【分かりやすくまとめると・・・】
・農耕は決まった時期に種を撒いたり苗を植えたりしなければならない。その時期を正確に知るため,暦が必要だった。
・日は地球の自転周期,月は月の公転周期,年は地球の公転周期を元に決められた。他方,1周を7日とするのは宗教的な理由。
・だんだん暦は正確なものに進化していき,ズレがすくなくなっていった。現在世界で用いられている暦はグレゴリオ暦。
太郎,農耕というのは,決まった時期に種を撒いたり,苗を植えたりするよね。
もし,暦が無かったとしたら,どうなるかな。
いつ種を植えたり,苗を植えたりすればいいのか分からないし,いつ収穫すればいいのかも分からなくなるね。
そのとおりだ。暦は農耕をする上では欠かせない。
例えば,エジプトでは,ナイル川の氾濫を利用して灌漑農法をしていた。
だから,ナイル川の氾濫の時期を正確に知る必要があったんだ。
まず,日は,地球の自転を基準に定められている。地球が自転して元の位置に戻るまでが一日だ。
ということは,日の出から,次の日の出までの時間のことかな。
そのとおりだ。日没から次の日没までの時間までと言っても良い。
太陽が昇ったり沈んだりしているように見えるのは,地球が自転しているからだよね。
だから,太陽が元の位置に戻ったように見えれば,地球が一回転したことになるんだよね。
その地球が一回転する時間が24時間ということだね。
実はその数字はおおよその平均値に過ぎない。
正確に言うと,23時間59分39秒から,24時間0分30秒まで変わりうる。
次に,月だ。ひと月は元々,月が地球の周りを回る公転周期を基準に決められている。
新月から,次の新月までの期間ということかな。
そうだ。月が満ち欠けしているように見えるのは,月が地球の周りを回っているからだ。
月の位置によって,地球が太陽の光を遮る部分が変わるから,月が満ち欠けしているように見えている。
だから,月が同じ形に戻れば,月が地球の周りを1周したことになるんだね。
そうだ。これが平均するとだいたい29日12時間44分3秒だ。
まあだいたい30日だね。年はどうなの?
年は地球の公転周期を基準にしている。
地球は太陽に対して軸を斜めにして回っている
そうすると,地球から見れば,季節によって太陽の高さが異なるということになる。
太陽がある高さから移動していって,その高さに戻るまでの期間が1年間ということだね。
太陽の高さが元に戻れば,地球が太陽の周りを1週することになるからね。
そうなると,太陽がどれくらいの高さにあるのか,正確に測る必要があるね。
そうだ。そこで数学が必要になってくる。暦を作るには天体の位置を正確に観測する必要があるからね。
なるほど。暦づくりは数学の発展を促す役割を果たしたんだね。
そうだ。ところで,現在1年は365日とされているが,これも実は平均値なんだ。実際は365日より少し長い。
これを放っておくとどんどん暦がずれていくから,閏日が設けられているんだ。
たまに2月が1日だけ増えるけど,あれは暦のズレを修正するためなんだな。
そう。最初は太陰暦が用いられていた。太陰暦というのは,月の満ち欠けを基準にした暦のことだ。
これに対し,太陽暦とは,太陽の動きを基準にした暦のことだ。
太陰暦は29日と30日の月を組み合わせて,1年12か月,計354日としている。
それ,地球の公転周期とずれるから,暦と季節がどんどんずれていくんじゃないの。
そのとおり。そうなると,農耕に適した暦ではなくなってしまう。
そこで,太陽の動きも考慮した太陰太陽暦が作り出された。
これは,時折1年に一月付け足すことによって,太陽暦とのズレを修正するものだ。
1年が13か月のときがあるということだな。
そうだ。具体的に言うと,19年のうち7回,閏月を入れて,太陽暦と一致させるわけだ。
ところが,この太陰太陽暦で問題が起きた。問題が起きた場所は古代ローマ帝国だ。
この国において,時の権力者達が閏月を不当に操作した結果,暦が太陽暦と3か月もずれてしまった。
そこで,カエサルという人が,そのようなズレが今後生じないように,ユリウス暦という太陽暦を採用したんだ。
これは,4年周期で最初の3年を365日,最後の1年を366日とする暦だ。
4年に1回,1日だけ増やすわけだな。ひと月丸ごと足すより単純で分かり易いな。
この暦は非常に普及したが,まだ正確性において完全ではなく,だんだん季節とのズレが生じていった。
そこで,1582年,ユリウス暦よりさらに正確なグレゴリオ暦が採用された。
ちなみに,この年において,ユリウス暦の地球の公転周期からのズレは約10日程度にもなっていたんだ。
10日もずれたら困るね。グレゴリオ暦はユリウス暦とどう違うの?
閏年の回数が違う。ユリウス暦なら,閏年は400年間に100回ある。
他方,グレゴリオ暦なら,400年間に97回だ。
微妙な差だね。グレゴリオ暦の方が,1年365日の端数を正確にとらえているということだな。
そうだ。それはつまり技術が進化して,公転周期をより正確に捉えることが可能になったことを意味している。
現在使われている西暦は,このグレゴリオ暦なんだよ。
ちなみに,日本は1872年にグレゴリオ暦を導入するまでは,太陰太陽暦を使っていたんだ。
へえ。ところで,君は日と月と年の由来については説明したけど,週の由来は何?
週の根拠は完全に人工的なものだ。週7日というのは天体の動きと全く連動していない。
この週7日というのは,古代バビロニアに由来すると言われている。
バビロニアでは7が不吉な数字とされていて,7の倍数の日を休みとしていたんだ。
それがユダヤ教に伝わり,7日に1回,神に祈りを捧げる日が設けられた。
それがさらにキリスト教にも伝わり,グレゴリオ暦にも取り入れられたわけだ。
そうか。だから週は月とも年とも連動しないんだな。天体と無関係だから。
うん。さて,次は貨幣の話をしようか。たくさんの人が生活する上で,貨幣も欠かせない要素だからね。
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