【分かりやすくまとめると・・・】
・磁石は水に浮かべたり,吊るしたりして自由な状態にすると南北を指す。
・磁力は原子の周りにある電子が回転することによって生まれている。回転の向きが違うと磁力の向きも違い,向きが違う磁力は打ち消し合う。
・磁石は磁力の向きが揃った状態なので,外に向けた磁力が発生する。
羅針盤って,北と南を示す磁石のことだよね。
まあそうだね。遠くへ航海する場合,自分の位置や目的地の方向を確認するために,方角を把握するのが不可欠だ。
そして,磁石は自由に動かす状態にすると,N極が北を,S極が南を指し示す。
太郎,原子の周りを電子が回っていることは前に説明したね。
実は,その電子自体も自ら回っている。そして,その回転によって磁力が発生している。
磁力というのは簡単にいうと物を引き寄せる力だ。
電子も回転してるんだね。原子と電子はまるで太陽と地球みたいだな。
自然はみんな似たような形をしているんだな。
そうだね。ところで,電子の回転する方向はそれぞれ違う。右回りのものもあれば,左回りのものもある。
回転する方向が違う電子は,お互いに磁力を消しあう。
多くの原子は,電子同士が磁力を消しあうように,バランスがとれている。
右回転と,左回転の電子が同じ数だけあるということだね。
そのとおり。だから,結局磁力が発生しないようになっている。
しかし,電子のバランスがとれていなくて,磁力が打ち消されていない原子もある。例えば鉄がそうだ。
でも,鉄は磁石じゃないよ。磁石にくっつきはするけど。
そうだ。鉄が磁石と違う点は,磁力の方向が揃っていないということだ。
つまり,鉄を構成している個々の鉄原子から磁力が出てはいるが,みんなバラバラの方向を向いている。
だから,そのままだと磁石みたいにものにくっつかない。
でもね,太郎。鉄を磁石にくっつけると,その鉄も他のものにくっつくようになるだろ。
そうだね。鉄は,磁石にくっついてるときだけは,磁石のような働きをするね。
それはね,磁石をくっつけることによって,バラバラだった鉄原子の磁力の方向が揃うからなんだ。
なるほど。磁力の方向が揃うから,磁力の力が増して磁石と同じ働きをするようになるんだな。
ひょっとして,磁石というのは,金属に磁力を与えて作っているのかな?
そうだ。磁石は,酸化鉄等に色々な物を混ぜた金属化合物に対して,電磁石で強力な磁力を与えて作っている。
電磁石の強力な磁力で無理やり磁力の方向をそろえてしまうわけだな。
そうだ。磁石を作る際に与える磁力は強力だから,磁力の方向が揃った状態が保たれるんだよ。
じゃあ,例えばそれを溶かしたりしちゃえば,方向が揃った状態がくずれるから,磁石じゃなくなるね。
磁石のことは分かったけど,どうして磁石は北と南を指すの?
それはね,地球もまた巨大な磁石だからだよ。
地球も電子と同じように,回転して磁力を発生させている。
ただ,何故地球が磁力を持つか,ということについては,まだ決定的な説は無い。
へえ。本当に電子と地球は似ているね。
そうだね。そして,磁石を水に浮かべたり,ぶら下げたりして自由に動くようにし,方角を示させたのが,羅針盤の始まりさ。
それで遠距離航海が可能になったんだな。
そのとおりさ。では,遠距離航海が可能になったことで誕生した株式会社について説明しよう。