モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

モノシリンがあらゆる「仕組み」を3分でまとめていきます。

作者の連絡先⇒ monoshirin@gmail.com

【9】万能細胞のまとめ~何にでもなれたあの頃へ巻き戻し~

【分かりやすくまとめると・・・】

・万能細胞とは,どんな細胞にもなれる細胞のこと。万能細胞は,分裂を繰り返していくうちに,万能性を失ってしまう。

ES細胞は受精卵から得た万能細胞。iPS細胞は特定の遺伝子を混ぜることで細胞を初期の状態に戻し,万能化させたもの。

・iPS細胞は自分自身の細胞から作れるので,免疫系に攻撃されない等の利点がある。

 

f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 人の体は受精卵が細胞分裂を繰り返して出来上がったものだ。

f:id:monoshirin:20151103203613p:plain


f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 内臓や,皮膚,血管など,体を構成する細胞がたくさんあるが,元をたどれば一つの受精卵だ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 例えば血管の細胞を心臓の細胞に変化させることはできないの。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain それはできない。細胞分裂を繰り返していったん特定の細胞になってしまうと,もう別の細胞にはなれないだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain それって,細胞分裂を繰り返すと,細胞ごとに遺伝子が異なってくるということなの?
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain それは違うよ。全ての細胞は同じ遺伝子を持っている。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain ただ,遺伝子の発現を抑えているだけなんだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 例えば,心臓の細胞であれば,心臓の遺伝子以外は発現しないようになっている。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 分裂を繰り返すうちに,特定の遺伝子だけが発現されていくようにプログラムされているということだね。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 分裂するほど,遺伝子に鍵がかけられていくみたいなものだな。

f:id:monoshirin:20151103203751p:plain


f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 逆に,最初の細胞は,そういうプログラムが働いていないから,どんな細胞にもなれるということだよね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおり。それが万能細胞だ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 例えば,受精卵の細胞から作られたES細胞というものがある。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これはどんな細胞にもなれる万能細胞だが,問題がある。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 受精卵から細胞を取るという点が問題なのかな。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおりだ。受精卵なのだから,そのまま成長させれば人として生まれているだろう。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そういった性質の細胞を使用してよいのか,という倫理的な問題がある。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain さらに,ES細胞はあくまで他人の細胞でしかない。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain そうすると,免疫系に攻撃されてしまうという難点があるね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおりだ。このES細胞の問題点を解決したのがiPS細胞だ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain これは,細胞に特定の遺伝子を入れることで,細胞を万能化させたものだ。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 細胞のプログラムを初期化して,何にでもなれる状態に戻したということだね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおりだ。膨大な実験を繰り返して,細胞を初期化する遺伝子が発見されたんだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain このiPS細胞は自分の細胞から作り出すものだ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 例えば自分の皮膚の細胞を初期化して万能細胞にすることが行われる。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain だからES細胞のように倫理的な問題もないし,免疫系に攻撃される心配も無い。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain このiPS細胞によって,将来的には臓器等の体の組織を再生できるようになる可能性がある。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 例えば,脊髄をを損傷して下半身不随になった人が,神経を再生させ,再び歩くことができるようになるかもしれない。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain それ以外に,病気の研究にも非常に役立つ。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 患者の細胞を培養し,それを正常な細胞と比較することで,病気の原因を突き止めやすくなる。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain すごいね。何でもできてしまうね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そうだね。iPS細胞は理論的には何にでもなれる細胞だ。だが,問題点が無いわけではない。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain 例えば,細胞の癌化の問題がある。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain iPS細胞のような万能細胞の特徴として,どのような細胞にでもなれることと,無限に増殖する点がある。
f:id:monoshirin:20151008215749j:plain 無限に増殖する,というのはがん細胞と一緒だね。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのとおりだ。うまくコントロールしないと細胞ががん化してしまうという問題点が残っている。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain そのような問題点を解決できれば,今まで治療を諦めざるを得なかった難病も治せる様になるかもしれない。
f:id:monoshirin:20151008215747j:plain じゃあ,次は生物の歴史の話に戻って,人が誕生するまでの話をしよう。

blog.monoshirin.com

↓読んだついでにポチッと押してください。
にほんブログ村 教育ブログ 生涯学習・教育へ
にほんブログ村