ラグビー日本代表のメンバーがエディー時代からかなり変更されている
ラグビー日本代表のアルゼンチン戦及び欧州遠征へ向けたメンバーが発表された。
上記リンク先のメンバー表をそのまま下記に引用する(なお,FWとBKに分けられているだけで,ポジション別になっていない。協会はポジション別に表示してほしいなと思う。)
黒丸がついているのは,エディージャパンでもメンバーだった選手である。
FW | |||
---|---|---|---|
名前 | 伸長 | 体重 | エディジャパン |
アニセ サムエラ | 198 | 118 | |
伊藤 平一郎 | 175 | 115 | |
マルジーン・イラウア | 187 | 105 | |
梶川 喬介 | 188 | 105 | |
木津 武士 | 183 | 114 | ● |
仲谷 聖史 | 170 | 105 | |
布巻 峻介 | 178 | 96 | |
畠山 健介 | 178 | 113 | ● |
日野 剛志 | 172 | 100 | |
ヘル ウヴェ | 193 | 115 | |
堀江 翔太 ◎ | 180 | 104 | ● |
松橋 周平 | 180 | 99 | |
アマナキ・レレイ・マフィ | 189 | 112 | ● |
三上 正貴 | 178 | 115 | ● |
三村 勇飛丸 | 178 | 96 | |
谷田部 洸太郎 | 190 | 107 | |
山路 泰生 | 180 | 108 | |
山本 幸輝 | 181 | 118 | |
FW平均 | 182.1 | 108.1 | |
BK | |||
小川 高廣 | 172 | 73 | |
小倉 順平 | 172 | 80 | |
笹倉 康誉 | 186 | 92 | |
立川 理道 ◎ | 180 | 95 | ● |
田中 史朗 | 166 | 72 | ● |
田村 優 | 181 | 91 | ● |
福岡 堅樹 | 175 | 83 | ● |
カーン・ヘスケス | 178 | 100 | ● |
松島 幸太朗 | 178 | 87 | ● |
矢富 勇毅 | 176 | 85 | |
山田 章仁 | 182 | 88 | ● |
ティモシー・ラファエレ | 186 | 98 | |
レメキ ロマノ ラヴァ | 177 | 92 | |
アマナキ・ロトアヘア | 191 | 107 | |
BK平均 | 178.6 | 88.8 | |
全体平均 | 180.6 | 99.6 |
エディジャパンのメンバーだった選手は,フォワードだと18人中5人しかいない。しかもその5人のうち4人がフロントロー。
バックスは14人中7人で半分がエディジャパンのメンバーである。
少なくともフォワードについてはほぼ別のチームになったと言ってよいのではないだろうか。
フォワードの平均身長及び体重は,エディージャパンの時が186.9センチ,110.1キロだった。
したがって,フォワードの平均身長は4.8センチ低くなり,平均体重は2キロ軽くなっている。
フォワードはエディー時代より小型化したといえる。
ここで,あの歴史上最大の番狂わせを演じた南アフリカ戦のスターティングメンバーと比較してみる。
黒丸がついているのは現ジャパンにも入っている選手である。
FW | |||
---|---|---|---|
名前 | 身長 | 体重 | 現ジャパン |
三上正貴 | 178.0 | 115 | ● |
堀江翔太 | 180.0 | 105 | ● |
畠山健介 | 178.0 | 115 | ● |
トンプソン ルーク | 196.0 | 108 | |
大野均 | 192.0 | 106 | |
リーチ マイケル | 190.0 | 105 | |
マイケル・ブロードハースト | 196.0 | 111 | |
ツイ ヘンドリック | 189.0 | 107 | |
FW平均 | 187.4 | 109.0 | |
BK | |||
田中史朗 | 166.0 | 71 | ● |
小野晃征 | 171.0 | 83 | |
松島幸太郎 | 175.0 | 88 | ● |
立川理道 | 181.0 | 94 | ● |
マレ・サウ | 183.0 | 97 | |
山田章仁 | 181.0 | 90 | ● |
五郎丸歩 | 185.0 | 99 | |
BK平均 | 177.4 | 88.9 | |
全体平均 | 182.7 | 99.6 |
目に付くのはフォワード。フロントローの3人を除くと,南アフリカ戦のスタメンは現ジャパンに誰も入っていない(※交代出場した木津とマフィはメンバー入りしている)。
世界最強のフォワード陣を誇る南アフリカに勝利できたのは,ボール争奪戦で鬼神のごとき活躍をしたフォワード第2列及び第3列の力が極めて大きいと思う。
その頼りになる彼らがいない・・・途中出場して大活躍したマフィはいるが。
しかも今回代表に初めて選出された選手はフォワード18人中12人も占めているのである。
そして,フロントローを除くと,日本代表選出経験があるのはマフィと谷田部しかいない。その二人にしたってキャップ数は一桁。国際試合の経験が極めて浅いフォワード第2列及び第3列である。
あのアルゼンチンの超強力フォワードを相手にボール争奪戦を制することができるのだろうか。
ちなみにアルゼンチンはスーパーラグビーでも「ジャガーズ」としてほぼ同じメンバーで戦い続けてきたので,チームとしての完成度は極めて高いと思う。直近のザ・ラグビーチャンピオンシップにおいても南アフリカに勝利している。
