【８】免疫のまとめ～一度戦うと増える専門家達～
【分かりやすくまとめると・・・】
・免疫は体にとって有害なものを排除する仕組み。大きくわけて，自然免疫系と獲得免疫系の２種類がある。
・自然免疫系は色んなものに反応するけど，おおざっぱで取りこぼしが多い。獲得免疫系は特定のものにしか反応しないけど，その分確実で強力。
・一度何かのウイルス等に感染すると，それ専用の白血球が増殖する。だから，もう一度同じウイルス等に感染したとき，それを素早く撃退できる。
免疫というのは，体にとって有害なものを排除する仕組みのことだ。
体にとって有害なもの，というのは，例えば細菌やウイルスがある。
自分の体に元々ある物とは違うものを排除するということだね。
そうだ。もう一つの有害なものとしては，元々自分の細胞だけど，異常な細胞に変化してしまったものがある。
それはつまりがん細胞のことだね。
そうだ。この免疫の仕組みは，大きく分けると二つある。
自然免疫系と，獲得免疫系の二つだ。
自然免疫系というのは，様々な異物に反応して，それを排除する仕組みになっている。
体に異物が入ってきたときは，この自然免疫系が真っ先に反応して異物を排除する。
ただ，反応が早い分，異物を排除する力はやや弱い。
他方，獲得免疫系は，反応は自然免疫系と比べると遅いが，異物を排除する力が強い。
いずれの免疫系も，具体的には白血球が働いて異物を排除してるんだよね。
そうだ。白血球はタンパク質の一種で，たくさんの種類がある。
リンパ球は白血球の一種で，そのリンパ球の中でさらにたくさんの種類がある。
白血球はどうやって異物を区別しているの。
レセプターという，異物に反応するタンパク質で区別している。
レセプターは異物に含まれる特定の成分に反応するようにできている。
このレセプターに反応を起こさせる特定の成分を抗原と呼ぶ。
レセプターって，センサーみたいなものだね。
そうだ。そして，自然免疫系の白血球の場合，レセプターはあらゆる抗原に反応するようにできている。
だから反応が早いんだね。
そうだ。しかし，ざっくり見分けるだけだから，取りこぼしも多い。
他方，獲得免疫系の白血球のレセプターは，特定の抗原にしか反応しない。
一種類のセンサーだけしかないということだね。
そうだ。こういう特定の抗原にしか反応しない性質を特異性というんだ。
そして，このセンサーが何百万種類とある。
そうか。自然免疫系の白血球は，一つの白血球自体に何種類もセンサーがある。
他方，獲得免疫系の白血球はそれぞれ１種類のセンサーしかもたないけど，その分白血球の種類がたくさんあるということだね。
そういうことだ。獲得免疫系というのは，専門家集団といっていい。
そして，獲得免疫系の白血球は一度抗原に反応すると，増殖して異物をやっつける。
増殖したその白血球は，そのまま体内に残る。
そして，また異物が体に侵入してくると，すぐさま反応してやっつけてしまうんだ。
そうか。だから一度感染したことのある病気はすぐに治るんだね。
過去に戦った際に数が増えているから，二度目はすぐに異物を排除できるということだね。
そうだ。ただ，この免疫の仕組みも完璧なものではない。
例えば，アレルギーがそうだ。免疫系が過剰に反応した結果，アレルギーが引き起こされる。
さらに，自己免疫系疾患という病気がある。
これは，免疫系が自分の細胞を異物とみなして攻撃してしまう病気のことだ。
味方なのに敵だと勘違いしてしまうということだね。
そうだ。また，免疫系が邪魔になる場合もある。例えば臓器移植だ。
他人の臓器は明らかに異物だから，免疫系に攻撃されちゃうね。
そのとおりだ。他人の臓器の移植はそのような問題がつきまとう。
そこで，自分の細胞で臓器を再生できないか，という可能性が模索されている。
それが万能細胞による再生医療だ。そこで次は万能細胞に関する話をしよう。
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