昨日も国会前で安保法制に反対するデモがあったらしい。
かなりの人数が集まったそうな。
しかし,安保問題では安倍政権は絶対に倒れないと俺は確信している。
「中国脅威論」は馬鹿にできない。集団的自衛権を認めなければアメリカに見捨てられちゃうんじゃないの?という恐怖感は私も理解できる。
「戦争法案」という言葉や,デモ自体に対するアレルギーがある人も相当いるようだし。
私は安倍政権を支持していないが,その理由は「結果を出していないから」である。
「結果」とは,経済のことだ。
安倍政権に反対するのであれば,徹頭徹尾経済にフォーカスすべきだ。
安倍総理自体,選挙の時から経済対策を強調していたのだから。
強調していた肝心の経済対策で結果を出していなければ,支持する理由は無い。
しかも数字で明確に結果が出ているので,誰が見ても分かりやすい。
1.実質賃金が下がった
下記の記事によると,2016年1月の実質賃金は過去27年間で最低だったそうである。実質賃金が上がらないのだから,安倍政権が目標とする物価上昇が達成できないのは当然である。
2.実質GDPが下がった
実質賃金が下がったということは,消費が伸びないということだ。そうなると,当然GDPも下がる。
3.株価が下がった
民主党時代に比べれば株価は上がった。一時は2万円の大台を超えた。
しかし,今年に入って急落している。
株価については本当にインチキだと思っている。
株価が上がった要因はざっくりまとめると下記のとおり。
(1)円安誘導で日本株がお買い得になり,海外の投資家が日本株を買った。
(2)日銀がETFを購入することで間接的に日本株を買いまくった。
(3)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が日本株を買いまくった。
つまり,実体経済はほとんど関係ない。単なる官制相場である。
そのうち化けの皮が剥がれると思っていたが,今年に入ってだんだん剥がれてきた。株価がもっと下落しても私は驚かない。
特に(3)は深刻だ。我々の年金を株に突っ込んで無理やり株価を上げているのである。
去年の7~9月期には約8兆円の損失を出している。
こういう報道が出ると,必ず「含み損だから問題ない」という擁護意見が出てくる。
要するに,株の評価額が下がって一時的に損が出ているだけであって,また株価が上昇すれば問題ない,もっと長期的に見ろ,という意見である。
この意見には賛同できない。
まず,高いとき(2万円ぐらい)の時にも買っているので,株価がその時以上に回復しないと利益が出ないが,そこまで株価が再浮上する要因はみあたらない。元々インチキだからである。
そして,真の問題点は「売れない」という点にある。
つまり,株価が上昇しても,GPIFは株を売って利益を確定させることができない。
なぜなら,あまりにも株を買いすぎてしまったからである。
何兆円もの株を一気に売りに出したらどうなるか。日経平均株価は暴落するだろう。
株価が上がろうと下がろうと関係ない。大量に買ってしまった株を売りに出せば大暴落が起きてしまう。
「買うことしかできない」これが真の問題点なのである。
GPIFは従前,株の運用比率を控えめにしてきた。
しかし,株価を吊り上げるため,運用比率を上げるという禁じ手を使ってしまった。
もう,後戻りはできない。
4.結論~トリプルダウン~
上記のとおり,実質賃金,実質GDP,株価,いずれも下がってきている。
トリクルダウンならぬトリプルダウンである。
しかし,安倍政権を見ていると,未だに従来路線にしがみついているようにしか見えない。
特に,実質賃金を上げる工夫をしていない点が深刻だ。
「賃金を上げろ」と企業に言っているだけである。
他方で,派遣法を改正して正社員が余計に減るようなことをしたり,残業代ゼロ法案を通して残業代をカットしようとしている。これらはいずれも実質賃金を減らすことにはつながるであろうが,増やす方向には決して働かない。
実質賃金が増えなければ,個人消費が伸びない。そうなれば,経済が回復するわけがない。
世論を安保に集中させちゃダメなんだよ。そこにはイデオロギー的なものも相まって超えられない壁があるんだよ。
強調すればするほど反感を買うような空気感も俺は感じてる。
でも経済は違うよ。数字ではっきり出てるんだから。野党はこっちに注目させるようもっともっと努力してほしい。
特に年金を株に突っ込む行為は超インチキ行為で全然経済対策になってないし,国民に対する背任行為だ。
野党はここを攻めてほしい。
ヤバいのは経済なんだよ。