【11】直立二足歩行のまとめ~歩き方の違いがもたらした革命~
【分かりやすくまとめると・・・】
・直立二足歩行は脳の発達をもたらした。
・直立二足歩行によって喉の構造が変化したため,多様な声を出せるようになり,言語が生まれた。
・直立二足歩行は,人類の祖先が住んでいた場所が森から草原に変化したことによって始まったと言われている。
ヒトが猿から進化したのは知っているよね。
もちろん知っているよ。人と猿では何が大きく違うのかな。
僕が思うには、直立二足歩行をする点が、猿とヒトの大きな違いだね。
猿も二本足で立ったりしているでしょ。
あれは直立じゃないんだ。足が曲がっているからね。
直立というのは、横から見て頭と背骨と足が一直線になる状態だからね。
じゃあ、鳥は二足歩行してるけど、直立ではないわけだね。
そういうことだ。この直立二足歩行は、進化に大きな変化を与えているんだ。
まず、直立する方が、頭を支えやすいんだ。つまり、大きな頭脳を持ちやすいということになる。
さらに、直立することによって、喉の構造も変化する。
具体的には、息を吸い込む経路と、食べ物を飲み込む経路が,直立することによって一緒になってしまったんだ。
つまり、呼吸をする経路と、飲食物を飲み込む経路の切り替えを頻繁にする必要が生じる。
僕はたまに急いで飲み食いしたときにむせるけど、あれは経路の切り替えに失敗しているんだね。
そのとおり。その経路の切り替えには、高度な脳の動きが必要になる。
そうか。だから脳が高度に進化する必要が生じてくるんだね。
その通り。さらに、喉の構造の変化は、言葉も生み出した。
太郎。犬の鳴き声って、単純だろ。君が飼っているハチの鳴き声を想像してごらん。
まあ、怒ってるとか、喜んでるぐらいは分かるけど、そんなに複雑じゃないね。
あれはね、喉の構造が原因なんだ。まず、音というのは、空気の振動で生まれている。
喉は、空気を振動させて、音を生み出しているんだ。
そして、人間の喉だけが、様々な種類の音を生み出すことができるんだよ。
これはね、喉の中の音を共鳴させる部分が広いからなんだ。
そうか。微妙な音の違いの表現が、言語になっているのだものね。
ハチの喉の構造は、そういった微妙な音の違いを表現できないんだね。
そうだ。直立二足歩行になったからこそ、喉の構造が変わり、それが言語を生み出すきっかけになったんだ。
言語を生み出すことにより、ヒトは色々なことを考えることができるようになった。
そしてそれが脳に対する刺激となって、脳の進化を促した。
手が自由に使えることも大きいんじゃないの。
そのとおりだ。他の4本足で立つ動物と違い、手を自由に使えるから、様々な道具を生み出し、使うようになった。
そうやって手を使うこと自体が、脳に対する新しい刺激となり、脳の進化を促したと言えるだろうね。
直立二足歩行っていいことだらけだね。
そうでもないよ。直立二足歩行が原因で生まれた病気もある。
ひょっとして、腰痛と痔でしょ。
そのとおりだ。四足歩行の動物よりも、直立二足歩行の方が、お尻と腰に体の重さがかかる。体の重みが真っ直ぐかかるからね。
そして負担が大きくなることで生まれる病気が腰痛と痔だよ。
他の動物は原則として腰痛にも痔にもならない。例外はあるけどね。
それから、体を支えなければならないから、骨盤が大きくなる。
腰のあたりにある骨だね。
そう。骨盤が大きくなると、赤ちゃんが通る道が狭くなる。だから、赤ちゃんが小さくならざるを得ない。
それから、自力で立つまでに時間がかかる。直立二足歩行は四足歩行よりもバランスを取るのが難しいからね。
生まれてすぐ立ち上がる馬なんかと比べると、凄い差があるね。
そうだね。ヒトの子は他の動物よりも、親の助けが必要な生き物だと言えるね。
どうして直立二足歩行になったのかな。
それもまた色々な説がある。有力なのは、気候の変化が影響したというものだ。
元々猿達は木の上で暮らしていたが、気候が変化して木が無くなってしまい、草原地帯になった。
草原地帯だと、二本足で立った方が遠くを見渡せる。
また、二本足の方が、四本足よりもエネルギーの消費も少ないので、遠くまで移動できる。
なるほど、たくさん移動して食料を獲得するのに、二足歩行が向いていたということだね。
そうだね。そして前かがみで立つよりも、直立して立つ方が、エネルギーの消費は少ない。
そうか。だから前かがみからだんだん直立して立つようになってきたんだね。
直立二足歩行を獲得したヒトの祖先は、世界各地に散らばっていった。
じゃあ次はその世界の成り立ちについて話をしよう。
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