【分かりやすくまとめると・・・ 】
・保険は皆でお金をだしあい,何か事故が起きた際に事故で損害を受けた人にお金をあげる,という仕組み。
・近代的保険の始まりは海上保険で,それ以前は事故に備えて高利率でお金を借りる冒険貸借が存在した。
・利息を取る事が禁止されたので冒険貸借ができなくなった。そこで,元金と利息の順序を変え,利息を「保険料」として予めもらう仕組みが考え出された。それが現在の保険につながっている。
保険というのは,大まかにいうと次のような仕組みだ。
何か事故が起きた場合に備えて,みんなでお金を少しづつ出し合ってためておく。
そして,事故が起きた場合には,その事故によって損害を受けた人にお金を渡す。
事故というのは,交通事故とか,地震,火災などかな。
そうだね。より身近なところだと,健康保険もそうだ。
健康保険のおかげで,いざ病院にかかるときに保険金が出るから,自分で負担するお金が少なくて済むね。
そうだね。健康保険があるから気軽に病院に行けるようになっている。
それから,年金もそうだ。みんなでお金を出し合ってためておいて,老後になったら年金をもらう。
このように,困った時のために予めみんなで少しづつお金を出し合い,助け合うのが保険だ。
そして,近代的な保険制度の仕組みは,海上保険から始まったと言われている。
その海上保険の前身とされるのが,冒険貸借だ。
これは,積荷や船舶を担保としてお金を貸すものだ。
もし船が遭難したりして船舶や積荷が駄目になったら,お金を返さなくてよいというものだ。
損害の埋め合わせにその借りたお金が使えるということだね。
それにしても,そんな危険があるのによくお金を貸すね。
そういう危険がある代わりに,利息が1つの航海につき24%~36%もあって凄く高いんだ。
なるほど。危険を負う代わりに成功した場合は儲けが大きいということだね。
この冒険貸借は流行したんだけど,宗教的な理由から禁止されてしまった。
時のローマ法王が,利息をとることはキリスト教の教えに反すると言ったんだ。
そこで冒険貸借に代わるものとして考え出されたのが保険と言われている。
積荷や船舶に損害が出たときは保険会社がお金を払って損失を埋める。
保険会社にそのような危険を負担してもらう代わりに,前もって保険料を払うんだ。
保険料が冒険貸借でいうところの利息の役割を果たしているのかな。
そのとおりだ。保険は冒険貸借の利息と元金の順番を逆にしたようなものだ。
損害を埋めるためのお金を予めもらうか,後でもらうかの違いだね。
保険契約者が払うのはあくまでも保険料だから,「利息をとってはいけない」というルールに反しないね。
そうだ。ルールの抜け道をうまくついたと言えるね。
事故さえ起きなければ,保険会社は保険料をもらい続けて儲けることができるね。
そうだね。ただ,事故はいつか起きるものだから,それを前提として,損をしないように保険料を定めているんだ。
また,保険会社は,保険契約者からもらった保険料をただ持っているだけじゃなく,運用して増やしている。
企業にお金を貸して利息を得たり,株式の売買をして利益を上げているんだ。
保険会社も銀行みたいに世の中にお金を行き渡らせる役割を担っているんだね。
そうだ。保険会社はお金の流れをよくして経済の拡大に貢献している。
そして,保険と言う仕組みがあるおかげで,個々の会社や人が負担するお金が減る。
それによって,リスクを恐れず遠くへ航海することが可能になり,経済が発展したんだね。
そうだ。今や保険商品は物凄くたくさんの種類のものが生まれている。
保険はあんまり僕にとって身近な話じゃないけど,将来に備えて勉強しておこうかな。
いい心掛けだ。では次に蒸気機関の話をしよう。
蒸気機関のおかげで,航海がさらに活発になったからね。