選挙でも勝利していたかもしれない。
中身はカラッポなのに見た目だけはおいしそうなパンを売って人気を集めたのである。
本当はみんなパンが食べたいのだ。
しかし、売っているパンがみんなまずそうだった。
そこへ、斬新でおいしそうなパンを売るカラッポおばさんが現れたので、みんな飛びついた。しかしパンの中身はスッカスカだった。
小池氏レベルの人気を取れる新しいパン屋が現れれば、この自民党やりたい放題状態も一気に変わるかもしれない。だが、そのパンが中身スカスカであることは御免こうむりたい。
みんなが政治に無関心であるとは思わない。受け皿が無いだけ。民主党が大勝した平成21年の総選挙は投票率が70%近くもあったのだから。
一時は立憲民主党が「新しいパン屋」になりうるかと思ったが、現状だと支持率は自民党に遠く及ばない状態。だが、あの枝野氏の卓越した演説力は同党の大きな武器だ。今後じわじわ伸びてくるかもしれない。