ボコボコにされやしないだろうか。。。私はかなり不安である。。。
逆に互角に戦うことができれば,日本全体がレベルアップしていると言えるとは思う。
熱い戦いを見せてほしい。
ハイビームの法的根拠についてマニアックに語る
最近,警察庁が車のライトについて「ハイビームを基本に」と呼びかけていることが話題になっているらしい。
法的に言うと,元々夜間走行の際の車のライトはハイビームが基本となっている。例外的にロービームが許されるのは対向車がある場合や他の車の直後を進行する場合である。根拠条文は道路交通法52条。以下引用する。
(車両等の灯火)
第五十二条1 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第六十三条の九第二項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
1項を読むだけではよく分からないかもしれない。端的に言って「夜はライトつけなさいよ」と言っているだけだからである。「ハイビームにしろ」と明言しているわけではない。
そこで,この条文の2項を読むとこう書いてある。
2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。
つまり,対向車がある場合や他の車両の直後を進行する場合は,政令の定めに従って,ライトを消したり弱めたりする等ライトを操作しろと書いてある。
この「灯火の光度を減ずる」等の具体的な方法について,道路交通法施行令20条は下記のとおり定めている。
(他の車両等と行き違う場合等の灯火の操作)
第二十条 法第五十二条第二項 の規定による灯火の操作は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める方法によつて行うものとする。
一 車両の保安基準に関する規定に定める走行用前照灯で光度が一万カンデラを超えるものをつけ、車両の保安基準に関する規定に定めるすれ違い用前照灯又は前部霧灯を備える自動車 すれ違い用前照灯又は前部霧灯のいずれかをつけて走行用前照灯を消すこと。
二 光度が一万カンデラを超える前照灯をつけている自動車(前号に掲げる自動車を除く。) 前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
三 光度が一万カンデラを超える前照灯をつけている原動機付自転車 前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
四 トロリーバス 前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
普通の車が該当するのは上記の2号だろう。つまり,ライトの光を弱めるか,又は下向きにしろと言っている。
まとめよう。道路交通法52条2項及び同法施行令は,対向車とすれ違う場合や他の車の直後を進行する場合,例外的に,ライトを下向きにする等の対応をしろと言っている。
そうすると,それ以外の場合は,「ハイビーム」にしなければならないということになる。
したがって,道路交通法52条1項で「夜はライトをつけろ」と言っているのは,原則として,「ハイビーム」を意味している,という結論になる。
しかし,普通に街中を走行する場合,対向車もあるし,直前車もある。つまり,道交法52条2項の「例外」が適用される。結局,「例外」であるロービームが許容される状況の方が事実上多くなるものと思われる。つまり原則と例外が逆転する。
なぜ,夜は原則ハイビームと法律で定められたのか。これには当然合理的な根拠がある。端的に言うと,ロービームだと障害物に気付いても止まれないのである。
まず,「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」120条によれば,ハイビームの照射距離は100メートル(同条2項1号),ロービームの照射距離は40メートル(同条6項1号)と定められている。
http://www.mlit.go.jp/common/001056415.pdf
そして,茨城県警の下記資料によれば,次の記載がある。
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a02_traffic/archives/blockprint/pdf/h28/h28-101.pdf
下向きライトの照射距離は約40mです。時速60kmで走行した場合の停止距離は約40mで、歩行者がライトに照らされてからでは、事故回避が困難となります。
これがハイビームが要求されている理由である。
茨城県警は以前からハイビームの必要性の周知に熱心であり,毎月,交通事故かわら版の号外として「ライト切り替えによる交通事故防止」を公表している。
下記の画像は平成28年1月の号外(平成27年中の事故をまとめたもの)から引用したものである。
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a02_traffic/archives/blockprint/pdf/h28/h28-101.pdf
茨城県内で起きた夜間の死亡事故37件,そのうちライト下向きが36件(97%),さらに上向きなら回避できた事件がそのうち19件(53%)と記載されている。
また,夜間の事故37件中,「右から横断」が19件(約49%)と記載されている。
これは下記のような状況だろう。
