【分かりやすくまとめると・・・】
・火は,酸素と他の原子が激しくくっつくことで発生する熱と光。
・火を発生させるのに必要なのは,熱,酸素,燃料。
・熱が一定の温度に達すると,火が発生する。
太郎。この地球上において,人間以外に火を使う動物はいるかな。
いないね。猿は人間に近いけど,火は使えないだろう。
そうだ。火を使うというのは,他の動物と大きく違う人間の特徴の一つだ。
火の使い道というと,君は何が思い浮かぶ?
照明に使う,暖を取る,肉を焼く,色々あるね。
そうだね。人類がいつごろ火を使い始めたのかははっきりしてないけど,今君が挙げたような用途に使っていたのだろう。
君が挙げたもの以外でいうと,肉食動物を追い払うのにも火は使われていただろう。
野生動物は本能的に火を恐れるからね。
ところで,何で肉を火で焼くのか,その理由を考えたことがあるかい。
焼いた方がおいしいからでしょ。
たしかに焼いた方がおいしいかもしれないけど。何か他に理由は思い浮かばないかい。
殺菌のためかな。生肉のまま食べるとお腹を壊す気がする。
そうだ。なぜ肉を焼くのかというと,殺菌という理由が大きいだろう。
生肉にはいろいろな菌がついているからね。
その色々な菌の中には,ヒトにとって有害なものもある。だからそのまま食べるとお腹を壊す。
医療技術の発達していない状況でお腹を壊したら,それが死につながることも多いだろう。
そうか。肉を焼くっていうのは生死にかかわる問題なんだな。
逆に,生肉の中の細菌が増殖しない環境であれば,肉を焼く必要はない。
例えば,イヌイットは生のまま肉を食べる。
彼らはとても寒いところに住んでいるから,生肉の中の細菌は繁殖できない。だから焼く必要が無い。
ちなみに,肉を焼くとその中に含まれるビタミン類が壊れてしまう。
だから,栄養面から言えば,生のまま食べるのが理想的なんだ。
イヌイットは生肉しか食べない。それで十分な栄養を取ることができるからだ。
僕たちは肉を焼いて食べるから,必要なビタミンを他の食品から得ないといけないことになるんだな。
ところで,そもそも火って何なんだい?
特定の物質が化学反応を起こす際に,熱と光を出す現象のことだよ。
基本的には,酸素と他の物質がくっ付くときに起きる現象だね。
物質が酸化するときに起きる現象っていうことかい。
でも,鉄が酸化して錆びるときは,火なんてでないよ。
くっつき方がちがうんだ。火が出るときは,酸素と他の物質が激しくくっついている。
鉄が酸化するときみたいに穏やかな態様ではない。
火を起こすために必要なものは3つある。熱と,燃料と,酸素だ。
熱は,酸化反応を促すために必要だ。
これが一定以上の温度になると,激しい酸化が起きて,火,つまり熱と光が発生する。
ちなみに,この燃料が発火する温度を発火点というんだ。これは燃料によって全然違う。
次に,火は酸素と他の物質が激しくくっついて起きる現象だから,火とくっつく物質も必要になる。それが燃料だ。
木とか,ガソリンとかがそうだよね。
そうだね。最後に,酸素だ。酸素が他の物質とくっついて火が生まれるわけだから,酸素が無ければ火も消えてしまう。
木を焼くと,火の他に白い煙や黒い煙がでるよね。あの煙はなんなの?
黒い煙は,酸素と結合しなかった炭素だ。燃料に含まれるすべての物質が酸素と結合するわけじゃないんだよ。
黒い煙は,不完全燃焼の時に生まれる。不完全燃焼というのは,酸素が足りない状態で燃焼する現象だ。
酸素が足りないから,酸素とくっつくことができない炭素がでてきてしまうんだね。
そう。また,酸素が足りていれば,炭素は酸素二つとくっついて二酸化炭素になる。
しかし,酸素が足りないと,炭素は酸素ひとつとだけくっついて一酸化炭素になる。
一酸化炭素って,有毒ガスだよね。黒い煙が出ている時は一酸化炭素も出ているんだな。
そう。次に,白い煙は水だ。燃料に含まれる水素と酸素がくっついて水になっているんだ。
ふーん。木炭て,何で火が出ないの?
あれは,可燃性のガスが出ていないからだ。
火というのは,燃料を加熱した際に出る可燃性ガスと酸素が反応して生まれている。
木炭の場合,その可燃性ガスが出ない。木炭の表面と酸素が反応しているだけだ。
だから,赤くはなるけど,火は出ない,ということになる。
木炭って,どうやって作っているの。
木を窯の中で蒸し焼きにするんだ。木を入れた窯の中には酸素が無いから,火は発生しない。
酸素が無い状態で気を加熱しつづけると,熱で気の成分が分解されていく。
最終的に炭素だけが残って,水分などは気化して無くなってしまう。
加熱して炭素だけ残したものが木炭なんだね。
そうだ。それでは,ヒトがどうやって火を起こしてきたのかを見ることにしよう。
さっき君が言った3つの条件のうち,発火に必要な熱を発生させる方法だね。
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