モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

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【37】民主主義の歴史~税金を一方的に取られないようにしたのが始まり~

【分かりやすくまとめると・・・】

・「権力を法で縛る」という発想は,王様の一存で税金を取られないようにするために生まれた。

・法律を作る議会のメンバーは,当初貴族や大商人等,一部の権力者だけだったが,経済力の向上に伴い,市民も参加が認められるようになった。

・民主主義は決定が遅い代わりに,軌道修正がしやすい。独裁は決定が早いが,軌道修正ができない。

 

f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 民主主義の歴史を考える上では,イギリス議会の歴史が参考になる。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その昔,イギリスにある横暴な王様がいた。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain この王様は,無謀な戦争をしたりしてお金が無くなったので,貴族たちに重い税を課そうとした。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これに反発した貴族たちが結束して,マグナ・カルタと呼ばれるルールを作り,これを守るよう王に要求した。

 

マグナ・カルタ

 

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f:id:monoshirin:20151008215747j:plain マグナカルタには,新たな税金を課すためには,高位の聖職者と貴族の会議の承認を要することなどが書かれていた。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その決まり事を王様に守らせることによって,権力の暴走を止めようとしたんだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 税金の問題が大きかったということだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。議会というものは,権力者から勝手に課税されないようにするのが当初の大きな目的だった。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 権力者の側からしても,議会の承認さえとれれば,スムーズに徴税できるから,議会があることに利点はあった。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain マグナカルタは今でもイギリスで憲法的な役割を構成する法典のひとつだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その後,代替わりした王様がマグナカルタを無視し,戦争の費用を無理やり徴収しようとした。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これに貴族達が怒り,王様に反発した。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そして,この貴族の中にモンフォールという人がいて,この人が王の権力を抑えるため議会を組織した。

 

↓モンフォール

 

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f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 議会のメンバーは貴族,高位の聖職者,州を代表する騎士,そして都市の代表者達だ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain この議会を構成する人達は,横暴な王と戦った人たちだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これが世界で最初の議会と言われている。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 王様の横暴を抑えるために,皆で力を合わせて議会を作って,議会で決めたことに従わせようとしたんだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。モンフォールの議会はこれで定着したわけではなく,ほどなくして解散した。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain だが,このモンフォールの議会を参考にして,あとの時代で再び議会が招集された。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そして,議会と王様の権力闘争は続いていき,議会が全く開催されない時期もあった。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain やがて,議会と王様は武力衝突し,議会が勝利した。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これがイギリスにおける市民革命で,ピューリタン革命と呼ばれている。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その後,いったん王政に戻ったけど,また王様が暴走したので,議会はその王様を追い出して別の王様を立てた。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これは武力を用いなかった革命なので,名誉革命と言われている。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 王様は一応いるけど,実質的に一番権力が大きいのは議会という体制が出来た。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain ところで,議会に代表者を送り込むことができたのは,最初は貴族や大商人等,一部の権力者だけだった。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 一般市民には代表者を選ぶ権利つまり選挙権が無かったんだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain でも,一般市民も選挙権を求めて粘り強く活動し,ついには選挙権を認めさせた。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 財産や身分で選挙権を差別しないということだね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 今ではそんなこと当たり前だけど,昔はそうではなかたんだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。議会も,そしてそこに参加する権利も,人々が権力と闘い続けた結果生まれたものなんだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そして,その背景には,市民の経済力の向上が影響している。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 昔は農業中心の小さな経済だったけど,商工業が発展して,市民の経済力が向上した。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それに伴って,権力に対抗する力も上がっていったということだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。国を支える経済の担い手である市民の声を無視することはできないからね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain また,活版印刷によって大量の本が発行されたことにより,国民の知識が向上したことも影響している。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain たくさんの本が普及して色々な学問が発展し,科学的・合理的な物事の考え方が市民に広まった。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain その結果,人は生まれながらにして自由・平等であり,尊重されるべきであるという考え方が広まったんだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 合理的に考えれば,その考えに行きつくだろうね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そしてそれが,議会を中心とする民主主義の考え方につながっているんだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。みんな自由で平等,お互いに尊重する。それが民主主義だ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain イギリスで起こった民主主義革命は,他の国にも広まり,民主主義国家がどんどん増えていった。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain ところで,民主主義的に考えると,相手を尊重するだけではなく,自分も尊重するということも重要だよ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain え,なんかそれ自己中心的な考えに聞こえるな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain もちろん,自分のことだけ尊重して他人を尊重しないということになればただの自己中だ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain ただ,例えば権力者が君の権利を不当に侵害してきたとき,自分を尊重する気持ちがなかったらどうなる?
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain ああ,どうせ俺の権利なんか侵害されてもいいや,っていう気持ちになるかもしれないね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだろ。自分の権利を尊重するという気持ちが無いと,権力の言いなりになってしまうことになる。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それは権力を暴走させることにつながるね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 自己中になってはいけないけど,自分を尊重するということは大事なんだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。ところで,この民主主義にも欠点と言い得るところはある。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 話し合いで何でも決めるから,決定が遅いという点かな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。特に権力を握った人にとっては,いちいち話し合いで決めていくのは面倒くさいだろう。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 国民から見ても,何も決まらず物事が進まないのはじれったいかもしれない。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 独裁政治なら,一人で何でも決めちゃうから,物事が進むのが早いだろうね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおりだ。独裁政治だと素早く何でも決まっていくから,それを支持する人も出てくる。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain でもね,その決定が間違っていても,独裁政治ではその間違いを正すことができない。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 独裁者達は自分の過ちを認めたがらないからね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それ,危ないね。目的地が間違っているのに,道を引き返すことができないということだもんね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだ。そういった独裁政治の悪い点は,歴史上,戦争の原因にもなってきた。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain だったら,時間がかかっても民主主義の方がいいね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだね。では次に,産業革命によって生まれた問題点についても見てみよう。

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