ところで,前掲「号外」によれば,平成27年中に茨城県内で発生した夜間死亡者37人のうち,22人(59.5%)が高齢者である。
夜間人通りの少ない道路において,車との距離を見誤って道路を横断してしまった高齢者がはねられる事故が多いのではないかと思われる。
こうやって見て行くとハイビームの重要性が良く分かる。しかし,さっきも言った通り,現状は原則と例外が逆転している。したがって,こまめにライトの切替えをするのは難しいと思う。
最も良いのは自動でライトの切替えをしてくれる機能をつけることだ。
今はそのような機能がついた車も開発されているらしい。
安全のために,このような機能がついた車を買うべきだろう。
過労死事件を起こした企業への罰則を新しく作るべきじゃないか
電通がまたもや過労死事件を起こし,労基署の立ち入り検査まで受ける事態になっている。
今回の立ち入り検査などを受けて電通が受けそうな罰としては残業代の不払いが思いつく。
残業代の不払いに対する罰は労働基準法によると「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」である。
懲役刑は運用上ほぼあり得ないので事実上は罰金しかない。
たったの30万円。。
ただ,これは渡辺弁護士の記事によると,適用次第では非常に重くなるらしい。説明部分を引用する。
―ついに電通に立ち入り調査―人はなぜ過労で死ぬのか(渡辺輝人) - 個人 - Yahoo!ニュース
例えば「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」が定められている違法残業については「労働者一人」「一日あたり」「一件の犯罪」が成立し、すべてが「併合罪」の関係になります。10人の労働者に10回の違法残業をさせれば、100回の犯罪が成立するのです。その場合、刑法45条以下の条文により、懲役刑の上限は9ヶ月となり、または、罰金の上限は30万円×100=3000万円になります。経営者の個人責任のみならず、企業そのものも責任追及されます(両罰規定)。労働基準法は本当は恐ろしい法律なのです。実際の運用が甘いのは、労働基準監督官の絶対数の不足(これは元々足りないのと、あまり根拠のない公務員バッシングの「成果」でもあります)、検察庁がこの種の事件にやる気を出さないことなど、様々な要因によるものです。
しかし,これはあくまで残業代不払いに対する罰則なので,「過労死事件を起こしたこと」そのものに対する罰則は現行法上存在しない。
海外にもおそらくないだろう。過労死はそのまま「karousi」として海外でも通用するぐらいであり,日本特有の現象だからである。
人の命を奪っておきながらそれを直接罰する規定が無い。
それでいいのだろうか。
「過労死事件を起こしたら会社が潰れるくらいの事態になる」と経営者に思わせないと,過労死事件は無くならないんじゃなかろうか。
前にも書いたが,過労死事件を起こしておきながら,今度は労働時間の立証ができないようタイムカードを廃止し,のうのうと長時間労働をさせ続けている企業だってあるのである。
そこで,過労死事件を起こした企業に対する罰則を思いつくままに挙げてみる。
公契約の締結禁止
これは嶋崎弁護士が指摘していることだが,要するに過労死事件を起こした会社は,国や地方公共団体等と契約できなくさせるということである。
これは経営に大きなダメージを与えるだろう。
電通過労自死事件~労基署の立件より有効な秘策、それは公契約法・公契約条例~(嶋崎量) - 個人 - Yahoo!ニュース
取締役への就任禁止
過労死事件を起こした際の取締役(もちろん代表取締役も含む)は,以後いかなる会社の取締役になる資格を失う。
当該会社はもちろん,別の会社の取締役に就任することもできなくさせる。
ただ,創業社長が仕切っている会社だと,表に出てこないだけで裏で支配するだけになるかもしれないが。
法人税10%アップ
これは経済的に大ダメージだと思う。ただ,赤字企業相手だと効果が無い。
厚労省サイトへの永久表示
厚労省に「過労死事件発生企業一覧」とでも銘打って,永久に企業名を表示する。
失われた命は永遠に戻ってこないのだから,これぐらいしても良いだろう。
電通のような有名企業ならニュースでみんな知っているかもしれないが,過労死が発生するような企業は有名企業ばかりではない。
これによって新たな犠牲者の発生を防ぐことにもつながる。
求人票への明示
趣旨は上記と一緒。サイトを見ない人もいるかもしれないので求人票にも明示させることを義務づける。
罰金10億円
私が知る限り,法人に対する罰金刑で一番重いのは金融商品取引法の7億円である(207条)。
人の命を奪うわけだからこれより高くても良いだろう。というわけで10億円。
ただ,これは大企業相手だとあんまりダメージが大きくないかもしれない。
なお,個人に対する罰金刑で一番高いのは著作権等にある罰金1000万円。
過労死事件について,経営者等の個人に対する罰金刑を設けるなら少なくともこれを上回る水準にすべきだろう。
実現可能性はさておき,思いつくままに色々考えてみた。以上は刑事罰だが,民事でもアメリカのような懲罰的損害賠償の導入をした方が良いかもしれない。
なお,過労死だけではなく,過労うつを発生させた企業への罰則もあった方が良いと思う。過労うつはその後の人生を大きく左右するものであり,いわば人生を殺されるような結果になりかねないからである。
明らかな不正義に対し,それを直接的に罰する法律が存在しないのはおかしい。これでは再発を防ぐことができないと思う。