【分かりやすくまとめると・・・】
・遠洋航海が可能になり,その航海に出資する人が出てきたが,当時の航海は失敗のリスクが高かった。
・そこで,個別の航海ではなく,航海をする「会社」に出資する,という形式を取ったのが株式会社の始まり。これなら,ある航海が失敗しても,同じ会社が行う別の航海によってお金を儲けることが見込める。
・株は,会社に出資したことの証明となるもの。
帆船の進歩と羅針盤の発明によって,遠洋航海が可能になった。
これによって,貿易がさかんになり,大航海時代が訪れた。
航海にはたくさんのお金がかかるから,航海をする探検達は,出資者を募ってお金を集める。
そして,航海が成功し,持ち帰ったものを売って得た利益から,出資者に利益を配当する。
出資者は,航海が失敗したら何ももらえないことになるね。
そうだ。昔は航海ごとに出資者を募っていたが,この方法だと,航海が失敗した場合になにももらえなくなる。
そこで考え出されたのが,株式会社という仕組みだ。
つまり,個々の航海ではなく,「会社」に出資したことにするんだ。
そして,会社に出資したことの証明となるのが株であり,それを持っている人が株主だ,
株主は,会社が利益を得ればそこから配当を受けることになる。
そうすると,例えば3回航海して,1回しか成功しなかったとしても,利益の配当をうけることができるね。
そうだ。昔の航海は大変危険で失敗が多かったから,この仕組みは画期的だった。
この仕組みを最初に採用したのが,1600年ごろに設立されたオランダの東インド会社だ。
ところで,この株は,他人に売ることもできる。
高い配当を受けられそうな株だったら,高い金を払ってでも買いたいという人が出てくるだろう。
こうして,株自体が売買されるようになった。
株を購入したときより高く売れれば,儲かるよね。
そうだ。多くの人はそれを狙って株を購入している。
会社の業績が好調であれば,配当が多く見込めるから,その会社の株の人気が上がる。
株の人気が上がれば,高い金を払ってでも買いたいという人が増えるから,株の値段は上がる。
逆に,業績が不調な会社だと,配当があんまりなさそうだから,人気が落ちるよね。
そうだ。だから,株価が下がることになる。
このように,株価は会社の業績を示すひとつの基準になる。
そして,ある国の株式市場の株価の全体を見れば,その国全体の会社の調子が分かる。
そうか。ある国の株式市場の株価が全体的に下がっていれば,その国は景気が悪いということになるんだね。
ところで,まず株価が下がってから景気が悪くなる気がするんだけど,気のせいかな。
気のせいじゃないよ。株価は景気の動きを先取りすることが多い。
株価が下がると,世の中に出回るお金の量が減って,それで景気が悪くなるんだ。
太郎,君が仮に100万円の株を持ち,100万円の預金を持っていたとしよう。
その株価が一気に倍になって,200万円になったとする。
そんなに価値が上がったら,お金を使いたい気分になるね。
いざとなったら株を売ってたくさんお金を手に入れることができるからね。
逆に,株価が一気に10分の1になって,株の価値が10万円になっちゃたらどうする。
う~ん。そんなに価格が落ちたら,あんまりお金を使う気分にならないな。
そうなるだろ。それが株価が下がると景気が悪くなる一つの要因さ。
自分の持っている資産の価値が減ったということだから,それ以上減らすのは嫌になるね。
日本の場合,銀行も色んな会社の株をたくさん持っているから,株価が下がると貸し出しにも影響する。
銀行がお金を貸さなくなって,世の中に出回るお金の量が減るというわけだな。
そうだ。前にも言ったように,基本的には,お金を使うと,さらにお金が生まれる。
それが,株価の下落をきっかけに,お金が使われないようになるから,お金が生まれないようになり,景気が悪くなる。
そして,今や世界の経済はつながっているから,ある国の景気が悪くなると,それが他の国にも影響する可能性は高い。
お金を血液だとすれば,どこかの血の巡りが悪くなると,それが体全体に影響してしまうということだね。
そうだね。それでは次に,保険の話をしよう。
保険も株式会社と同じく,航海が盛んになったことをきっかけとして誕生したものだからね。